二人のマンデラ – 知られざる素顔

11月5日は私にとって記念すべき日です。翻訳を始めてから初めてのメジャーな出版翻訳をしたのですが、その本の発売日だからです。

出版翻訳は漫画の英訳をやったことがあって、世界中にファンはいるらしいのですが、サブカル度の高い漫画だったので、ファンの人には「すごーい!」と言われたものの、それ以外の人に話すと、「何ソレ」とか「聞いたことない」と散々で、挙句の果てには絵を見せると「怖い!キモい!」と本を放り投げる人までいる始末でした。

それが今回はネルソン・マンデラについての本なので、周囲の反応も好意的で、嬉しい限りです。しかもロンドンはヨハネスブルグとあまり時差がないし、マンデラはイギリスとの関わりも深くて、今ロンドンにいるのがちょっと嬉しいです。記念にロンドンのパーラメント・スクエアにあるマンデラの銅像とツーショットでも撮ろうかなと思っていたのですが、緊急の仕事が入り身動きできなくなったので、テムズ川南岸にあるウォータールー駅近くの別の頭像の写真をアップします。酔っ払って撮影したので、どこにあったのか正確な位置が思い出せません。

FBでは散々自慢しまくっていましたが、ここではちょっと真面目に。自慢でも何でもありませんが、この本を訳しているときに、マンデラの生き方や考え方にインスパイアされて、確認のために何度も音読しているときに、畏敬の念からですが、何度も目頭が熱くなりました。マンデラといえば二十世紀を代表する偉人ですが、彼が自分の過去の過ちを認めて見直しをしたことや地道な努力、冷徹に計算できる人でありながら人間味溢れるところを、公私のエピソードを交えて紹介していくのがこの本です。マンデラの身近にいたジャーナリストのジョン・カーリンの視点や筆を通じて、マンデラの政治家としての黄金期にあらためて感動を覚え、その最期を惜しみながらも偉業を称える気持ちが伝わることと思います。人に対する思いやりを忘れずに、互いを尊重しながらも意見の違いを話し合うことが、地道ながらも勇気ある行動であることは、他人を罵倒したり、二極化や対立を煽る行動がいかに単純であるかの裏返しでもあります。いったん生まれた対立や隔絶を修復するには、それこそマンデラのような稀代の偉人が必要です。だからこそ、今この本が出版されたのだろうと思います。予備知識がなくても読める本ですし、わからないことがあればインターネットで検索してマンデラの解放や演説のビデオを観れば、もっとよく理解できると思います。そしてもっと深くマンデラを知りたい人には、マンデラに関する、数々の著書もあたってみるといいと思います。

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