CRAZY RICH ASIANS(映画)

カナダでは8月15日に劇場公開。金曜の夜早速見に行こうとしたら、ダウンタウンの映画館は軒並み売り切れで、結局ヤング&エグリントンのシネプレックスのVIPで見た。ここのVIPはダウンタウンの他のシネプレックスよりいい!椅子がリクライニングするし、足も休められる。ほとんど寝転びながら映画が見られる。映画館はもちろん若いアジア人の女の子だらけで、キャーキャーいいながら見ていた。 シンデレラストーリーなのだけど、シンデレラは餃子大好き、美味しいものが食べられるならどこへでも行く、麻雀が得意。最後のドカーン!(ファンファーレ)はわかりきってはいたけど、ストレートすぎて気持ちがいい。若いときのドリュー・バリモアを思い出したぞ! シンクロのお姉さんたちに笑う。そして、エンドロールの曲…… アイウォナ・マネー!マネ、マネ、マネー! 楽しかった! が、エンディングは本とぜんぜん違う。 2013 年に原作を読んだ。げんなりするアジアっぽさもあるけれど、アジアを牽引する超富裕層の生活が書いてあり、それがあまりにもおもしろすぎ、特にシンガポールに住んだことのある人たちにオススメしまくっていた。 本についてもブログっていたからここに貼っておこう。 https://yaplog.jp/bunnybon/archive/2143

炎上&ベニスに死す

『炎上』 昔「やっぱ、名作は読んどかなきゃ」とティーンエージャーにありがちな知識欲に燃え、三島由紀夫や夏目漱石などをせっせと読んでいた。そうすると、友達のお母さんが若い頃に読んで感銘を受けた本だから、とまたいろんな本が回ってきた。そういう時代に『金閣寺』を読んだ。当時京都に住んでいたし、京都独特のおどろおどろしさに人間の闇を見るような気がしたものの、いかんせん、ぼんやり系であった私にはわからないところが多かった。 これは、今で言う「Incel」の話ではないかしらん。 若かりし日の市川雷蔵のドアップを見て、今の日本の俳優にはあまりこういう顔の人はいないよな…… と思いながら見ていた。老師の化粧水も映画ではずいぶん思わせぶりだった。フツーのサラリーマンが化粧水を叩くのが当たり前の時代だと、ああいう演出はスルーされかねない。 金閣寺への恋愛にも似た愛、炎への愛、病んでいたお父さんへの愛、老師からの愛を試すねじれた愛、お母さんに対する毛嫌い、小説を読んだときにはうすらぼんやりにしかわからなかったことが、今はもっとよくわかる。自分の成長が確かめられた気がした。 『ベニスに死す』 例の美少年もさることながら、上流階級の人々のドレスや帽子、高級ホテルの内装や小物、景色がすべて美しい。 やや乱暴に浜辺で戯れる少年たちのボーダーの水着姿が助平心をくすぐるけれど、それすらも美しい。 老いた人が心を奪われるほどの美しい若さを延々2時間。 偶然隣の席に、白黒映画の仲間が座っていた。常識に照らし合わせると彼女は「後期高齢者」に仕分けられる年齢だと思う。 「私はね、1971 年にこの映画が劇場初公開されたときに見に行ったのよ。死んだ亭主と!」 私は泣きはしなかったけど、髪染めの染料がドロドロと流れ出るシーンを見て、自分が生きてきた時間の重みに胸がキュッと締め付けられた!! 映画館から帰ってきて以来マーラーの交響曲をずっと流しているぞよ。

『お茶漬けの味』と『天国と地獄』

白黒映画の仲間と日本の白黒映画を見た。小津安二郎に黒澤明だからみんな詳しい。 『お茶漬けの味』 話の展開がスローなのは想定内だったけど、タイトルが最後のオチをばらしてしまっているので、途中で「エンディングはお茶漬け食べて終わるよな」と思い始めたとたん、つまらなくなってしまった。英語のタイトルも「The Flavor of Green Tea over Rice」とマンマなので、白黒映画の仲間で日本語などまったく知らない人にこっそりと聞いてみたら、同じように「タイトルがネタバレだと思う。つまらなかった」と言った。それでも「この映画、よかったわん」とうっとりしている小津安二郎ファンもいたので、水をさしてはいかん、と思って感想を聞かれるまでは黙っていた。話の先が読めてしまっていても、別の次元の感動がもたらされているのだろうからね。 日本のことに暗い人たちに、「ライスの入っているボウルを手に持って食べるのもダメなの?」と聞かれ、「そうじゃなくてお茶漬けをズルズル啜るのがダメなの」と、何がアウトなのかが通じていなかった人もいた。食べ方には個人差があるから説明しているうちに私自身が混乱してきた。 『天国と地獄』 面白かった!! ゆっくり呼吸することすら忘れてしまっていたようで、映画が終わった瞬間に深呼吸。英語のタイトルが『High and Low』。日本語をまったく知らない仲間なのに「『Heaven and Hell』じゃなくてよかった」と言っていたけど、私も『High and Low』でよかったと思う。宗教的じゃなくて、階級差の話なので。原作がアメリカの推理小説だし、ガイジンにはわかりやすい話、というのが一緒に見に行った人たちの総意だった。しかし、またもや、日本のことに暗い人が「ゴンドーの自宅が高級そうに見えなかった」と言っていた。私はそれどころではなく、三船敏郎って本当にすごいな、と見惚れていた。

