転倒事件から3カ月。今は普通の杖をついている。なくても短い距離なら歩けるけど。理学療法士に「ひょこひょこ歩きをすると、脳がその歩き方を覚えてしまうから、ちゃんとした歩行に戻るまで杖をついてね」と言われた。 この間、歩行訓練中に、「はい、右見て!」と突然言われ、右を見ようとするとよろめいた。「左見て!」と言われてもよろめく。要は、私の脳は歩くのに必死で、マルチタスクができないらしい。既にリハビリは4週目。あと3週間ある。多分、それで卒業できるはず。 救急病院では恐ろしい目にあったけど、長い間アメリカにいたせいで、つくづくカナダの医療費の「低さ」に驚かされてしまった。今回の医療費も自己負担額がゼロだった。入院代もリハビリ代もゼロ。杖などの介護グッズは後で保険会社から返金される。カナダは所得に応じて税金として医療にお金を払っているので「無料」ではないのだけど(確定申告書に自分が OHIP に払っている金額が出ている)。病院帰りにウーバーの運転手とこの話をしていたら、「アメリカと比べて喜んでいてはダメだ! もっとカナダが見習うべき国はほかにある!」とたしなめられ、運転手はドイツを褒めていた。私はドイツに住んだことがないのでわからないけど。 この間も、アメリカの糖尿病患者たちがキャラバンを組んで、カナダに渡り、アメリカでは400ドルする薬がカナダでは30ドルで買えると、涙ぐんで爆買いしているニュースを見てしまった。 話は変わり、6月末にヒュー・ジャックマンのショーを見に行った。彼のことを「ヒュー様」と崇める友人から、ショー前日に「松葉杖でヒュー様の気を引くように」と指示が届いた。ナイスガイで知られる彼のことだし、さもありなん、と思い、その気満々で会場に乗り込んだ。 なんと! ヒュー・ジャックマンは本当に杖に反応したのだった。でも、私のではない。私のと同じような杖をスワロフスキークリスタル風のピカピカステッカーでデコったおばさんがいて、ヒュー・ジャックマンは、そのおばさんをぎゅっと抱きしめて踊り、彼女の名前を10回くらい連呼していた。惜しい!! 杖は傘と同じで失くしやすいから地味な色じゃないほうがいいよ、と杖の先輩のアドバイスに従って、ピンクにした。
Category: 雑記
商品のキャンセル
最近特に(私のクリック履歴のせいもあると思うけど)、FBが広告だらけ。で、私の興味をそそるような、今欲しいと思っていた商品が「セール」になっていた。いつもの私なら、まずはアマゾンで同じものが売っていないかと確認するのに、その日はFBのデジタル通貨リブラがニュースになっていたので、軽い気持ちでポチってみた(別に高額商品じゃないし)。 その後、またまた同じ商品が「セール」でFBに広告が出ていた。今回は、相当数の人が「商品がなかなか届かない」とか「詐欺」とか文句を書き込んでいた。確かに「?」と思うようなところ(私が注文した商品を売ってなさそうな店)から注文確認メールが来ていた。で、やっぱり注文をキャンセルしようと、ペイパルで苦情ケースを開いた。 ペイパルは別に詐欺行為は認められなかったと判断。でも、商品を売っている相手が私のキャンセルを認めて、返金してくれた。キャンセルの要請をしてから、ものの3分ですべてが解決。決済をペイパルにしておいてよかった。こういうやりとりがすべてオンラインでできてしまう。これがカナダの銀行発行のカードなら、手続きが面倒く、「もういいや」と泣き寝入りしていたかもしれない。 後から調べたら、結局同じ商品がアマゾンでもっと安く売られていた。セールでも何でもなかった。ひょっとしてアマゾンからの転売で稼ごうとしていた? 私のキャンセルをセラーが速攻で認めたので、真相はわからない。 デジタル通貨とかそういう問題じゃなくて、FBには信用がない。唯一信用できるところは、良識的な人たちがコメントを書き入れてくれるところかも。
Raptors
