THE VEGETARIAN

邦題は「菜食主義者」 国際マンブッカー賞を受賞して話題になったので、英語で読んだ。国際マンブッカー賞はイギリスの文学賞だから英訳されないと候補にならない。賞金は原作者と翻訳者が折半、というのも私の興味を引いた!! しかもこの訳者はものすごく短期間で韓国語を習得したらしい。 世の中には、暴力をふるっているとは思っていない人がふるっている「暴力」がある。過剰な親切心とか、社会の慣習に従うことを執拗に他人に求めるとか、そういう感じのこと。この本では、それがベジタリアンに転じた娘(妻)に対する家族の説得行為になっている。異常なほどの説得は罰ゲームとなり、ストーリーが始まる。周囲の人間はベジタリアンになった人を矯正し、また肉食に戻すことが大事だと思い込んでいる。ベジタリアンになることは、そういう不躾な人たちへの、その女性の小さな反抗なのかもしれない。そして、この女性が「木」になりたいと思っているのが、なんとなくカフカの「変身」を思わせる。 3部に分かれていて、第2部はとても官能的で視覚的にも興味をそそられる。 私は子供のころから40になるまで、肉が全般的に苦手だった。同じ日本人に「肉を食べない人の結婚は破綻して当たり前」と言われたこともある。それを「ひどい!」と思わない人には、「そういう意見にも一理ある」と思う人には、まったく何のことやら、という話の本かも。

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か

人工知能の歴史を知るには手っ取り早い本だった。 最近我が家ではAIがネタになることが多い。最近では、囲碁の世界チャンピオンとグーグルのAlphaGOとの戦いもあったし、羽生さんが電王戦に出場するらしいなどニュースになっているから、人工知能をもっと身近に感じる。 この本でもコンピューター対人間の将棋戦のことが色々書かれている。将棋の将来を憂う人もいるらしい。 考えてみれば、私の趣味である編み物は、とっくの昔に、産業革命の時に機械によって人間の手から奪われている。それでも世界中に手編みファンはたくさんいる。セーターなんて買ったほうが安いに決まってるし、毛糸は高価。なのにニット好きは生き残っている。むしろ、趣味で機械編みをする人たちが、手編み派にディスられることがある。 自分で手を動かすのが楽しいとか、何かを作るのが好きという人は一定数いつもいる。もし、AIのほうが将棋が強いから将棋はもうやらないという人がいたら、その人は将棋がそんなに好きではないんだと思う。 それよりも、AIお掃除チャンピオン決定戦みたいなものが盛んに行われて、自分で階段を上って掃除をやってくれるロボットがほしい。 カナダのイケメン首相は、カナダ国内でテクノロジーを育てて起業のチャンスを広げたいと投資を発表しているけど、トロント大学とモントリオール大学にAIの世界的権威者がいることと関係しているのかもしれない。

音声認識

windows 10の音声認識があまり使えないので、グーグルの音声検索機能を使ってブログを書いています。アップルの音声認識と同じぐらい優秀です。そしてこの話しかけもどんどんと蓄積して賢くなっていくでしょう。どんどん学習して賢くなっていくことでしょう。 アップルもグーグルもアクセントのある英語を認識してくれます。windows はしてくれませんでした。 ビルゲイツは人工知能について色々予言をしているのにマイクロソフトの音声認識は残念です。私の windows の設定が悪いのかもしれませんが、ちゃんとした設定をするまでが大変そうです。 ユーザーを怒らせて os をアップデートさせたのにね。 http://business.financialpost.com/fp-tech-desk/microsofts-windows-10-push-comes-to-shove-for-some-angry-users?__lsa=bf30-8d35

片手生活 その2

片手生活からは、あと2、3週間でもうすぐ解放されると思う。わりと自分で努力したほうだと思うけど、それでも朝の身支度には時間がかかる。 片手生活で便利なもの 眼鏡 コンタクトレンズは装着が難しい。時間がかかる。 スポーツブラ フック付きのブラは自分では着用できない。 すっぽりとかぶるワンピース ファスナーつきワンピースは自分では着られない。 化粧コットン 化粧水には絶対に必要。 ちなみに片手でふたが開けられない化粧品容器が多い。ドラグストア系の化粧品ならプラスチック容器が多いので、万が一落とすことがあっても安心。 ハンドクリーナー 片手で掃除ができる。重くないから片手で持ち運びができる。 音声認識入力ツール このブログも今音声認識で書いている。 これからも使っていきたい。

クラウドが気持ち悪い!

