The Skin I Live in & Your Name.

しばらく前のことだけど、『君の名は。(Your Name.)』がトロントでも劇場公開されたので、夜遅くに見に行った。平日の夜遅い時間のわりには客がまあまあいて、9割はアジア系。私ももちろんその9割に入ってる。思ったよりもずっと良かった。ほんのちょっぴりカズオ・イシグロ的で(ちょっとだけ!)、好きな話だった。でも、これを見る前に大好きなペドロ・アルモドバルの映画特集が別の映画館で上映されていて、まだ見ていなかった『The Skin I live in(私が、生きる肌)』を見に行った。 http://www.imdb.com/title/tt1189073/ どっちも奇怪な話ではあるけれど、どっちが好きか、という好き嫌いの話で言うと、『The Skin I live in』のほうが断然好き。何かを救いたいという感動的な話より、人間の欲望が渦巻いているほうが好みなのだった。感動して涙を流したのは『君の名は。』のほうなんだけど。 それに、やっぱりなんつーのかしら、和か洋か、アニメか実写か、という根本的な好みの問題はあると思う。後ね、若くはないし、美魔女みたいに痛々しく頑張ってはいないのに、妖艶で素敵なファッションの女性が出てくるってのも重要。私もそういう女性を参考にしたいわけですよ。 『君の名は。』とか『私が、生きる肌』とか、句読点や読点がタイトルにあるのは何でなのかしら?後者なんて『この肌で生きる私』ではだめなのかしら。

LA LA LAND 3

LA LA LAND、3回目を見た。3回とも涙した。4回目を見てもいいとすら思っている。やっぱり大画面で見ないと面白さが半減するので。 しかしどうやら若い人の反応はそれほどでもないようで、「いい話だけど、別に何かが起きたわけではないよね」という感想を持つらしい。その意見が主流派なのかはわからないけど。 「何か」とは地球がエイリアンに攻撃されるとか、裏切りのどんでん返しでシーズン2に悪者が善玉になって戻ってくるとか、そういうことなのだろうか。確かにそういう意味では何も起こらないけど。 映画やドラマは虚構の世界だけど、いかにもありそうな、共感できそうなものを喜んで見る人と、絶対あり得ない壮大な絵空事の中に入り込める人がいる。LA LA LANDはミュージカル映画だから、どっちの要素も入っているけど。 同じ世代の人と話していて、この映画はやはり中高年狙いなところが散りばめられている、ということで合意した。そもそも「もしもあのとき…」と振り返って想像できる人生の分かれ目を経験していないとわからない「切なさ」のある映画ではある。 あと、個人的には、オーディションに落ちる経験をしているので、あの女の子の気持ちがよーーーーーーくわかる。そして、大きなチャンスを掴んでもいないので(小刻みには掴めているかもしれないけど、是非あなたにやってもらいたい、というようなものは一切ない)、あの男の子の気持ちもよーーーーーくわかる。私もLA LA LANDの住人なのだ。

Jackie

この間見た「Neruda」と同じ監督が作った映画。「伝記は危険だ」と発言して「アンチ伝記派」と呼ばれている。その気持ちはわかるね。残された人が家族だろうと身近にいた親しい人だろうと国民だろうと、「後世」に残すことを目的に描かれているから。だから真実だとか事実と言われていることってよくわからないな、と身構えて見ていたけど、とても興味深い映画だった! http://www.imdb.com/title/tt1619029/ 今取り沙汰されている「フェイクニュース」で、時々見ていた「RT」という国際ニュースサイトが実はロシア政府が後押ししているサイトで、欧米諸国から批判されていることを知った。普通のニュース(普通って何?と思ってしまうが)と、ロシア政府の視点で見たニュース(これはいいけど)にフェイクニュースを織り込ませてあるらしく問題視されているらしい。「RT」とはロシアトゥデイの略なのだけど。そんなことを知らずに覗いていた。 今トランプが就任後1週間しか経っていないのに大統領令を乱発している。オバマのときも大統領令はもちろん使っている。議会が共和党主導の議会だったから大統領令なしでは何もできない状態だったからだけど、「大統領令を使いすぎ」と批判されていた。で、過去の大統領と比べてどれぐらい発令したんだろうとウィキペディアをチェックしたら、ビル・クリントンより、ブッシュ息子より少なかった。トランプの場合、共和党から出馬した大統領なのに共和党勢力がとても強い議会を通さずに大統領令を乱発してるっていうのは、やっぱり「専制」でいいと思っているからなんだろうな。今更ながら、アメリカ大統領には強権が与えられているということを実感した。「民主主義」を掲げて他国に攻め入っていたわりに、そんなにわりと簡単に揺らぐ民主主義システムをアメリカは持っていたのかなと、不思議に思っているところ。 先週の金曜日からアメリカの移民政策に大変化が起きて、大変な騒ぎになり、暗い気持ちになっているけど、リバタリアンサイトを覗いてみたら、「オルタナ右翼の目指す社会を見たければ日本へ行けばいい」と書いてあった。民族的に同質的な社会であるということ以外に、移民や難民に厳しい政策をとっていることや、女性が社会進出しきれていないことも理由にあがっていた。アメリカのオルタナ右翼の主要人物の一人は日本で育ち、日本のことをよく知っているというのもあるかもしれない。 国際結婚アルアルなたとえ話でいうと、日本人妻がアメリカ人(白人)夫に「アメリカのごはんは本当にまずくて食べられないわ! それに比べて日本はおいしいものがたくさん!」というセリフを連発しすぎると夫婦喧嘩になり、「そんなに日本がいいなら日本に帰れば?」と反撃されてさらに喧嘩が泥沼化していくのに似ている。