普段 NBA など追っていないのに、逆に興味がないふりができないほど、トロントでは NBA ファイナルが盛り上がっていた。結局ファイナルの3試合をパブで見た。 普段見ていないので、動体視力がついていっていない。リプレイなのにまた点が入った!と手を叩いてしまう。で、結局パブで人間ウォッチしてしまう。 ゲーム1のときは、「食い逃げ」を目撃してしまった。横のテーブルにいた人たちが、試合が終わるやいなやサササッと出ていった。びっくりした。私はどちらかというと、このようなとんでもなく忙しく人が働いている日にはチップを多めに置いてくるタイプなので、ショックだった。 ゲーム2は、別のパブで見た。給仕している人に前回目撃した食い逃げの件を話したら、その店でも同じことが起きたらしく、「ゲーム1で学んだよ」と言っていた。なので、第4ピリオドが始まったとたん、お会計が回ってきた。 ゲーム1と2では、薄められたビールを飲まされたので、ゲーム6ではワインをボトルで注文。私も知恵をつけた。 NBA に一度も興味を持ったことがなかった白黒映画の仲間も、さすがに今回は見たらしく、「バスケって面白いのね」と齢70歳で気づいたらしい。そんな彼女から、 「敵と味方でユニフォームの色が違うのね。ラプターズは白いのね。色で覚えたわ」 などと NBA 初体験の感想を述べられてしまった。「ホーム試合と敵地に行ってるときとユニフォームの色は違うんだよ」と言ったら混乱していた。ラプターズを応援しているけど、カリーが好みの顔らしい。 「アイラブカリー」 と急にメッセージを送ってくるので、カレーでも食べているのだろうかと返事に困る。 そして、ゲーム6の直前に、 「私の予想、27-44でラプターズの勝ち」 と、謎のスコア予想が送られてきた。 しかし、スポーツで街全体が盛り上がるときっていうのは、普段興味を示していない人にもポジティブな影響を与えるものなのだなと感心した。
凹んだことが解決した
凹んだ諸々の件が解決した。 1) ダイニングチェアを4脚買い、そのうちの1つに座ったら、座板からねじが突き出てきて、ただでさえ負傷している右足の太もも直撃。座板は一応クッション性があるので、ねじが突き出ている状態を写真に撮るのに一苦労した。でも、写真で動かぬ証拠を突き付けたので、家具屋さんは無料で直してくれた。直すのに1か月ぐらいかかったけど(合成皮革の張替えに時間がかかったのだろう)。カナダ的な悠久の時間が流れている家具屋さんだが、結果的は非常に親切だった。 2) インスタカートでペリエが買えなかった理由がなんとなく掴めた。ロブロウズではペリエが6本で1パック、みたいなパック詰めで売られており、バラ売りはわずか。そうとは気づかず、4本とか5本で注文していた。 キッチンの床に置いてある空きボトル(空きビンも含め)の数の多さに突然罪悪感を覚え、ソーダメーカーを遂に購入。したがって、ペリエをめぐり、インスタカートと戦う必要がなくなった。既にソーダメーカーを持っている友達に聞くと、「エコとかじゃなくて、ボトルを家に運んでくるのが重いから」という理由で購入した人がほとんどだった。 3) 入院していたリハビリ病院がなかなか私を「外来」のリハビリ患者として受け入れてくれなかったので(予約しようとするとたらい回しになった)、ホームドクターにそのことを話し、「私に任せて」とドクターから病院に直接連絡してもらった。そしたら、病院から「明日にでも来て」みたいな勢いで電話がかかってきて予約がやっと取れた。これがホームドクター制というものなのか。ホームドクターにはさらに、介護用品や薬など、OHIP適用外のものを別の保険で申請するため、一筆書いてもらった。ダメ元で「掃除が不便になったので、ルンバ買ったんですけど、それはダメ?」と聞いたら、ダメと言われた。 4) 一番安いルンバを買ったので、家の間取りを学習しない。馬鹿みたいにあちこちにぶつかりながら、グルグル掃除している。まるで、目先のことに囚われ、手際よく仕事ができないが、最終的にはいい結果が出せる人みたい(職場にもそういう人はいそう)。必然、見ているとイライラするので、外出時にルンバを出動させることが多くなる。先日、窓の修繕に来たおじさんの足をルンバは見つけて、その足を掃除していた。おじさんは「俺の足は汚い」と言っていたので、ルンバは賢い。
instacart その4
