マチネの終わりに

読まず嫌いだった…… よかった。設定のせいで在外日本人にはどことなくしっくりくる(こない人もいるとは思うが)。こんなに何もかもが密接につながっている現代だけど、時差や同じ空間にはいないせいで「すれ違い」が出てくるところとか、主人公2人の「意識」が彷徨っている「場所」がどことなくグローバルなところが。アメリカ人の知識層の描写にも現実味があった。あっという間に読んでしまった。

すれ違いが切なく書かれているところがよかったな。プラトニックな関係なのに、頭の中でごちゃごちゃこねくり回している感じも現代っぽい。きれいすぎて、絵に描いた餅的な高尚な恋愛っていうのも、非日常感があって楽しめた。ストーリーに感化されてアンドレス・セゴビアの曲流しながら読んだ。

本とは関係ないけど、トランプ大統領の下半身騒動(もはや下半身どころか、政治を揺るがしているけど)の相手の1人、ポルノ女優のストーミー・ダニエルズが気に入った。60ミニッツのインタビューを何回も見てしまった。堂々としてて、どんな質問にもハキハキ答えて、内容がとても面白かった。私は笑いながら見た。今は辣腕弁護士がついているので政治的にがっちり固められているけど、そこんとこよりは、「#MeTooと一緒にしないで。まがりなりにも私はAV界の女優なんだから」と言っているところがとても面白かった。女の「性」を売ってるけど、自立してるし、自分のことは自分で守るし、言いたいことは言わせてもらう! という「おばちゃん」精神がスカっとしてよかった。聞き手のアンダーソン・クーパーも「(トランプ氏は)コンドームは着用してたんですか?」と突っ込むところがすばらしく、「未着用!」と堂々と答えているところには拍手した。だって、当時27歳だったから、ガキじゃないもの。

トランプの女性の好みは一貫していることにも感心。イヴァナも、メラニアも、ただでは起き上がらない強さを持ってると思うから、外見だけでなくって「跳ね馬」っぽい性格の人が好きなんだろうな… 

でね、ニューズウィークのこの記事は残念ながら間違っている。「セックス中にトランプが『君は娘に似ているね』と言った」のではないよ。あのインタビューではそんなこと言ってない。そういうことになる前に、ホテルの部屋でおしゃべりしてるときにトランプが「あんた、うちの娘みたいに、ちゃんとはっきりものが言える子なんやね、気に入った」と言っただけ。ふたりの会話の翻訳も悪意のある翻訳のように聞こえる。まあ、今更、そんな細かいことはどうでもいいが。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/03/post-9819.php

2 thoughts on “マチネの終わりに”

  1. トランプをセクハラで訴えてる人はほとんどが君はイヴァンカのようだ、って言われて言うのがちょっと怖い。

    Like

Leave a comment