リー・イスラエルというニューヨークの作家が、お金に困って有名作家の直筆手紙を偽造する話で、実話。個人的にこういう話は大好き。彼女がやらかしたことがメインで、同性愛者であるとか、中年シングル女性である事実を前面に押し出してくるわけではなくて、自然に伝えられているところがいい。 リー・イスラエルの原作を読もうと思ったら、図書館でものすごい待ちだったので、読むのはやめた。ちょっと読みたいだけなので買いたくはない。原作は、リー本人が自分の犯した罪を反省して書かれたもので、ホリエモンが出所後に執筆した本みたいなもの。 メリッサ・マッカーシーがリー役で主人公。昔に比べるとすごく痩せたなぁ、と思いながら見ていた。 最近、アメリカ映画の中ではババアが熱いような気がする。何を根拠に?と言われても困るけど。ニコール・キッドマンもすごくオバサン顔で映画に出てくるし。彼女たちは美魔女化しているときもあるけど、実年齢に近い普通の人を演技しているときもある。高齢化社会だから? #MeTooの効果? それとも、私にはそういう映画がいいだろうとグーグルが気を利かせている? 若くてきれいな子より、中年のオバサン女優のほうが見てて面白いと思うのは、私もおばさんだから?
Category: 映画
One Cut Out of the Dead(カメラを止めるな)
『カメラを止めるな』を観た。ゲラゲラ笑って体重が1キロぐらいは減った気がする。 SNSで人が絶賛していたで観たいなと思っていたところ、トロントでも上映されると聞き、楽しみに出掛けていったら、本当に面白かった。作っている本人たちが楽しそうに見えた。映画製作を真剣にやっている人への賛歌でもあるな。 感謝祭やクリスマスが近づいているので、映画館に行ってもCG満載の映画の予告編ばっかり見せられることが多く、うんざりしていたので、すごく新鮮だった。 来年のオスカーには、「Outstanding Popular Award」という人気賞が加わるらしいけど、アメコミが原作の人気映画は「賞」をあまり獲得できないから、この賞を新しく作ったんじゃないか、と巷(白黒映画の仲間うち)では言われている。「低予算で頑張ったで賞」のほうがいいな。そしたら『カメラを止めるな』が選ばれると思うな。 映画鑑賞後、映画を見ていない教授に「どんな映画だった?」と訊かれたけど、結構説明しづらいストーリーだな。なので、できたら一般の劇場で公開してもらってまた観たい。
Edward Scissorhands & Bohemian Rhapsody
好きな映画の1つ、エドワード・シザーハンズ。たぶん季節柄なんだと思うけど、突然 VIP シアターで格安上映会があり、いそいそと出掛けた。 何度も見ているけど泣ける! あちこち面白い! と涙を薄っすら浮かべてエンドロールを見ているときに、お隣さんに感想を訊いてみた。 「音楽ぐらいしかいいところがなかった」 お隣さんは、本来なら別の人が座るはずだったが、事情により見知らぬ人になったのだ。どうやら気難しいタイプのおっさんのようである。お伽噺にいちいち感動しないのだろう。上映前に、私はこの映画が大好きなんだ、ってあらかじめ言っておいたのに。 白黒映画のお友達のおばあさんが前の席に座っていたので、お口直しに感想を聞きに行くと、 「エドワードの作り出すヘアスタイルの数々がすてきだわ!」 と私のハートにドンピシャな感想を言ってくれた。 小ネタだが、白黒映画のリーダーはエドワードに似ている。手は普通の手だけど。 が、この日はみんな「Bohemian Rhapsody」で盛り上がっていた。それと「A Star is Born」。こっちのほうは、ガガ版ではなくて、バーブラ・ストライサンド版との比較で… (みんなの年齢層が高いのでそうなるとは思っていたが) で、Bohemian Rhapsody AVXシアターでわざわざ見た。おかげでバンドエイドのシーンはとても臨場感があった。そして日曜夜10時台の上映時間は穴場で、ほぼ自分たちしかいない。 猫、猫、猫! そして歯。