邦題は「菜食主義者」
国際マンブッカー賞を受賞して話題になったので、英語で読んだ。国際マンブッカー賞はイギリスの文学賞だから英訳されないと候補にならない。賞金は原作者と翻訳者が折半、というのも私の興味を引いた!! しかもこの訳者はものすごく短期間で韓国語を習得したらしい。
世の中には、暴力をふるっているとは思っていない人がふるっている「暴力」がある。過剰な親切心とか、社会の慣習に従うことを執拗に他人に求めるとか、そういう感じのこと。この本では、それがベジタリアンに転じた娘(妻)に対する家族の説得行為になっている。異常なほどの説得は罰ゲームとなり、ストーリーが始まる。周囲の人間はベジタリアンになった人を矯正し、また肉食に戻すことが大事だと思い込んでいる。ベジタリアンになることは、そういう不躾な人たちへの、その女性の小さな反抗なのかもしれない。そして、この女性が「木」になりたいと思っているのが、なんとなくカフカの「変身」を思わせる。
3部に分かれていて、第2部はとても官能的で視覚的にも興味をそそられる。
私は子供のころから40になるまで、肉が全般的に苦手だった。同じ日本人に「肉を食べない人の結婚は破綻して当たり前」と言われたこともある。それを「ひどい!」と思わない人には、「そういう意見にも一理ある」と思う人には、まったく何のことやら、という話の本かも。