Westwood: Punk, Icon, Activist

ヴィヴィアン・ウエストウッドは好き(私はパンクとは程遠いファッションが好きで、Tシャツにジーンズという服装すらほとんどしないけど)。彼女の生き方が好きなのだ。 この映画を見て思ったのは、マルコム・マクラーレンが案外心の狭い男(ヴィヴィアン目線で言うと)ってことと、第一線を駆け続けるにはうんと年下の男と晩年を過ごすのが一番ってことと(年を取っている場合じゃない)、おばあさんになってからはあれぐらいのファッションをしたほうがよさそうっていうこと。 ファッション界の重鎮のドキュメンタリーの中では、ダイアナ・ヴリーランドのドキュメンタリーがダントツに面白いけど。

Design Canada

白黒映画の仲間から「ロゴのデザインについてのドキュメンタリー映画だ」と聞いて行ってみたら、意外にも面白く、感動的ですらあった。カナダ連邦政府のロゴに使われているフォントはBakerville、と小ネタまで仕入れてしまった。 まずはカナダのメイプルリーフの国旗デザインの話から始まる。50年ぐらい前に誕生した若い国旗なので、今のデザインに行き着いた経緯を知っているグラフィックデザイナーはまだ生きている。今度の東京オリンピックのロゴで日本が揉めたみたいに、カナダも国旗のデザインでは政治問題になって大いに揉めたのだ。ちょうどその頃は、モントリオールで万国博覧会とオリンピックもあって、グラフィックデザイナーの活躍の場がいっぱいあった。 だからなのか、著名なグラフィックデザイナーはその頃稼ぎまくったのか、みんなステキな家に住んでいる。 「ROOTS」の今のロゴをデザインした女性が、なぜかおでこに絆創膏を貼ったままで映画に出てくるのが個人的に面白かった。傷が癒えるまで待ってあげなかったのか、目立たなくしてあげようと誰も思わなかったのか、あの絆創膏の下には何があるのか、気になって仕方がなかったし、グラフィックデザイナーとして成功するにはオシャレが必須ってわけじゃないんだな、とも思った。でも、この人がデザインした雑誌の表紙はすごく印象的なので、たぶん多くの人がどこかで見たことがあるはず。 あと、キックスターターで資金調達して作った映画っていうのも、面白かった。カナダの誕生日、カナダデーに合わせて公開したのもよかった。きっと日本の「日の丸」の丸の大きさや色にも細かい指定があるにちがいない。 https://designcanada.com/

Gospel According To André

ヴォーグの元エディターのドキュメンタリー。アンドレ・レオン・タリーは背が高いし声も大きいし、今はすごく太っているので、何もしなくても存在感がある。彼の存在感がすべてのドキュメンタリーでとてもよかった。この映画のプロモーションでアメリカでもカナダでもラジオでインタビューされているのを聞いたけど、声だけでこんなに存在感のある人もめずらしい。この太り方、喋り方、布をふんだんに使った服は、なんとなくマツコ・デラックスを思わせる。ラジオのインタビューではこのブワブワした巨大トーガのような洋服について突っ込まれていた。 「どうしてそういう服を着ることにしたんですか? やっぱり体重が関係していますか?」 「あたりまえよ!!!!!」と叫んでいました。 ラジオインタビューはこちら:https://www.npr.org/2018/05/31/615752676/for-vogue-titan-andr-leon-talley-fashion-was-a-gateway-to-the-world 個人的には、ノースキャロライナの美しい森が出てくるのが、とてもなつかしかった。デザイナーのノーマ・カマリが出てきたのもツボだった。はるか昔、好きだった男の人に彼女がいて、その彼女がノーマ・カマリの服を着ていていたのを見て以来、トラウマになっているのだった。 美しいもの(と自分が思っているもの)に囲まれて現実逃避するっていうのはすごくよくわかる(アンドレは子供の頃、ヴォーグの写真を切り抜いて部屋中に貼っていたらしい)。私も、そういう気分に浸りたいときは、自分が集めているマトリョーシカやミニチュアをずらずら並べ、眺めている。

