知人がいいと言っていたので読んだ。中川右介の本は、カラヤンのことを書いた『カラヤン帝国興亡史』を読んだけど、同じようなノリで百恵ちゃんのことがびっちり書いてあった。
これは山口百恵の芸能生活の話だけれど、当時の芸能界の攻防がすごい。芸能事務所やテレビ局が布石を打ち合っているので、作詞家や作曲家の隆盛もよくわかる。そんな環境ではパフォーマーは翻弄されやすい。ヒデキも背景にちらっと出てくる。著者の中川右介に西城秀樹のこういう評論を書いてほしい。ヒデキは亡くなるまで何年もの間障害者だった。でも、かつてのスターを、運動神経抜群だった人が歩行困難になったことをいじるような意地悪な報道が多くてうんざりだった。亡くなってから、そういうのが消えた。だから、ちゃんとしたプロの評論が読みたい。もうあるのかな? でもなんとなく、もうこの一冊であの頃の芸能界が語り尽くされている気がしないでもない。
ちなみに私は『蒼い時』を何度か読んでいる。私の中で「できることなら、あんなふうにクールでいたい」と見本にしていた女性は、山口百恵、阿木燿子、安井かずみだった。どれにも全然近くないし、全然クールになれないし、ただの憧れでしかないけど。