インスタカートのようなサービスはやっぱりビジネスとして生き残れないのではないかと思う。というのも、アマゾンとは違って、店に欲しいものがあるかどうかは「ショッパー」さんが行ってみないことにはわからない仕組みだから。欲しい商品が届くとは限らない商売が長続きするとは思えない。前もって前日に注文してもペリエは来ないのだ! 自分の足で買い物に行けば、「ペリエじゃなくてプライベートブランドでいいか」と納得して買うけど、ショッパーさんにお金を払って買ってきてもらう場合、「なんでペリエが店頭にないのか」と不審に思ってしまう。 今日、私はインスタカートに「ペリエ」で宣戦布告した。昨日も今日も、届いた食料品の中には、頼んでおいたペリエはなかった。「店頭になかった」が理由。ショッパーさんが行った店は「ロブロウズ」なので、ペリエは絶対にあると思う。ロブロウズ系の店では、そんなにペリエ不足なのだろうか。 ただ今日は、ペリエの代わりに、プライベートブランドのスパークリングウォーターが届けられただけましだ。ショッパーさんがひょっとして気を利かして「こっちのが断然安いですよ」とペリエがなかったことにしてしまったのだろうか。あるいは、インスタカートはロブロウズ系の店で占められているので、プライベートブランドを優先するような「仕掛け」になっているのだろうか。真相は闇に葬られている。 実は、近所のスーパーには「ペリエ」専門の棚があり、腐るほどペリエがある。今は歩行困難なため、それを買って持って帰る自信がないため、入手していない。 インスタカートのヘビーユーザーなので、前にも配達に来たショッパーさんが今日も来た。怪我中だと知っているので、買い物袋をちゃんと冷蔵庫の前まで運び込んでくれるという親切な人だった。 いつの日か、ペリエがインスタカートで入手できるまでこのサービスを使い続けてみよう。そして、ペリエが届いた暁には、このサービスを使うのをやめ、別のサービスに鞍替えしたい。
instacart その3
インスタカートの盲点を見つけてしまった。 今回、1リットルサイズのペリエを4本、配達してもらおうと思ったのだが、それだけを頼むのもなんだな、と思って、キノコとか豆腐とか軽いものもいろいろ頼んだのであった。 そしたら、ペリエが店頭になかったらしく(実に疑わしい)、それ以外のものが配達された。しかも、私の家までではなく、コンセルジュのところまでしか配達してくれなかった。いつもは、コンセルジュは食料品は預かってくれないのに。 一番欲しかったものがない!と最初はキィー!と怒っていたが、ちょっと学習した。 1)重たいもので、絶対に欲しいものはそれだけを頼み、代替品を必ず選ぶ。 2)絶対にここまで持ってきてほしい、という場所をアカウントの配達指定に書いておく。 3)ショッパーとの連絡方法は、テキストメッセージじゃなく、「電話」に指定しておく。テキストだと「配達しといたからね」という事後報告が来る。 プンスカしながら、コンシェルジュや同じ集合住宅の住民に事情を話し、「あなただったら、チップと評価をどうする?」と相談した(私は低評価する気満々だったのだ)。そしたら、他の人達に「そういうのはコミュニケーション不足だから、チップを若干少なめにするぐらいで、罰を与えるようなことはしない」と言ってくれた。落ち着いて考えれば、ショッパーはやるべきことをやっている。だから払うべきものは払った。 結局私は、届けられた食料品を大きなカバンに詰め替えて、それをたすき掛けにし、「ペリエが4本届けられなくてよかった」と思いながら、松葉杖をついて自分のところまで運んだのだった。 ちなみに、コンシェルジュのおじさんが気を利かして家まで運んでくれることもあるが、このときおじさんは大量のアマゾンの箱に囲まれていて、忙しそうだった。
instacart その2
歩行が困難なので、食料品の買い物ができない。ショッピングカートを押すのも、買い物をかごを持つのもできない。カナダだと、店内にいる間は自分のバッグに物を入れてショッピングし、最後に支払えば万引きにならないが。あと、大型店舗だと店内で歩き回らねばならず、小型店舗だと、歩くスペースが狭すぎ。何より、水が床にこぼれてる可能性がある食料品店を松葉杖で歩くのが怖い。 普段は家人・友人にお世話になっているが、やっぱりインスタカート。「世話になって申し訳ない」と思わなくて済むし、欲しいものをネットでポチれるので誤解がない。まあ、友達に頼んで買い物してもらえば、後でおしゃべりが楽しめるけどね。 久々にログインしたら、店が増えてる。プサテリが入ってた。高級グロッサリーで店舗が少ないとこが参入するのはわかる気がするな。自分で買い物したくないお金持ち、昔なら、御用聞きにすべてお任せしていたようなお宅が今はインスタカート(と、勝手に解釈)。 「本当はこっちほしいけど、もしなかったら、あっちでもいい」という機能も前回にはなかった(と思う)。 子どもの頃、親が買い忘れたものなどを買いに行かされていたが、店に行ってみるとそのブツがなく困り果てるということがあった。