Save the Last Dance for Me と言っても越路吹雪ではなく、マネージャーの岩谷時子が主人公。うちのおじいちゃんが「越路吹雪はホントにいいねぇ」とよく言っていたので、その名が幼少の私の心に刻まれた。学生時代、友だちに「郷ひろみの『小さな体験』って歌に、『初めて二人が出会った喫茶店にカナリアがいたね』って歌詞があったよね。あのカナリアは絶対黄色だよね。あの歌を聴くと、カナリアしかもう浮かばないよね。すごくない?」と言われ、その作詞をした岩谷時子の名前が、文学少女の私のハートに刻まれた。そしてそして、中年になって歌舞伎の面白さを知り、まだ生では見たことがない玉三郎を見たい見たいと念じていたら、なーんと、この本には青年期の素顔の玉三郎がいっぱい出てきた!!!ちなみに西城秀樹も1、2行出てきた。『デュエット』で鳳蘭と共演してるからだけど。大学進学するとき、私は「レンガ造りのすてきな校舎が並んでる大学」を基準に学校を選んでいた。もちろん神戸女学院も候補に入っていた(←岩谷時子の母校)。でもそこではなく、別のキャンパスが美しい大学を受験した。受験前夜に武庫川沿いのホテルに宿泊し、「嗚呼、もし私がこの学校に受かったら、きっと宝塚をいっぱい見るにちがいない」(←岩谷時子は大の宝塚ファンだった)と川を見つめながら胸を膨らませていた。あの頃の私は人生をなめていた。この私の意識の流れがこの一冊に詰まっていると言ってもいい。
Author: Kyoko Nitta
Last Christmas
https://youtu.be/z9CEIcmWmtA Wham!の音楽にもっとトリビュートしてるのかと思ったら、なんか噛み合ってなかった。「Last Christmas」のあのビデオのストーリーをなぞるのかと思いきや...... びっくり仰天して、椅子からずっこけ落ちるかと思った。最後のシーンにアンドリューが出ていたのだけど、見終わってから友達に言われるまで気づかなかった。平日の夜だったせいか、何かの知的障害者のグループが介護人たちと一緒にこの映画を見に来ていた。介護人たちは後ろの方に座っていて、障害者は前のほうにいた(映画の間はお互いに離れていたいのかも)。私達は障害者の割とすぐ後ろに座っていた。映画の中でも割としんみりしたシーンで、彼らが一斉にブツブツつぶやいたり、(つぶやいたせいで?)咳き込んだりしたので驚いた。あのシーンの何かに反応していたのだろうか。確かに、あのシーンあたりから話が思わぬ方向に進んでいった。つぶやきの内容までは聞こえなかった。ロンドンのいろんな景色が懐かしかった。行ったことのある場所がいっぱい出てきた。あまりにも破天荒な内容だったので、気休めにこれはっとく。 https://youtu.be/E8gmARGvPlI
JOKER
https://youtu.be/t433PEQGErc joker やっと見た。帰結点はなんとなくわかっていても、想像していた以上にダークだった。妄想と現実が入り乱れているのも怖かったし、救いがないところも怖かったし、ホアキン・フェニックスの肋骨も怖かった。実際、過去にジョーカーを真似して、とんでもない罪を犯した人もアメリカにはいるので、(私はカナダにいるのだけど)それも怖かった。映画には見入ってしまったけど。溜め込んだポイント使ってVIP席で映画を見ようと思ったら、VIPチケットを買うにはポイントが足りないと言われ、「じゃあワイン代にポイント使う」と言ったら、アルコールにはポイントは使えないと言われ、今日中にポイントを使わないとポイントが失効してしまうのに!!とジョーカーになりそうになった。私は、ものを集めるのは好きだけど、実はポイントをあまり集めない。自分が振り回されそうで、勝手に還元してくれないポイントは特に集めたくない(だけど映画館のポイントはすぐにたまってしまうので結果的にためている)。
WOKE
サンフランシスコに行っているときに、エア・カナダが機内放送で「Ladies and Gentlemen」と呼びかけるのはやめて「everyone」と呼びかけることにしたと発表した。変更の動機は、性同一性障害の人などへの理解を示すためなのだけど、「everyone」のほうが短いから楽でいいじゃないの?と思っていた。先日、銀行の窓口で、行員のおばさんが私を接客しているときに、別の誰かに「Excuse me, Ma'am?」と声をかけた。その行員が「おっとっと!『Ma'am』って使っちゃいけなかったんだわ! 今日そういうトレーニングを受けてきたばっかりなのに」と私にこそっと言うので、「なんで?」と聞いてみた。