Killing Eve

1月、日本往復の飛行機の中で『Killing Eve』のシーズン1を全話見た。 「オバサン MI5 エージェント vs 若くておしゃれなサイコパス」の女同士の対決でなかなか面白かった。オバサンのMI5(サンドラ・オー)なので、スポーツカーに乗ってもいないし、かっこいい洋服も着ていない。シャリシャリした耐水性と速乾性に優れていそうなカッパみたいなジャケットを着ている(ロンドンっぽい?)。スマホを見るのも若干「老眼始まった?」みたいな距離で見ている。ジェームズ・ボンドよりこっちのが断然面白い。 シーズン2も見たい。 関係ないけど、仕事で Black Mirror を見た。最初の1話で疲れてしまった。今どきな話すぎて……、もうこういうのはお腹いっぱい、です。

RBG

これを見ていきなり、尊敬するアメリカ人女性ナンバーワンになってしまった。で、もう1回見てしまった。映画の初っ端にRBGが言っていることが一番共感できる(予告編でも言っているけど)。 これも、ドキュメンタリーでオスカーにノミネートされてるんだな。やっぱりババアが熱いね。 またもう1回見ようっと。で、付け襟作ろうっと。

The Favourite & Cold War

The Favourite 白黒映画の仲間がなかなか面白い、と言っていたので観た。いかにもアメリカ人のエマ・ストーンがアン女王の女官役なので、どんなもんなのかな、と思っていたけど、結果的に、私には彼女以外の役者が話す英語が聞き取りにくく、助かった。 ちょっと変わった感じの仕立てで、異常に支配欲が強い、サイコパスの話だった。 Cold War 時差ボケ止まぬ状態で観に行ったら、ぐっすりと眠ってしまい、起きたら最後のシーンだった。恋人とポーランドを脱出したはずだったのに、またポーランドに戻ってきていた。途中フランスに行っていたらしい。 しっかり起きていた人でも、わかりにくい話だったらしく、いろんな人たちが「どういうこと?」とあらすじを確認し合っていた。

Beautiful Boy

ティモシー・シャラメの美少年ぶりと北カリフォルニアの美しさ(霧がないシーンばっかり)で随分美化されているけど、薬物中毒から這い上がれない息子の話(実話)。原作は10年ぐらい前にアメリカではベストセラーだった。 血がつながっていても限界はある。本人がどうにかならないといけないけど、なれないのだから仕方がない。そういう「弱い」家族を持っている人にしかわからない話なのだけど。 最近人から一条ゆかりの『砂の城』を借りて読んで、生きるというのは、自分が望んでも手に入らないものを抱えながら精神的なレジリエンスを育てることなのかな、と思っていたけど、漫画で読むと、簡単そうに思えてしまうな。

VICE

「VICE」だけで画像検索すると、それとちゃうで、という結果も含まれるが、私はこのタイトルが好きである。副大統領、副社長、など「副」とつくものの虎視眈々とした感じが、単語の短さで言い表されている感じがいい。 元アメリカ副大統領のディック・チェイニーのお話。クリスチャン・ベイルが激太りしてチェイニー役を演じているけど、キャスト全員「そっくりさん」のオンパレード。ワタシ的に一番をあげたいのはサム・ロックウェルのジョージ・W・ブッシュ。でもラムズフィールドもチェイニー家の人もそっくり。日本のものまね芸人もびっくりするくらい、よく特徴を掴んでいる。ま、特殊メイクとか衣装の選択のおかげもあるけど。コンドリーザ・ライスのキョドった感じとか笑ってしまった。 あらすじは、至ってハウス・オブ・カードちっくで、支配への欲望に突き動かされた人間ってすごいな、と思ってしまう。 当然、9・11や大量殺戮兵器があるとかないとか、イラク侵攻へ踏切るシーンがバンバン出てくるので、「もうあの時代は思い出したくもない」と記憶を封印している人には、観るのもつらい映画かもしれない。それに、ああいう危機的状況での大統領の権限の法的解釈についても触れているので、ちょっと怖い。 まあ、ジョージ・W・ブッシュが二期務めたのだから、トランプもありかもしれないと心配している人には、「副大統領を見ろ!」という警告なのかも(?)

The Invasion of the Body Snatchers (1956)

オスカー候補作品を観る! と言いながら白黒映画。1956年版。モノクロのオリジナル版を観た。リメイク版もいくつかあるけどどれも観たことない。ポッド・ピープルとはこれのことを言っていたのか!  カリフォルニアの架空の町がポッド・ピープルに支配されるのだけど、画面を観ながら「この町、どこかで見たことがある」と気になった。後で調べたらMill Valleyだった。1950年代のあの町を私が知っているはずがないし、映画を撮影した頃とはすごく変わっているはずなのに不思議。 1950年代の女性は大変というか、つまんないねぇ。びっくりするわ。「あなただけを愛してる」とか「あなたの子供を産みたい」とか「あなたを捨てては生きてはいけない」とか演歌やムード歌謡の歌詞みたいなセリフをバンバン言う。 結局、ポッド・ピープルに世界を支配されてしまうという荒唐無稽なあらすじよりも、1950年代の男女の絡みのほうがずっとずっと荒唐無稽に感じた2019年だった。