買いに行く途中に違うことを思いついて、親に頼まれたものではなく自分がほしいものを買ってきてしまうこともあった。最近は子どもにお使いに行かせるようなことはほとんどないだろうけど。 実は私は買い物に行って、レジの人と世間話をするのも好きだったりする。店によっては、何かの事情(何かの依存症とか)で自立できなくなってしまった人の社会復帰を支援しているところがあって、そういう店では健常な人ならわけなくデキてしまうことが出来ない人たちが働いている。 以前、とあるスーパーの中にあるジェラートの店で、ジェラートを買おうと思い、洗い物をしているお姉さんに「エクスキューズ・ミー!」と声をかけた。お姉さんは、蛇口の水を止めず、泡でブクブクのゴム手袋を外すことなく、いきなりそのアワアワの手にアイスクリームをスクープするやつを持ち、私のジェラートをすくい始めた。 「あっ!」 と思ってお姉さんの顔を見たら、ここ以外ではちょっと雇ってもらえなさそうなオーラが十分に出ていたので何も言えなかった。幸い、泡はジェラートにつかなかったけど。インスタカートでは味わえないスリルだ。
ウーバーのセクハラ気味のおっさん
その後、怪我の経過はまあまあで、痛めた筋肉はだいぶ回復していると思う。 カナダでは確定申告のシーズンなため、松葉杖をついてウーバーに乗り、税理士のところへ行った。ところが運転手が「ぼくはねぇ、本職があるけど運転が好きだから空いた時間にウーバーやってるんだよ。それに、こういうのをやっていると人との出会いがあるしね。まだ独身だからいつかいい出会いがあるかもしれないしね」と言い、ニマっと笑った。 松葉杖がつっかえるので助手席に座っていた私は、このおじさんの言動に身震いした。それまでの第一印象は悪くはない。乗車するときも、松葉杖だからとちゃんとドアを開けてくれたのだ。でも、ライドシェアに運転手として参加できそうな年齢の上限に近いので(アプリを駆使しながら運転しなければならないから)、ライドシェアの文化がわかっていない! 内心、「このおじさんには星5つはあげられないな」と思いつつ、「あっそ」と言って知らんぷりをした。 そもそも、私は歩行困難で、女性(中年だけど)で、車という密室空間にいて、車の操縦権を握っていない。そういう状況でこういう発言をされると、不愉快以外のなにものでもない。「セクハラ」というものを認識していない世のおじさんたちが、一番間違いを犯しそうな状況である。これがもし、市街に向かっているのでなくて、郊外に向かっていようものなら、そしてこれが夜なら、私は途中下車をしたと思う。私の武器は松葉杖とアプリでおっさんに低評価を与える権限しかない! かといって、突然おっさんに向かって「変なこと言わないで!」と怒るのも失礼だろうし、まずいと思って、とりあえず、「あっそ」と返事し、「その話はしたくありません」のオーラを全開にした。その後は特に何事もなく、おっさんもそれ以上、あんまり何も言わず、時折「道が混んでるね」「あの車、ウィンカーちゃんと出せばいいのにね」と眼の前の交通状況を話し合いつつ、目的地に着いた。 降りるときもおっさんはちゃんと私が降りやすいように段差がないところに止めてくれたし、ドアも開けてくれた。結局は親切な人だったのだ。空気が読めていないだけで。運転手としてのおっさんは悪くはなかったので、どうしたものかと悩んだ挙句「無評価」にしてある。 昔、人(日本人)と5段階評価について話したとき、その人は「なすべきことをやってもらえたら3」だと言っていた。私は「なすべきことをやってもらえたら5」の考えなので、ちょっと驚いた。じゃあ、どういうときに5をあげるの?と聞いてみたら、その人は相当な無償サービスを与えてくれたら(感じがいいとか、そういうこと)「5」だと言っていた。まあ、レストランなんかの評価なら、その考えもわからなくもないが。 私はレストランをわざわざ評価したりしないけど、ライドシェアは身の危険と直結するので、必ず運転手を(星で)評価してる。どうしよう。
転倒事件その5