歯が強調されすぎじゃない? まだヒースロー空港で働いていたときの姿なんて、お笑い芸人みたいだった。 映画の仲間たちは結局クィーンを聞きながら育った世代なので、個人的な体験をいろいろと重ね合わせているのだろう。私も友達からもらったクィーンの「ミックステープ」をウォークマンで毎日聞いていたが、それはクィーンが好きだったからではなく、テープをくれた人が好きだったからである。 で、映画館のチケット売り場で並んでいるときに、20歳そこそこの子たちが「Bohemian Rhapsodyっていう映画を観たんだよね」 「えー、何についての映画?」 「うーんと、クィーンっていうバンドの映画」 と会話していた。ま、そういうもんでしょう。
The Seventh Seal & Desperately Seeking Susan
The Seventh Seal TIFFで今イングマール・ベルイマン特集をやっているので見に行った。邦題は「第七の封印」 小難しそう......と思っていたら、やっぱり信仰とか神の存在を考える話だった。加えて、ややこしいことをしゃべっている字幕が白黒画面に出てくるので疲れてしまった。観ている最中に、実は昔に観たことがあると気付いた。当時もあんまりピンとこなかったか、寝たのだと思う。 眼の前の座席に、精神錯乱気味のおじさんがいて、映画が始まると「ヒューヒュー!」と騒ぎ、何も起きていないシーンで「ぎゃはは」と笑ったりしていた。そして話が佳境に入る頃にはグースカピースカ寝息がうるさい。 「お前が死神とチェスしろ!」 と後ろからおじさんの動向を見守るのにも忙しかった。 Desperately Seeking Susan 邦題は「マドンナのスーザンを探して」 1985年の映画!! マ、マドンナが若い。荒唐無稽なストーリーが今見ると面白い。セリフも80年代っぽいし、ニューヨークの街並みも、ファッションも、何がかっこいいとかの概念も、今とは全然違う。別のドキュメンタリーで見た「三つ子の兄弟」もちらっと出ていた。あの三つ子たちも80年代のシンボルなのだろうか?ドキュメンタリーの中にもあの3人が経営するニューヨークのレストランに日本人観光客が大挙して押し寄せているシーンがあった。https://youtu.be/uM5TQ4f7ycw 何より、この映画のタイトルにもなっている「個人広告」が懐かしい。私が渡米したときはまだ健在だった。インターネットでつながってないからすれ違ってドタバタ劇になるんだな。 若い子たちも結構見に来ていて、ゲラゲラ笑っていたけど、何が面白かったのか聞いてみたかった。 この後飲みに行ったお店では、お年頃の若い男女がカウンターに女は女同士、男は男同士が向かい合う形で座っていて、何やら互いにスマホで愛欲にまみれた(?)メッセージを送り合い、男がショットをごちそうしたりしている。ほう、今はそうなのか。
A Star Is Born
ちょっと前に見に行った。今もっとも気に入っている VIP 席のある映画館へ行った。全席が飛行機のビジネスクラスみたいなラウンジチェア。 ガガのファンではないのであっちはどうでもいいんだけど(リリー・ジェイムズにしてほしかった)、ブラッドリー・クーパーが好きなので見に行った。まさに実生活の彼そのものみたいなストーリー。 私にはまったく響かないストーリーだったけど、ガガが本物の歌手なので、クーパーも本当に歌っている。むしろそこがミソだった。 映画のプロモーションでフランスのテレビにクーパーが出演している映像を見たら、なんとフランス語がペラペラだった。アメリカ訛りも少しはあるんだろうし、わからない単語が出てきても、それをホストに聞きながら、実に上手くしゃべっていた。私がフランス人だったら、惚れ直していただろう。いかにもアメリカ人っぽいハリウッド俳優が来日して、日本のテレビに出て日本語でべらべらしゃべる姿を想像してもらいたい。 映画自体より、映画の中の他のことに注目しているのは私だけではないようで、「A Star Is Born」の役中のクーパーの髪型にする方法が GQ に出ていた。わたしにひげさえあれば、できそうな髪型だ。 https://www.gq.com/story/bradley-cooper-a-star-is-born-hair