20th Century Women

映画館でこれの予告編を見ていたら、好きなトーキング・ヘッズの曲が流れていたので、見た。 スローで眠たくなる出だしではある。途中で映画館退出しちゃった人は四人ほど。残った人たちは元々こういう映画が大好きで、狙ってきている人たち。意外にも若い子たちが多かった。ストーリーのそこここでクスクスキャハキャハ笑っていた。 http://www.imdb.com/title/tt4385888/ 母親が世界大恐慌の頃に生まれてて、子供が60年代後半だったか70年代前半に生まれてて、というジェネレーションギャップの話。 時代設定は1979年。カーター大統領がテレビを通して、国民に向かって、物質偏重文化をたしなめる演説をしているのを家族で見ていると、家族の反応がバラバラ。「美しい!」という母、「なんじゃそれ」という若者。大統領の演説も虚しく80年代に突入していき、あの時代がやってくる。まさに、私の世代! 子役の男の子と、エレン・ファニングがよかった。

NERUDA

ガエル・ガルシア・ベルナルが出ているので見た。 そもそもパブロ・ネルーダのことをあまり知らなかったので、この映画のミソが途中からわかった。とりあえず、ガエルが相変わらずの変な役を演じていることに満足。 ネルーダ役の人を「どこかで見たことがある!どこだろう…」と映画を見ている間中考え込んでいたら、「Narcos」だった。詩人=貧乏人ではない世界の話。そして壮大な本当っぽい嘘の話。 http://www.imdb.com/title/tt4698584/

ARRIVAL & MANCHESTER BY THE SEA

人から絶対いいと勧められ、自分でもよさそう!と期待して見に行ったけど、「ふーん…」で終わってしまった映画2本。 http://www.imdb.com/title/tt2543164/ ARRIVAL 予知能力があって、「2001年宇宙の旅」をうっすらとなぞっているような気がしないでもないストーリーとスローさ。奥深そうな話ではあったが、「あら、そうなの」とまったく響かなかった。エイミー・アダムズ好きだし、この監督のほかの映画、割と好きなんだけどな。 http://www.imdb.com/title/tt4034228/ Manchester by the Sea すっごくいい!泣いた!と言っている人も多かったので、泣くつもりで行ったら、涙は一粒たりとも流れなかった。なんとなく腹の立つ内容で、これって男の話だよな、と思った。泣いているのはおじさんが多かったし。いや、性別のせいにしちゃいけないかな。 だらしなさってのは誰にでもあるものだけど、「火は危ないから気をつけて」と口すっぱく言っても一向に言うことを聞かない人はいる。大抵は大きな事故も起こさずにだらしないまま終わっていくんだろうけど、心底しゃれにならないことを犯してしまうこともある。そして同じことを繰り返す。「火」のことだけじゃないんだけど、本当に治らない。自殺未遂シーンでは周りに大勢の人がいて取り押さえられるのがわかりきっている場所だったのにも、心底あきれた。 ミシェル・ウィリアムズはそういうダメ男と結婚している役を演じることが多いね。