「明らかに女性に見えても、その人が女性であることに違和感をもって生きているかもしれないから、勝手にこちらが決めつけてはいけないの」と言う。そうなのか、もうそういうところまで来ているのか、と複雑な気持ちになり、「複雑だよね」と返事した。失礼にならないようにわざわざ「Ma'am」と言っているのに、「そこの赤い服を着たアジア人の中年!」と言うほうがポリティカリー・コレクトなのだから。she/heを曖昧にできない英文法の悲劇だ。今度は、11月初め、オバマがミレニアム世代に向け、「SNSで人の過ちをあげつらうだけというのは『活動』とは言わない」と発言した。世の中というものはぐちゃぐちゃしていて、矛盾の避けられない場所なのだというようなことも言いたかったのだと思うが、翌日には「オバマも古い」と批判されていた。SNSを駆使する若い世代で、意識が高く(?)SNSに投稿して世の中に批判の声を上げる行為だとか、その批判を意識して「ちゃんと」作られた作品などを「woke」という。で、そういう批判に晒された人々がキャリアを失うほどまでに追い詰められることもある。そういう風潮をキャンセル・カルチャーという。#metooで著名男性が失墜するのがその好例。そうかと思えば、同じ#metooでも、『Master of None』のアジズ・アンサリが、「それはどうなんだろう、それぐらいは普通のデートの域ではないのか?」的な行為でバッシングされ、いっときキャリアを失いかけたりもする。行き過ぎるキャンセル・カルチャーをオバマは批判したのだと思うし、「ネット弁慶で終わるなよ」とも言いたかったのかも。「ネット弁慶」で私が個人的に一番イヤなのは「英語警察」。日本で誰かが英語を誤用した疑いがかけられると、「そんなにみんな英語に精通しているの?」というぐらいに英語警察官がニンニンと増える。私は英語で食べているけど、今でも take、make、get、have などのとても簡単そうな単語に頭を悩ましている。ちなみにオバマも昔、口がすべって「アメリカ57州を訪ねたことがある」と言ったことがあり、ネットで突かれていた。
遂にHamilton
Hamilton at Chicago シカゴで「ハミルトンでも見るか」と思い、チケットの値段の高さにひるんだのが3年前。チケット買ったのに、開演時間までにニューヨークにたどり着けなかったのが今年8月。そんな紆余曲折を経て、今年10月やっと、シカゴで念願のハミルトンを見た!! リベンジの日がこんなに早く訪れるとは思ってもみなかった。2015年の初演から4年もかかった。来る日も来る日もサントラを聴いていた。同じようにサントラを聴きまくってから劇場に足を運んだ友達からも「サントラどおり!」と聞いていたが、まさにそのとおり。英語に自信のない人にはサントラをよく聴いておくことをお勧め。あと『Hamilton』はアメリカ建国のお話なので、少しは勉強していったほうがいいとは思う。外国人が何の予備知識もなしに歌舞伎を見てもわからないのと同じで、予備知識がないと、ラップでアメリカ建国史を歌われてもな....... ということになりかねない。歴史をアレンジして作られた演劇や映画、書物はバカ売れすると、「史実を捻じ曲げている」的な批判が必ず出てくる。確かにバカ売れすると 、それをつい情報源にしてしまう。徳川光圀のことをあまり知らないのに『水戸黄門 』のせいでよく知っていると思い込んでしまうのに似ている。『Hamilton』は『水戸黄門 』ほど史実から乖離しているわけではないけど、初演当初は著名な歴史家たちがミュージカルと「史実」の違いを説明する記事もよく出ていた。でもこのミュージカルはそもそもハミルトンを筆頭にアメリカ建国の父たちとその周辺の人々を有色人種が演じているので、「史実は違う!」と目くじら立てるのも変。私は、にわかにアメリカ建国史に興味を持ってしまったので、このミュージカルの原作を読もうかと思っている。それより、最近うるさく言われる「文化の盗用」。『Hamilton』もアメリカの保守系の論客に「文化の盗用」だと批判されている。カナダ首相も総選挙直前に昔のハロウィーンで「アラビアン・ナイト」の扮装で顔を黒塗りした写真が流出し、何回も謝罪していた。 この場合は黒塗りがアウトで、コスチューム自体はOKなのだと思うがよくわからない。かつての私の上司は日本が大好きだったのでハロウィーンで着物姿になっていた。きものはコスチュームではないけど、日本人でない上司のきもの姿が滑稽だったし、何より本人が大喜びだったのでハロウィーンの馬鹿騒ぎにぴったりだと私は思っていた。仮に私がハロウィーンで「トランプ大統領」に白塗りして変装すると「文化の盗用」になるのだろうか? トランプを差別してはいないけど尊敬はしていない。でも、仮に私が「ベトナムの笠をかぶった農民姿になってハロウィーンやりたい」とする。私はベトナムの農民を差別してはいないけど、悪趣味だとバッシングされそう....... 非常に面倒くさい話だ。要は、嫌いな人が悪趣味な格好をすると「文化の盗用」と騒ぎたてることが許される状況になっている気がする。だから嫌がっている人が多いんだと思う。こういうこともいろいろ含めて『Hamilton』は本当に面白かった。もっといい座席で見たかったのが残念でならない。