Maudie
カナダのノヴァスコーシャに住んでいたアウトサイダー・アーティスト、モード・ルイスのお話。 「アウトサイダー・アーティスト」を知らなかったが、友達に話を聞いてから、シカゴでもヘンリー・ダーガーの部屋に行ったし、プリンスエドワードカウンティでも、偶然立ち寄ったギャラリーにモード・ルイスの絵が結構置いてあった。 実に素朴、ヘタウマな感じで、おばあちゃんが描きそうな絵に見える。小さな小屋に住んでいたときに描いた、はがきサイズの小さな絵が多かった。 それで、イーサン・ホーク(モードの夫)とサリー・ホーキンス(モード)が演じている映画を今ごろ見た。日本でも『しあわせの絵の具』とかいうラブリーなタイトルで上映されたのだね。サリー・ホーキンスは障害者の役が上手。 最近、ホーキング博士の最初の奥さんが2人の結婚生活を映画化したものが「原作から離れすぎ」と反論しているニュースを読んだ。でも、実物よりかっこいい俳優が配役された時点で、話の受け止め方が全然違ってくる。それでも「違うって言わなかったら、違うって思っている事実がないように思われるから」とりあえず文句を言うのだと思う。 モード・ルイスのこの映画もそんなかんじ。彼女の夫は、「ハイジのおんじ」にも匹敵する偏屈でムラハチにされているのだけど、イーサン・ホークがやるとそのイメージはかなり緩和される。 モード・ルイスがブレークするきっかけになったCBCのドキュメンタリーはこちら 話はずれるけど、モード・ルイスの絵が置いてあるギャラリーのあるプリンスエドワードカウンティは、プリンスエドワード島とは別の場所。 カナダ人の友人に、「We’re gonna go to Princess Edward county!」と間違えて言っていたら、「プリンスエドワードやろうが。エドワードなんていう名前のプリンセスはおらんだろうが」と突っ込まれた。そのとき、プリンスエドワードカウンティは「ザ・カウンティ」と省略すればよいと教えてもらった。
The Cakemaker
イライラを解消してくれるような静かな映画を見た。しかも予想外によかった。話の展開に驚きはなく、大体の察しがつくけれど、パンのたねをこねこねしている姿がほどよく官能的で、主人公のケーキ職人も、筋肉はついているのにその筋肉の上にぽちゃっとした贅肉がのっているところがすばらしかった。 おかしいな、と思っても流しているほうが幸せな気がするが、真実は追求したくなるものである。追求すると傷ついてしまうのに。どっちが幸せなのかは誰にもわからない。なんとなく全体的な話が見える分、銀幕が「こうだよな!」と押し付けてこないで、私ならこうしたのに、こうはしなかったのに、と自然に思わせるところが優れていた。たとえが悪いかもしれないけど、「家族っていいもんでしょ」みたいなことをこっちがどう思うかはさておきグイグイと押し付けてくるような映画は結構ある。だけど、この映画にはそういうのはあんまり感じられなかった。逆にグイグイ言われないと「ああ、そういうことか」とわからない人には、「なんじゃこれ、何が言いたいの?」と文句を言われかねない映画。 しかし、この予告編はかなりのネタバレの予告編だわん。 今私はものすごーくイライラしている。
Sunrise