先日、某クラウドから、ものすごい数(4000以上)のファイルがアップデートされたという通知が一瞬表示された。でも何もしていなかったし、履歴を確認したらそんなことは記録に残っていなかったので、変だな、と思っていた。 それで、あるフォルダーを見たら日付が変わっている! そのクライアントとは1年半仕事をしていなかったのでおかしい!なんか自分でやらかしたか、それとも不正アクセス? でもそのフォルダーだけだったし。クライアント名をフォルダー名にしていたし。 で、そのクライアントだった某新興テクノロジー会社が、某テクノロジー大企業に買収されたというプレスリリースが出た後にそういうことが起きたので、この某クラウドももしかして信用ならない?  で識者に相談をしたら、やっぱり気をつけろと。 そもそもグのつくところのメールサービスで送られてきたものだから、大した機密情報を扱ったファイルではないし、すでに終了しているプロジェクトだし、でも、重要か重要じゃないかというのは不正アクセスしてくる人たちの価値判断なので、やっぱり気をつけようと思ったわけです。特に仕事引き受けるときに、なんかかんやと同意書にサインさせられる仕事の時はね…… なんだろなー。やだなー。

A Pale View of Hills

英語で読んだ。邦題は「遠い山並みの光」。 カズオ・イシグロの小説なので、いつものように「何が言いたいんだろうか」と思いながら読み、?????と取り残されたまま最後のページをめくり、あれはなんだったんだろうか、と考え続ける。で、そのわりには、じわじわと深く心を揺り動かされるのだった。 イシグロファンでなければ、「ナンじゃこれ?」 ファンであれば、「余計な説明は要らない!」 という話。 最後のほうの猫のシーンで緊張が走り、「これはイシグロさんの初期の作品だから、もっとはっきり決着つけてくれるのかな」と期待した私が愚かだった。でもなんとなく、アレなのかな?という察しはつけてある…… ちょっと怪談っぽいし、おどろおどろしているし、戦前戦後、前世と現世、日本と海外、Before & Afterとまたいでいるものが結構ある。 初版のカバー (ネタバレでは決してないと思うけど、これから読もうかなと思っている人がもしいたら、ここから先は読まないほうがいいかもしれない。でも1982年の小説だから、今頃読みたい人もそんなにいないだろうから書いてしまおう) エツコはサチコじゃねえのか? いやぁ、この小説もよかったな! 最近80年代のものばっか手につけてるな。

不機嫌な果実

新しくまたドラマになるのね。 林真理子のバブル直後の不倫小説。既婚女性が夫以外の男たちと燃え上がり、あれでもない、これでもないと、男を巧みに操る(?)話。妙に現実味を帯びた官能的な話でもあるが。 林真理子の描くバブル期の女は、計算高すぎて、夢も欲望もお金が基本。お金にこだわり過ぎている。主人公の女が、美人でスタイル抜群であるはずなのに、せこすぎる!あまりにせこすぎて、しみったれている! 笑ってしまった。コメディーにしてくれたほうが私は納得がいく。だって、本当にこういう女いるもん。 話ずれるけど、私の場合、たとえば夫婦喧嘩して「相手に非があるから謝罪のしるしとして5万円のバッグを買ってもらう」というような状況になったとき、自分の我慢代が「5万円」みたいで嫌なんだよね。そういうバッグを気に入って使うこともまずないだろうし。 でもなんか、この話の主人公の女はそういうことしそうなタイプ。

片手生活

骨折してから10日経過。事故翌々日から家人は長期出張。片手で一人暮らしが続いている。彼は家を出る時に、「左手骨折すんなよ」と禍々しい注意の言葉を残していった。 友達が何人か来てくれたし、家政婦さんにも来てもらったので、持ち直したものの、食事は助っ人さんが来てくれるまで大変だった。片手生活は老人生活のシミュレーションかもしれない、とすら思った。 とりあえず、片手生活において威力を発揮したものを書いておこう。 1.くるぶしまでの短いソックス。 この長さなら、かろうじて一人で、片手で履ける。 2.パチンコみたいなデンタルフロス 歯磨きが難関だし、普通のフロスは絶対に無理。 3.塩 はじめのうちは歯磨き粉がしぼり出せなかったので塩で代用。 4.ハンドヘルドタイプのシャワー 虫の知らせだったのか、最近このタイプのシャワーに変えたのだった。最近安いものが結構出てるよ。 5.食洗機 食洗機、小さめのほうがいいな。頑張ったら手で洗えるけど、洗っている間に何かを割って、二次災害が起きそう。 6.ライドシェアリング より頻繁に使ったので、タクシーとの価格差がより鮮明に。病院に行くのに使ったけど、往復でウーバーが18ドル。タクシーだと30ドル。両方チップ込み。TTCはうっかりプリペイドカードが使えないバスとか地下鉄の駅に行ってしまうとハードルがすごく高くなる。 7.クロックス 紐の靴は途中で紐がゆるんだときに結び直しができない。 タッパー、回して開けるタイプのものはハードルが高い。びっちりと巻かれたラップも。 アイロンもできない。掃除機はハンディタイプは大活躍。できればコードレス。ダイソンのコードレスは今すぐにでも買いたい。あとスマホは、出歩いているときはハードル高いけど、家の中で机の上に置いてある時はパソコンより楽。現金が苦痛。クレジットカードはらくらく。 また病院に行った時、ギプスを3センチぐらい短く巻直してもらおうと、医者にごねてみた。 「どうして?」 「指が動くし、もう少しギプスが短ければ、編み物ができるかもしれない」 「そういうことして安静にしない人がいるから、ギプスは長く巻くんだよ」 と、結果は実らなかった。 病院で、40歳以上の女性の骨折の研究をしているから、被験者にならないかとスカウトされた。骨折なんてついてない、と思っていたので、同意書や研究内容を読んで、被験者になることにした。骨折してもタダでは起き上がらないという精神構造なのかも。 さっそくインタビューがあって、「これまで一度も骨折したことないから、骨には自信がある」と言った直後に骨密度の検査があり、結果は、平均を下回っていた。これまでラッキーだっただけかもしれない。 そして、今後十年で再び骨折する確率は20%と言われた。こ、これは低そうに聞こえるけど、下手な占いをしてもらったぐらいの気持ち…