ツイッター本社
Twitter HQ 毎年恒例のツイッターランチに行った。本社ビルのセキュリティは厳しい。あのような、炎上を招きやすく、ある人がある日突然世間からいわれのないバッシングを受けることもあるツールを作っている会社なので、恨みを持っている人も多いのかもしれない。それに、本社ビル周辺には浮浪者が非常に多く、変な人がふらふら入ってこないようにしているのかもしれない。毎年ゲストリストに名前を入れてもらい、受付で写真入りIDを提示するように言われるのに、いつも運転免許証もパスポートも持ってこない。いつの年だったか「何も持ってないのでクレジットカードでもいいですか?」と言ったところ、「クレジットカードはIDのうちに入らない」と一蹴された。それでも、クレカを2枚見せて粘り勝ちしたことがある。今年もまたクレカで切り抜けようとしていたら、「あなたが本当にあなたである証はどこにもないし、私はあなたがあなたであることを知りえない」といかつい受付の黒人女性に睨まれた。「ごもっとも」としか言いようがない。優秀な受付さんだ。ちなみに、ツイッター本社周辺の浮浪者の多さと人糞の凄まじさはすごい。聞いてはいても、あの場所に行かなければ危機感を覚えない。マーク・ザッカーバーグの顔は毎日のようにニュースで見ていても、サンフランシスコの浮浪者の現状はトロントにいると見えにくい。何事も「現地に赴く」ことには大きな意義があるのだ。2011年(私がカナダに引っ越して1年後)と比べると、道に落ちている人糞の数は5倍から6倍に膨れ上がっているらしい( https://www.vice.com/en_ca/article/a3xdae/more-people-pooping-in-san-francisco-than-ever-all-time-high-vgtrn )。ランチの後、友達と歩いていると、あまりの浮浪者の多さにオープンしようにもオープンできないショッピングセンターの入り口の前に、巨大な人糞が2つ並んでいた。「これは、二人の人間が並んでしたしたものなのか。それとも、一人の人間が小分けにしたものなのか」と友達が自分の息子に訊いていた。そんなことを考えもしなかったと私は心の中で感心していたのだが、「そんなことは考えたくもない」と息子君は答えた。この年になっても幼稚園児の精神構造をしていると言われがちな私からみると、非常に聡明で大人な答えをしていると思った。
バッグ置き忘れ事件
San Francisco Bay 1年ぶりのサンフランシスコ。気候的には10月が最高。友達との再会も最高。でもカバンをシェアライドの車の中に置き忘れた。慌てて降りたのがいけなかった。レストランでお勘定するときになってようやく2個あったカバンが1個しかないことにようやく気づいた…… 当然貴重品が入っているほうがない。同行の友達が呼んだリフトだったので、彼女を介してドライバーやリフトに連絡するしかない。リフトの対応は速やかで、ドライバーも最初の電話には出てくれたけど、私が気づくのが遅かったため、既に遠くに行っている。それに彼の英語が拙い。ちなみに、紛失物の問い合わせは リフトのアプリからできる。そうすると、リフトからドライバーに連絡が回り、ユーザーがドライバーに 直接連絡できるようにもなっている。ただ、リフトを間に挟んで紛失物を回収しようとすると、リフトに15ドル払うことになるうえ、その日のうちに回収できない。旅行者の私は、直接ドライバーにカバンを持ってきてもらう道を選んだ(友達のためにも長引かせられない)。実は、カバンをなくす直前、友達にお金を返すため300ドルを銀行から引き出していた。その現金がカバンの中に入っていた。アメリカでそんな大金をわざわざ返しに来るお人好しドライバーがいるのか?! ピザを宅配注文しても配達途中でピザが行方不明になることもある国なのだ! レストランの帰りに乗ったリフトの運転手に聞いてみると、「カバンを返してくれるかどうかは人による」らしい。