The Treasure of Sierra Madre

邦題は『黄金』 初めて見たけど、想像以上によかった。欲に目がくらんで、男たちが豹変していくのが面白い。貪欲さの果てが、浦島太郎的なオチなのも幻想的。この映画の舞台はアメリカ西海岸だとずっと勘違いしていた。メキシコだった。Sierra Madre はメキシコの山脈。 ハンフリー・ボガードと、ジョン・ヒューストンのお父さんが共演している。このお父さんが入れ歯なしで演技していたので、彼の英語が聞きづらかった。雰囲気は伝わったけど。3人目の若い男優もよかった。「あの人誰?」と聞くと「あの人、あまり長生きしなかったのよ」などとすぐに教えてくれる。知りたいことは教えてくれるけど、レクチャーはしないのが、白黒映画仲間のよいところ。 仲間にだいぶ慣れてきて、きわどい会話もできるようになった。親しくしている人には高齢者もいて、スケジュール帳に次の映画上映日を書き込んでいるけど、記入する月を間違えていたりするので、仲間の誰かが手帳を書き直してあげたりする。 「名画座」みたいなところで見たのもよかった。いつまでたっても映画始まらないので不思議に思っていたら、「ごめんよぉ、上映時間を間違って掲示しちゃったのさ」と… TCM があれば家でいくらでもこういう白黒映画は見られるだろうに、平日の夜にも劇場に足を運ぶ人が多かった。まあ、私は素敵な劇場に座って映画見ていると豊かな気持ちになれるタイプだから、楽しかった。

Dinner at 8

松竹新喜劇みたいで、食事会開催が危ぶまれるほどドタバタドタバタしておきながら、結局定刻8時にディナーが始まる、というオチで終わる。 ジーン・ハーロウが妖艶で可愛く、上品さのかけらもない地で演技している感じもよかった。ドリュー・バリモアのおじいちゃんも出演している。 Pre-Code 映画といって、アメリカ映画界で、エッチなシーンやタブーな恋愛なんかを映画に盛り込んではダメというルールが設けられる前に制作された映画だけど、現代の目線で見ると、どこがふしだらなのか、あまりわからない。上映前に当時のファッションを語ってくれるトークもあり、映画の中の衣装を見ているだけでも楽しかった。が、映画は2時間近い。途中あちこちともっと短く編集してくれたらいいのに!と思った。 トークで靴が話題に上った。1930年代(?)の女性の間で、どんな洋服にも合うからという理由で、ゴールドとシルバーのコンビの靴が重宝がられて流行っていたらしい。実は、私もキメファッションのときはゴールドとシルバーのコンビ靴を履く。まさに、何にでも合う=一足で済む、という理由で。 後で白黒映画の仲間と映画について話し合った。嗅ぎ塩の話が出てきたけど、昔のこととなると、仲間の高齢者が威力を発揮して教えてくれる。さらに、ロイヤルウェディングについて総括的な会話をして帰ってきた。ロイヤルウェディングのことを「何だよ、あんなもの!」と好意的でない人でもしっかり見ていた。私はネットフリックスのドラマ『The Crown』が好きで、現実のイギリス皇室とドラマの世界を混同しているので、「ハリーとミーガンは絶対に別れない!」と主張。

Sid and Nancy

退廃的な話だけど、昔のことだし、自分の稼いだ金で(?)ああなっていったのだし、昔のニューヨークの町並みも見られたし、ゲーリー・オールドマンの若い頃の姿が見られたし、歴史を見ている感じでよかった。 https://www.imdb.com/title/tt0091954/ セックス・ピストルズのメンバーが揉めたり荒れたりしている姿を銀幕越しに見ていて、自分があんなに何事にも怒っていた時代は遠い昔だな、と思ったのでした。 映画にこのシーンが出て来る。 ゲーリー・オールドマンは、去年、ウィンストン・チャーチルを演じていた人とは思えない。で、友達と話していると、「ユマ・サーマンと結婚してたよね、で、ユマはあの後にイーサン・ホークと結婚したんだっけ?」と疑問が投げれられ、「イーサン・ホークの後にゲーリー・オールドマンという順序はあり得ない」という総意が得られた。確かにゲーリーの次にイーサンという順序が事実なのだが、最初に大人な男と付き合って、次は友達、みたいなそういう流れが自然だということで意見が一致。 時代を作ってきた人が亡くなると神格化されることはよくあるけど、どれくらい神格化されるかはタイミングが重要だと思う。そういう意味ではシド・ヴィシャスは好条件が揃っていた。 やっとひと仕事から解放されたよう!! うれしくて仕方がない。けれども、当時に西城秀樹の訃報も飛び込み、私は外出先からしょぼんとして帰ってきた。ヒデキの身内でもないのに、いろんな人からメッセージもらった。ありがとう。

Molly’s Game

これもオスカー授賞式までに見ようと思って見られなかった映画の1つ。 機内で1回見て、寝て、また起きてもう1回見た。会話のテンポが速くて、情報量がいっぱいだったし、2回見ても飽きなかった。あまりにも面白すぎたので原作も読みたい。主役がジェシカ・チャステインだったから面白かったのか?  「この人、ケビン・コスナーのように見えるけど、そうなのかな?」と思うぐらいにケビン・コスナーが太っていた。太った体にケビン・コスナー似の顔が乗っている、と言えば、私の違和感が伝わるだろうか…? 気持ち悪目のセレブ役のマイケル・セラもよかった。 映画は、いわゆる「毒親」との関係から生まれた亀裂を克服する話になっていた。何でも一番でないとだめ、というプレッシャーを跳ね除け、競争心の激しい人間になるが、実は…… という話がものすごいスケールの大きな文脈(賭金が馬鹿高いポーカーゲーム)で語られている。原作の本読もう。 https://www.imdb.com/title/tt4209788/