島根の旅 – 窯元巡り

島根のことを調べていたら民藝運動の影響を受けた陶芸が盛んであることを知り、陶芸好きとしては是非とも窯元のひとつやふたつは訪ねたい。まずは温泉津。

石見銀山からバスと鉄道で温泉津に行こうとしたら時間表の解読ができずただでさえ本数の少ないバスを逃す。時折特ダネ級の大森町のウワサを繰り出すタクシー運転手に耳を傾けながら、タクシーと鉄道を乗り継いで辿り着いた温泉津は小さな鄙びた町で日帰り湯も楽しめる。でもそれほどお風呂好きでもないので3件ほどある窯元とやきものの館だけを訪ねる。

しかし… 閑散期なためどこも開いているといえば開いているけど誰もいない。作品を眺めまわしたものの誰も出てこないから寂しい。どうやったら人を呼び出せるのか、呼び出したところで買うわけじゃないし。嗚呼寂しい。素敵だけど好みじゃない。ちょっと残念。やっぱり閑散期だからだろうか。ちらりと温泉津の港を見る。小さいけど綺麗。この港も銀山への物資輸送に使われかつては栄えたとか。

日を改め、今度は出雲の出西窯。有名で雑誌にも取り上げられてるけど、やっぱり現地は違う!まず田んぼの真ん中にあるのが愛おしい。この窯の成り立ちはウェブサイトで読んでもらえばいいけど、民藝運動の誉れ高き陶工たちに指導を受けて完成したと言われる形の食器を綿々と作っている。少しアレンジしたものもあるけど。島根のソウルフードと言われるぽてぽて茶漬の茶碗は丸っとして可愛らしい。これは百姓が田んぼのあぜ道で休憩するときにお茶よりは腹持ちのよいお茶漬をお箸を使わずに「飲む」のに使われた茶碗らしく、今はご飯茶碗でも何にでも使うみたい。クリスマス前だからなのか商品出荷で忙しそう!ショップの横にフル稼動している工房があり見学できる。ダイヤモンド社から新しくこの窯についての本が出ているので買う。まだ読み切ってはいないが戦後「ふるさとで何かしたい」と思った人たちのいきさつが書かれているかんじ。散々食器を見て触り窯の人と話をして、食器も購入し大満足。


工房の中
工房横の登り窯

その後、出西窯の紹介で玉造温泉駅そばにある湯町窯へ。ここも民芸運動の影響を受けていてその筋の著名人の名が連なっているだけでなく、おにぎり大将の山下清もここで陶芸をしたので作品が残っている。ややセレブな感じがするが閑散期。客は私だけ。窯を司る福間さんとおしゃべりし、その奥様とも洗濯物が乾きにくそうな山陰の冬の天候の話などで盛り上がる。食器を買おうとしたら現金のみとのこと。現金不足の私を玉造温泉の郵便局に送り出してくれた。この温泉街は駅から田んぼの中の川沿いを山に向かって歩くと見えてくる。現金引き出して、お昼を食べて、また窯に戻ると、買ったお皿たちはきれいにラッピングされていた。雨模様だったので、またひとしきり私の島根旅行の話を聞いてもらい、もうここまで来るとお別れするのも名残惜しい。

陶工の自戒?
ザ・山下清
この川に沿って温泉街へ(春は美しいに違いない桜並木)

本当はまだ訪ねてみたい窯はあったけど時間切れ。実は島根ではいろんな人たちとおしゃべりし、素朴な工芸品を見て回るのが一番楽しかった。

後は出雲大社と松江についてだな。

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2 thoughts on “島根の旅 – 窯元巡り”

  1. わはははー、「陶工の自戒」!
    これうちの陶工にも全くそのまま当てはまりますよ!
    「もっと考えてやれぃ」
    といつも言われている…、私に。
    なんか、あのロクロのノリがついつい、らしいです。

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