300ドルの現金入り財布をその日のうちに返してもらうには、魅力的な「報酬」を提示するしかない!! 50ドルと提示してみた。 不幸中の幸いで、私は友達の家でスマホを充電させてもらっていて「ダブル」の置き忘れをしたため、友達の家からウーバーを呼び、自力でホテルに戻ることができた。しかしドライバーからは、なかなか返事が来ない。英語のメッセージの解読や返信に時間がかかるのかもしれない。私の頭の中では、この人は小さな子供を抱えたお父さんで、子供が寝付くまでは財布を返そうにも返せない、というシナリオが出来上がっていた。この日のうちに返事は来ない...... 私は諦め、私のために奔走してくれている友人にもそう伝え、クレジットカードや銀行カードにロックをかけ、スマホから離れてネットで遊んでいた……。1時間ほど経っただろうか。スマホにふと目をやると、メッセージの着信数が半端ない。友達から怒りの叫びがいっぱい届いている。ドライバーと連絡がつき、私のホテルに持ってきてくれる、いや、もう既に持ってきてくれた模様なのだ。慌ててフロントデスクに行くと(走れないので足を引きずり、つんのめりながら急いだ)、フロントのお兄さんが「ああ!」と言ってカバンを出してきてくれた。「ドライバーに本当に50ドルあげるって言ったの? 本人のいないところで財布を開けるわけにはいかないけど、時間がないからって、僕の目の前で50ドル抜き取っていったよ」あのリフトのドライバーは、友達が送ったメッセージをフロントデスクのお兄さんに見せたらしい。実はとても正直者で、いい人だったのだ。私は今までずっとウーバー派だったけど、これを機にリフトに乗り換えることにする。さようなら、ウーバー。こんにちわ、リフト!
Parrots of Ookayama 2
Episode 1 Episode 2: Shoko in Ookayama Alan could not allow Shoko to do nothing. So he asked her to beautify their apartment in Ookayama. She wasn’t particularly good or bad at it. But it wasn’t enough to fill her days. The problem was that their apartment was already furnished and she wasn’t bothered by… Continue reading Parrots of Ookayama 2
First Love & The Makioka Sisters
https://youtu.be/0XBBGjUf63E 三池崇史の『初恋』、面白かった(笑ったし)。だけどタランティーノっぽいし、私の好きな『Baby Driver』にも似てた。『初恋』の前に、市川崑の『細雪』がやっていたのでそれも見た。実は『細雪』は四人姉妹という設定がすごく好きで、何度も見ている。うちは三姉妹だけど、姉妹の気の使い方やコミュニケーションがそっくりすぎて(義理の兄や弟への依存度まで似ている)、共感どころか感動してしまうから。ウチは貧乏なので、船場のいとさんたちと比べるのはおこがましいけど、服を着せ合っているシーンや、三人揃って親に家族に関する意見を述べるときのシーンとか、そっくりすぎる。久々に見た『細雪』は、相変わらずあのシンセサイザーの音楽がうるさかった(私は嫌いなのだよ、あの音楽が。全然谷崎潤一郎的でないから)。今の日本から見ると、『細雪』の世界なんてまるで『ダウントン・アビー』なので、これからああいう映画を作るなら、『ダウントン・アビー』風にしてほしい。
Judy
https://youtu.be/HU2GJwkH71M ジュディ・ガーランドのお話。キツイ内容だとは聞いていたものの、いたたまれなかった。レネー・ゼルウィガーの私生活と重なるところがあるからかも。でも、ぴったんこの役が回ってきて、苦労した甲斐があったね、とも思ったりする。映画の後、レストランに食事に行き、若いウェイトレスに「何の映画見たの?」と聞かれ、「ジュディ」と答えた。きょとんとしていたので「ジュディ・ガーランド」と畳みかけてみたが、彼女は知らなかった。頭をフル回転させ、彼女の世代でもわかりそうな子役スターで今も現役スターを探してみた。「ジャスティン・ビーバーぐらいな感じのスーパースターだった人」と説明したら、ふうん、と薄めの反応で、「悲しい映画はいや。泣いちゃうから」と言って去って行った。たとえが悪かったのだろうか……私は実は最後にたまらなくなってボロボロと泣いてしまった。
