つらつらと読書 2

私が古い本ばかり今読んでいるのは近所に古本屋が多いから。仕事待機中に読んでおこうという算段なのだけど、待機が長引くと「もしや?」と一抹の不安が…


「パーネ・アモーレ」
イタリア語通訳奮闘記

故米原万里の友人でもあった田丸公美子のイタリア通訳についてのエッセイ。米原さんが生まれながら文化的資産に恵まれた帰国子女なら、田丸さんは純国産。別に留学しなくても通訳・翻訳者になれることを体現している。でもはやり並々ならぬ努力家で、その道はけっこうストイック。私の語学習得の道は田丸系だから親近感。

米原さんのあとがきが最高。歯に衣着せず田丸さんをツツいているのは二人の間それだけ深い友情があったからこそ。


「暗号解読」
ブレッチリー・パークに見学に行ったときの一夜漬け予備知識が残っている間を狙って。しかし暗号解読のしくみを説明する箇所を読むと頭痛がするのですっ飛ばす。私には向いていない内容。


「蛇蝎のごとく」
正反対な性格の人間同士がもつ互いに対する非難が嫉妬に変わり(だから蛇蝎なんだけど)、最後は互いの嫉妬に向き合い落ち着く話。「なかったことにしておく」という決着を見るが、当事者たちはみな「なかったこと」を経験して大人としての渋味・深みが出ている。失敗しているのに幸福感が漂う。最近は失敗に関しては「許す・許さない」が焦点なので、謝罪が帰着点になってしまうことが多いような…

小林桂樹のあとがきが非常によかった。表紙絵が美しい。

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