久々に白黒映画の仲間と映画鑑賞。Sunriseには、サウンドトラック版とサイレント版があり、元々無声映画として作られたのに、諸々の事情でサイレント版は消失したと長らく考えられていた。ところがチェコでそのフィルムが発見され、チェコ語の字幕を英語に訳して、やっとサイレント版がこのたびトロントで、生バンドと共に上映された…… と上映前に説明があった。それまでは何も知らなかったくせに、急にありがたいものを見ている気がした。 荒唐無稽な話だけど、ブタのシーンが特にすばらしく、大笑いもできるし、1927年製作なのに特撮が豪華な無声映画だった。 映画鑑賞後、仲間とお茶。今回は私が最年少というメンツで、年配者たちが「最近見てよかった映画」について、あらすじなどを話してくれる。しかし肝心のタイトルと主役の俳優の名前など、後で検索するのに必要な情報は「思い出せないわぁ」で終わってしまう。いつもならもっと若いメンバーで、「それってXXXのこと?」と察してくれるShazamのような人がいるのだが、この日はいなかった。 「先週もここで映画を見てたの。ナンテ映画だったかな。思い出せないわ」 そんな彼女のスケジュール帳には映画のタイトルがびっしり書いてあるのを私は知っている。 「手帳見ればわかるんじゃない?」 「グッドアイデア!」 と彼女は手帳を見ているが、一向に思い出せない。私も体を乗りだし、一緒に手帳を見るが、おばあさんの手書きはよくわからない。嫌な予感がし、 「それって、本当に1週間前?」 と訊いてみたら、それも怪しいと言う。またひとつ、会話が迷宮入り。
Fahrenheit 11/9
マイケル・ムーアの新しい映画。もう彼の名前を聞いただけで「嫌だ!」とアレルギーを起こす人もいるけど、私はどっちでもない。話題になるから見に行くし、彼の言いたいことにも一理ある(......と私は何をいちいち言い訳しているのだろうか)。 11/9はトランプ大統領が選出された日なので、映画はあの大統領選のシーンから始まる。銀幕越しにあの選挙は振り返ると、笑っちゃうけど、もう振り返りたくない。 結局、普通の暮らしをしている人たちが「解決して欲しい」と望んでいる問題は、どっちの政党が政権をとっても解決しないから、怒っている人たちの話。私が、この映画に取り上げられている町のどこの住民になっても怒ると思う(銃撃事件が起こったフロリダの高校生たち、ミシガン州フリントの住民、ウェストヴァージニアの小さな町の住民など)。それに現状打破を計って努力する人たちを応援したい気持ちはある。 映画のタイトルが前作の『Fahrenheit 9/11』をもじってるので、新潮社も『新潮45』を休刊にしたのだから、新しく『新潮54』に生まれ変わって、また世間を騒がせてくれたら面白いのに、と思う。私はたまにしか読まなかったけど、好きだった人には気の毒ね。
人間の條件(映画)
3部あるうちの一番最後を、白黒映画の友達(おばあさん)とふたりで見に行った。彼女はこの日、「大変です、あなたの銀行がハッキングされましたので、口座番号を教えてください」と詐欺に遭い、口座番号を教えてしまったのである。「詐欺かな?」と呑気なことを言っていたので「詐欺だよ」と答え、「明日、朝一番に銀行に行かないとだめだよ」と励ましつつ、私がこの歳になった頃には一体どんなテで騙されるのかと想像した。年金生活の高齢者からお金を巻き上げようとするなんて!とプチ憤慨した日に『人間の條件』 3時間半に及ぶ上映時間の後、ふたりでお茶していたら、 「日本兵の着ていたあの軍服見たことないわ」 と言うので、白黒映画グループの人だし、この映画は前にも見たことがあると言っていたので、ひょっとしてものすごい軍服マニアで、映画の中の軍服が忠実じゃないとか言い出すのだろうかと思っていたら、 「あれって第二次世界大戦?それとも第一次?」 と訊かれ、彼女の脳内では歴史がごちゃごちゃになっていることが判明。恐る恐る「第二次世界大戦…」と答えると、 「日本はどっち側だったの?」 とさらに訊かれ、彼女が軍服マニアではないことが決定的になった。まあ、今日は詐欺に遭ったことだし、歴史については訊かれるまで、こちらからはこれ以上何も言わないことにしていたら、 「主役(仲代達矢)がカッコいい。名前教えて」 と言われたので、何度も「タツヤ・ナカダイ」と言ってみた。しかし「エ?ナンテ?」と届かないので、スマホを取り出し「tatsuya nakadai」とテキストを打って送ってみた。おばあさんは、自分の携帯をカバンの中から取り出すことなく「サンキュー」と言って終わった。 しかし、このおばあちゃんの感想のゆるさが好き。これが身内だとそうはいかない。