かっこいいと思った救急隊のウィリアム王子は、友達に言わせると「救急車マジック」や「鎮痛剤マジック」のせいで、かっこよく見えただけらしい。 最終的に私が入院することになったリハビリ病院では、1室2ベッドという病室だったので、お隣さんがいた。骨折などで長期リハビリが必要な人と言えば高齢者。若者も入院するけど、治癒力が高いのですぐに退院するらしく、私のいたフロアの平均年齢は65歳ぐらいらしい。 私のお隣も高齢の女性で、東欧系の人で英語がほぼできない。クロアチア語を話していたので、コソボ紛争あたりでカナダに移民してきたのかも。週末には娘と息子が見舞いに来て、クロアチア語で話をしていた。娘は近くの病院にお勤めしているので、英語が話せない母親に代わって、看護師にお母さんの要望を伝えていた。 一応お隣さんなので、挨拶ぐらいは身振り手振りで交わしていた。私のほうは入院したてというのもあって、見舞客が毎日来てくれて、おしゃべりの時間もとても長かったし、パートナーは毎日顔を出してくれたし、ユーチューブ見たり、音楽も聴けた。一方、お隣さんはスマホもコンピューターもないので本しか娯楽がない。連休だったので家族が時々来ていたけど、お見舞いの時間はとても短かった。多分、ほかの高齢の患者さんたちも同じような感じなのかもしれない。 私が一番堪えたのは病院食。とてもまずい。特に夕食がひどい。朝食と昼食は軽食なので、口をつけられないほどまずいものはあまり出てこない。入院時に食事の好みに答える用紙に記入したけど、ものすごく細かい。多種多様な人が入院するので、食事も同じものを一様に配膳できず、病院側は大変なのだそうだ。 私は友達やパートナーに外から食事を持ち込んできてもらったので、ラッキーだったけど、それでも病院食が体に合わず、いつも気分が悪かった。薬を服用するのに少し食べたほうがいいと思って、ほんの少し口をつけていただけなのに。食事面を考えただけでも、長期入院している患者さんが本当に気の毒だった。でも、長期だと家族や友人も頻繁には食事を運べない… どこの病室の人かわからないけど、毎日一日中、苦しそうに咳き込んでいる人がいた。その人も骨折しているはずだから、咳は骨に響くので本当につらい。看護師に「あれは何?」と訊くと、「喫煙者だったからああいう咳が出る」と教えてくれた。英語で smoker's cough という。 私は怪我の原因がそもそも笑えるので、看護師たちともその話で盛り上がり、親しくなれた。親しくなると、やっぱり超多忙な看護師相手でもコミュニケーションが図りやすくなる。だから、「もうこれ以上は病院にいたくない」と嘆願したときも、あの手この手で交渉して帰してもらえた。「交渉」といっても、「私はこういう動きはできるし、こういう作業は自分でできるし、必要なものはネットで買うし、助けてくれる人も周囲にいる」などと、いかに自分には入院の必要がないかを主張するだけなのだが。病院側にはいろんな立場の人がいる。医者、看護師、理学療法士、作業療法士、薬剤師と、同じことを何人もの人に繰り返し言わなければならない。「わがままかもしれないが、これが私の意志なのだ!」みたいな開き直りは必要。 でも、お隣さんのように英語が話せないと、自分の病状や痛みを伝えたり、お願いごとをしたりできない。カナダの病院だから、英語、フランス語、スペイン語、中国語ぐらいは誰か話せる人がいると思うけど、少数言語になると難しい。やっぱり、海外に長く住むのであれば、その国の公用語か主要言語はある程度話せるように努力すべきだな、と思った。「そんなこといったって...」と反論する人もいると思うけど、そこは踏ん張らなければならないところだと思う。家族に全面的に頼ると、家族関係にひびも入ると思うし。 私はただの骨折だったので、医者と話をする機会はほとんどなかったけれど、看護師にはどこの病院でも本当にお世話になった。まったく動けないので、何をするにも看護師に動いてもらわなければならなかった。救急病院の看護師たちは殺気立つほど忙しそうだったけど、リハビリ病院の看護師たちも、特に朝から昼すぎまでは、広いフロアを走り回るぐらいのスピードで患者を診て回っていた。そんな中でも、面白い話をしてくれたり、ちょっとした無駄話を交わして気持ちを和らげてくれる看護師さんは本当にすごいなと思った。 まだ請求書が届いてないけど、多分、松葉杖と薬以外はタダなのだと思う。これだって後で申請すれば保険である程度はカバーされる。一人でシャワーを浴びられないので(バスタブをまたげない)、補助ベンチを買ったけど、これも保険がある程度適用される(医者が必要だと一筆書いてくれたので)。カナダはやっぱりその点がありがたい。 ちなみに私が買ったシャワーベンチはこれ。