LA LA LAND

笑えるところもいっぱいあったけど、切なくて、タオルハンカチで涙を拭きながら見た。 エマ・ストーンもライアン・ゴスリンも好きだし、ジャズも好きだし、大衆が背を向けそうなものを大切にしてるところも(ライアン・ゴスリンが)すごく共感できてよかったな。映画を見た後に語り合ってしまったよ。 それに個人的に思い出の場所がいっぱい出てくるのもよかった。グリフィン天文台とか。 もう一回みたい。 http://www.imdb.com/title/tt3783958/

 The Rocky Horror Picture Show

初めてロッキーホラーピクチャーショーに行った。普通の格好で。座席に座っていたら、映画館のお兄さんが「初めて?」と聞いてきたのでうなずくと、「ちょっと失礼」と言い置いて、赤い口紅で私の頬に「V」と書いた。ヴァージンのVだそうで。「観衆に向けて何か一言」と聞かれたので「何もない」と言ったら、すごすごと消えていった。冷水を顔にかけた感じで悪いなとは思ったけど。 ロッキーホラーピクチャーショーは、銀幕に向かって言いたい放題好きなことを言っていいんだけど、どうも前日のショーで誰かが、他人が言っていることが気に入らなくて、「シーっ!!」と叱ったらしく、「シーっ!はナシね!」と司会者が注意していた。そもそも「毒抜きイベント」なので、言いたい放題はお約束ということなのだろう。 しかし実際ショーが始まってみると、面白いことを言っている人もいたけど、わりとみんなFワード、Aワードなどをひらすら連呼することが多かった。完全な自由を与えられると意外とみんな同じようなことを言うもんだね。安心した。斜め前のおばさんがアヒルの着ぐるみを着て、ビール片手に罵声を発していたので、なんかこう、陰険になってないから「健康的だな」と思った。 ショーの後、映画館の向かいにあるパブに立ち寄ったら、ハロウィーンの夜なのに、若い男が一人、テーブル席に座り、壁にかかっている鏡に向かって一生懸命話しかけていた。すごく不気味だった。

The Lovers and the Despot

70年代後半に韓国から北朝鮮に拉致された女優(崔銀姫)と映画監督(申相玉)夫婦のドキュメンタリー。面白かった。韓国のCIAエージェントの話とか、二人が脱北するためにメッセージをリレーした日本の映画関係者の証言も面白かったし、申相玉が北朝鮮でこっそりと録音していたときに使っていた言語がときどき日本語だったのも興味深かった。 人によっては当時の北朝鮮が韓国よりよく見えた時代でもあったし(梁石日の小説にもそういうことが書いてあった)、CIAが本人たちの証言をすべて信じたわけではないとか、映画の中のいろんなことを合わせると、結局「拉致」だったのか、あるいは、本人たちに北に行きたいという意思があったのではないかと、謎に包まれていると思えるところが、なかなかよかった。謎なんかじゃない、あれは拉致だよ、と思う人もいると思うけど。 日本語では『将軍様、あなたのために映画を撮ります』というらしい。

Florence Foster Jenkins

昨夜は、ブルージェイズとオリオールズのワイルドカードゲームがあって、アメリカの副大統領候補のディベートもあったけど、どっちもみずに、フローレンス・フォスター・ジェンキンスの映画を見に行った。映画館を出たら、ちょうど11回裏サヨナラの直後だった。 http://www.imdb.com/title/tt4136084/ 私好みの映画だから行ったけど、そんなに期待せずにいたら、思いの外、面白くて笑ったし、泣いた。メリル・ストリープの「音痴演技」がすごかったし、ヒュー・グラントの老けぶりもよかったし、「ビッグバンセオリー」以外でサイモン・ヘルバーグを見るのも新鮮だった。何より、ストーリーが(実話なんだけど)変わっている。 それに、私は「自分には無理、できない」と自己卑下するより、大してできなくても、とりあえずやってみることに意義があると思う性格で、勝手に自分でいろんなことを催したり個人プレイも平気なほう。だから、フローレンス・フォスター・ジェンキンスの行動心理がよくわかる。人に後押ししてもらうことを期待している方が、周囲に神経を使わせると思ってしまうし、自分がやってみたいと思っていることへの「批判」の声を聞くのはずっと後回しになるから、面白くない。下手は下手なりにオーディエンスを見つけるってことの証みたいな映画だった。 あと、メリル・ストリープが「梅毒」に感染するのは、「Out of Africa(愛と哀しみの果て)」も入れると2度目だね。最近、また見てしまったのだよ、「愛と哀しみの果て」を。大人になってから見ると、話がよくわかった。