サヨナラ、アメリコ

クィーンウエストにあるアメリコが、私の大好きな毛糸屋が、店舗の家賃が2倍に急騰したことを受けて、急遽オンラインストアのみになることになりました。 土曜日の夜、ソーシャルメディアに突然告知が出て、私はエイプリルフールかなんかだろうか、と日付を何度も確認。 仲のいい店員にテキストを送ったら、ホントに閉店してオンラインだけになるというので、日曜日、慌てて行った。 行ったらニッターなのに手を骨折しちゃって!とみんなで大笑いだったけど、日曜日は開店と同時に長年のアメリコファンが詰めかけたらしい。私が行った時は閉店間際だったので、オーナーがもう涙は枯れるほど泣いた!と言っていた。事情を聞いているうちに私ももらい泣きするところだった。こういうユニークな店が消えていくのは本当に悲しい。クィーンウェストの店はフラグシップストアだった。 オンラインストアに専念するけど、ニットナイトするかもしれないし、これからも今までどおりに素敵なオリジナル毛糸を売っていくらしい。 「店舗にサヨナラするだけで、アメリコファンにサヨナラじゃないから」 ってもうアイドルの引退宣言みたい。そう言われただけで涙目になった。 10年も続いたお気に入りの毛糸屋が姿を消すのは本当に寂しい。ニット話だけでなく、本の話もいろいろできた大人な店だった。オーナーとスタッフがいいし、オリジナルの糸しか置いてないから通った店だったのに。 で、セールは絶対しないポリシーの店だけど、最初で最期(?)のセール中。 毛糸を買いだめして、例の「すばらしい袋」を二枚もらって帰って来た。 (骨折中は、人混みの中を歩くのが怖いので、ウーバーで移動)

勝率ゼロへの挑戦

最近知人に勧められて読んだ。 #検察なうのハッシュタグぐらいは知っていたけど、冤罪について私の知識は乏しくて、袴田事件など事件の名前を知っているとか、「それでもぼくはやっていない」の痴漢冤罪の話とかそんな程度。日本の刑事裁判の有罪率が99.9%であることを知ったのも、この映画を見てからだった。 でも、ストック オプションで得た報酬の確定申告に関してはわりと知っている。そういう報酬制度のある米国企業に長く勤めていたから。しかも、その頃のアメリカでは「ストック オプション バックデーティング スキャンダル」が起きていて、スティーブ・ジョブズだって巻き込まれていたし、罰金を払わされたシリコンバレーの有名企業は多かった。 でも、私のような下々の社員たちは、自分たちの報酬が今後どうなるんだろうと心配しているだけだった。やがてストック オプションに代わってRSUが登場し、それに不満を持つ社員が結構いたのもあって、個人の確定申告も含め、会社からその説明会が何度もあった。基本、会社は源泉徴収しないから、自分でちゃんと税申告しろよとか、キャピタルゲインの税率になるからラッキーですよ、とかそういう説明会だった。 だから、はじめは、八田さんがなんで申告し忘れたのかが理解できなかった。でも、それは、さっきいったような背景があったからで、しかも、居住国も違えば、納税する国も違うし、業界も職種も忙しさも所得のレベルも、八田さんとは違うからなのだった。 裁判の争点が「故意か過失か」なので、八田さんが「真実は過失」と主張するなら、ま、そういうことにして…… と読み続けたのだけど、結果的に「私は何に偏見を抱いているか」を紐解いていく読書体験になって面白かった。やっぱり検察で取り調べを受け始めたあたりからは引き込まれるように読んだ。 八田さんが失ったものは他人からは想像できないほど大きいと思うけど、逆境を逆手にとって活躍する姿はすごい。 http://www.amazon.co.jp/dp/4334977847 アメリカには法曹界をネタにしたドラマがいっぱいあるし、刑事裁判の行方は、それが有名人が絡んでいたり、ものすごくお騒がせな事件のものだったりすると、ワイドショーネタとしてものすごく注目を浴びる。ドラマは数が多いから、どのショーが弁護士から見ても現実に忠実か、と話題にもなる。私が見てい(た)のは「Drop Dead Diva」で、一般人にも降りかかりかねない事件と、その裁判の裏を見せてくれるから、知らない間に知識が積もっていく。 八田さんの体験は大河ドラマになるぐらいだと思うけど。この本の印税も冤罪犠牲者のサポートに回すということなので、興味のある人は是非。 クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9%E8%A8%BC%E5%88%B8%E9%9B%86%E5%9B%A3%E7%94%B3%E5%91%8A%E6%BC%8F%E3%82%8C%E4%BA%8B%E4%BB%B6