http://www.myaquasense.com/products/bathtub-transfer-bench/ アマゾンで買って翌日ぐらいに配達してもらった。 カナダでも、病院の経営統合やコスト削減のニュースはよく聞く。カナダも高齢化が進んでいるのに、最小限の人材やコストで、長期入院者(高齢者)を支えようとしているようにしか思えない。私が1件目の救急病院で帰されそうになったのも、そういうことのしわ寄せじゃないかと思ってしまった。 無駄をそいで、雇用を創生するのも大事だと思う。病院経営にもそういう部分はあるのかもしれないけど、医療はもう少し手厚くしてほしい。どうしても何かをそぎ落とさなければならいのなら、郵便局を民営化して、医療を充実させてほしいかも。 以上、転倒事故の報告でした。
転倒事件その4
2件目の救急病院でも一夜を過ごし、昼頃、看護師が「受け入れ体制が整ったら、リハビリ病院に搬送するからね」と告げに来た。中国系の若くてやさしい子だ。 私のベッドの斜め向かいには、老老介護の典型で、非常に太った女性がベッドに横たわり、その旦那らしき男性に付き添われている。が、二人とも看護師の指示をあまり理解できていない(高齢のせいだけではなさそう)。そして、その患者の体重、高齢、怪我の重症度を考え、簡易ベッドの横におまるが運び込まれている。 午後3時、いよいよ私はリハビリ病院に行くことになったのだが、一般のタクシーにひとり乗って行くらしい。「向こうに行けば、医療スタッフが玄関で待っているから大丈夫よ!」と看護師に励まされる。その彼女が私を車椅子に乗せ換えたりして、私のことで手一杯になっている最中に、例の斜め向かいの女性が自力でベッドからおまるに這いずって移動したため、大変なことになっていた。看護師に「使うときは、必ずナースを呼んでね」と言われていたのに、である。「だって、ナースに迷惑かけたくなかったし、人に見られるのは苦痛なのよ」と叫ぶ声が聞こえた。その気持ちはわかる。私も、自力でトイレに行く自信がなく、ベッドの上に用意してもらったのだ。車椅子に乗せ換えられ、看護師が戻ってくるのを待つしかない私は、一瞬ではあったが、この斜め向かいのベッド上の阿鼻叫喚の空間を見てしまった。看護師さんは日々あのようなものを処理しているのかと衝撃を受けるとともに、頭が下がる思いがした。 タクシーがやってきた。1台目はバンだったので車高が高すぎて私は乗れない。2台目は運転手が英語がほぼほぼできない運転手で不安が募る。「プリーズ、ドライブ・スローリー」とゆっくり言ってみたら通じたらしく、優しい運転だった。 が! リハビリ病院に着いたのに、お迎えがいない! 運転手も私も困り始めた。二人ともどこへ電話をかければよいのやらわからない。運転手に「病院のロビーに入っていって、事情を説明してきて」と言っては見たものの、そのような高度な英会話を彼には期待できない。が、しつこく頼んでいると、ようやく重い腰を挙げてくれた。そこで、やっとやっと、お迎えの人が車椅子を押しながら出てきた!! 救急病院を2晩体験した後のリハビリ病院はもうまるでVIP施設!! ちゃんとした部屋、しかも窓際のベッドをあてがわれた。誰も殺気立ってはいない。理学療法士も作業療法士もいる。誰かに「今日何か食べたの?」と訊かれ、ようやく気付いたが、この2日間何も食べていなかった。その事実を告げると、クッキー、サンドイッチ、ジュースなど、いろんなものを出してきてくれた。どれもこれもまずいが食べなければと思って少し食べた。 「私って、食事制限があるわけじゃないし、ウーバーイーツで食べたいものを注文して運んでもらってもいいのかな?」と冗談で言ってみたら、「いいよ」って。この時点でFBに何となく怪我して入院してるっぽいことがわかる投稿をしたので、いろんな人に食事を運び込んでもらったおかげで、ウーバーイーツに注文せずに済んだが。これって入院2.0だなぁ。 しかし、連休の週末とあって、理学療法士も作業療法士も家に帰る気満々の状態。ギリギリ入院してきた私のために、歩行器の使い方、ベッドの乗り降りのコツ、寝返りが打てない私になんちゃって寝返りをする方法などを短い時間に伝授してくれた。さっすがプロ! 入院中は、頭と手が動くので翻訳の仕事も再開したし、読書もしたし、いろんな人とおしゃべりもし、快適だった。でも、もうそのリハビリ病院もゴネて退院してきて、今は家にいる。でもその病院での経験も書き残しておきたい。 というわけで、まだまだ続く......