Mary Poppins Returns, Shoplifters, Wildlife

気がついたらゴールデン・グローブが終わっていて、今年もオスカーまでに観なければならない映画が盛りだくさん。白黒映画ばかり観てないで、頑張らねば! と白黒映画の仲間に話したら、「あら、私はオスカー候補の映画はほぼ全部見たわよ」と一蹴された。 Mary Poppins Returns クリスマスっぽいってことでクリスマス休日中に観た。CGがすごそうなので、世間の人は最新映像機器の整った映画館で観るのだろうが、なぜか古い映画館で二人きりで観た。二人しかいなかったので声を出して感想言いたい放題。オリジナルがすごすぎて、あれを超えることはないのではと危惧していたけど、これはこれ。エミリー・ブラントも、リン・マニュエル・ミランダも好きだし、楽しかった。 それと、映画のチケットを買わなくてもポップコーンが買える位置にポップコーンの機械が置いてあるので、映画は観ないけどポップコーンだけ買いにその映画館に行く、という人に出会った。 Shopliters(万引き家族の英語タイトル) TIFFメンバーだけの先行上映会に行ったら、主催者側が映画が始まる前にマイク持って解説しすぎ、というハプニング。最後に謝っていたけど、上映前のトークは要注意。そのせいなのか、「ふぅん……」という淡めの反応に終わってしまった。 Wildlife 大好きなポール・ダノが監督だし、ジェイク・ギレンホールもキャリー・マリガンも好きだしで、おまけにラジオで聞いたポール・ダノのインタビューがすばらしすぎて、超期待して観に行ったら、どんより暗かったけど、よかった。

It’s a Wonderful Life

邦題は「素晴らしき哉、人生!」 見たことなかった。毎年そうなのかもしれないけど、今年は(も?)クリスマス前にトロントの映画館のあちこちで上映されている。平日に見たのに人でいっぱいだった。いかにもクリスマスな話でありながら、自殺に駆られる話でもあって、そういうホリデーシーズン特有の「鬱」がまたまたクリスマスチックだった。でもハッピーエンドだし、ちょっぴり心清まる内容でもある。 「何回見てもいいわ」とか「また泣いちゃった」とか「画面見てなくて音声だけでも泣ける」とか言っている人が多かったが、これが白黒映画の仲間のよいところ。そもそも何度も上映されていてTCMがあればタダで見られる映画をわざわざ映画館で仲間と見て喜ぶ、という価値観(だけ)で結ばれている。 最近気づいたが、このグループのメンバーは、激しい人見知りとか、年寄りとか、非モテとか、極端なインドア派など、社会的弱者っぽい人がほとんどである。お金持ちでモテモテでブイブイ言わしている人など、このグループにはいなさそうである。 映画とは関係ないけど、駅の改札を通り抜けようとしていたら、財布から小銭を出して地下鉄代を払っているおばあさんがいた。そのおばあさんは、財布を閉めるのを忘れたらしく、財布からものすごい数の小銭をバラバラバラバラバラバラと落としていた。あまりの数に周囲がきらめくほどだった。なのに、本人は気づかず通り過ぎていく。見かねた私は、とりあえず拾える分を拾って、おばあさんを追いかけて渡したのだけど、おばあさんは「え?私が落としたの?マジで?」と半信半疑だった。ちなみに、私以外にインド系っぽい若造がいて、おばあさんの傍若無人的な小銭の落とし方にオロオロするばかりで役立たずだった(ひょっとしたら、お金を拾ってあげたいけど極度の潔癖症で拾えない可能性もあるが)。 で、元の場所に戻って、拾えきれなかった小銭をまた拾い(まだインド人の若造はそこにいてオロオロしていた)、それを「歳末の助け合い運動」で鈴をシャンシャン鳴らしているおじさんの募金箱に入れた。 おじさんは夕方七時には募金箱を閉める予定だったらしく、 「おう!ギリギリセーフだな!メリークリスマス!」 と言ってシャンシャン鈴を鳴らしてくれた。

The Silent Partner (1978)

ま、これも一応サンタが出てくるからクリスマス映画ってことで。1970年代のトロントの街並みが出てくる。イートンセンターとか、キャベッジタウンとか、パーラメントストリートとか。 トロント市内では、よく映画の撮影が行われているけど、だいたいアメリカの都市に作り変えられている。この映画はトロントをトロントとして映し出している(といっても1970年代の風景だが)。クリストファー・プラマーもジョン・キャンディも出ているし、音楽はオスカー・ピーターソン、とカナダ人のA級な人たちが出ているのに、いい感じのB級な雰囲気に仕上がっていて、大笑いだった。この映画で笑うかどうかは、初デートの相手と今後も付き合えるかどうかの決め手になると思う。 クリストファー・プラマーが超怖い。

The Front Runner

1980年代を舞台にした映画が多い気がするのは、そういう映画ばかりを私が好んで見ているからなのか。 The Front Runner は、アメリカで大統領候補になるような人の「ベッドルームのお話」(ピンクスキャンダル)が、彼らの政治生活の脚を引っ張り始めた頃のお話。 ヒュー・ジャックマンがいかにもクリーンそうな啓蒙的な政治家役をやっている。そこへ下世話なスキャンダル。「クリーンそうな啓蒙的な政治家」の嘘臭さが炸裂!! そして彼は落ちていく。根が意地悪な私は「ざまあみろ」と思った。トランプのような「啓蒙」とは程遠い人はピンクスキャンダルが起きても強く、存在が泥臭く、「ウソっぽい政治家」なのに、「クリーンそう」だった人のピンクスキャンダルは致命的。いつも「いい人役」ばっかりやってるヒュー・ジャックマンだけど、この役すごい!と思ったら、この映画、あんまり人気ない...... 浮気された奥さん(ヴェラ・ファーミガ、好きだなぁ)と浮気相手の女の子も、「ステキな男」へ過度な期待をしているところが、なかなかいい。 ただ、その面白い部分に行き着くまでに時間がかかるのが難。最初の15分ぐらいは大統領選予備選の様子なのでワサワサワサワサしていて全然落ち着かない。 メディアが今では信じられないような重い機材を持ち歩いていて、機敏な動きが取れないはずなのに、動いている。昔の追っかけカメラマンって大変だったんだろうな。