日本の長旅から大寒波が襲うカナダに帰ってきました。
いきなりですが、靖国神社参拝体験から書こうと思います。そもそもあの神社に行ってみたいと言い出したのはガイジンである教授のほうでして。政治ニュースを追っているガイジンならば「ヤスクニサンパイで揉めるヤスクニに行ってみたい」と思うのでしょう。日本に帰国するたび、東京に行くたびに物欲が刺激され買い物三昧になってしまい、こういうところに行くための時間を取るのは難しい。今回も日本のデパートのメンズ館の充実振りを教授に体験してもらうための新宿伊勢丹のメンズ館訪問がなければ靖国参拝も実現しなかったという次第です。クリスマス前の修羅場と化したメンズ館、高級品が飛ぶように売れる新宿伊勢丹を体験し、人疲れを癒すために靖国神社でも行きましょうと。しかし5時閉門。警護が厳重な駐車場から「ここかあ…」と眺め、千鳥ケ淵を歩いて戦没者墓苑をこれまた外から眺めました。暗くて怖かったです、千鳥ケ淵。
そんなわけで時間がなくて教授は中まで靖国神社を見ることができませんでした。私もメディアを通じての「ヤスクニ」しか知らないのですが、代わりに見てきてあげましょうというわけでもう一度仕切り直して行って来ました。ヤスクニ=右翼なイメージがつきまとうけれど、周辺の政治的には中立的な人々に「遊就館は一度訪ねたほうがいいよ」と薦められたのも理由のひとつ。
実際行ってみると、パワースポット巡りに熱心な女子たちが靖国神社には皆無。まだ記憶も生々しくパワースポットに昇格していないのでしょうか。女子の線引きはここにあり、ですね。一応参拝して、軍犬、軍馬が祀られているあたりにある遊就館へ入場。初めてなのでわかりませんが、いきなり五ニ機に迎えられたのは、映画「永遠のゼロ」のせいでしょうか?展示されている遺書も特攻隊のものが多い。
まず「英霊のなんとか」というような題の映画を見て、それから館内見学。近代史の説明から始まりますが大政奉還からなので長い。戊辰戦争、日清・日露戦争、第一次世界大戦、そしてやっと第二次世界大戦。この日本近代史をよく知っている人が見ると、その人の政治的信念によっては反応が大きく変わること間違いなしの展示です。戊辰戦争ぐらいの過去だと新撰組を英雄視することに抵抗を感じることも一意見として大きな声で言えます。しかしこの靖国訪問の3週間前に京都で新撰組ゆかりの地を散歩したときに、新撰組の歴史同好会が新撰組の歴史を正しく理解してもらうためにいろいろ活動しているのを知って驚き、新撰組の段階でこれほど熱くなるのだからな… と第二次世界大戦のあり方については大きく揉めることは仕方がないと深い溜息をつきます。私は司馬遼太郎の描く新撰組は知らなくて、子母澤寛の著作で新撰組を知ったのですが、司馬遼太郎の歴史観に反感を覚える人も多いのだそうで。子母澤寛の著書は中立的らしい。この近代史の展示部分は、賛否両論はあるものの、そもそもなぜ日本が日清・日露戦争を経て二つの大戦に参戦したのかをある一面から語ります。ちょっとはっとする部分もありますよ(いい意味で)。
話がどんどん逸れますが、「永遠のゼロ」で私が良かったと思うシーンは現代の若者を演じる三浦春馬が同年代の友達に「特攻隊なんて自爆テロだよ」と言われムッとするシーンや、自分のおじいちゃんを「ダメな奴だった」と言われたのを真に受けているシーンです。日本のトップガンみたいな岡田准一いいトコどりの作りの映画なのですが、そういう一個人を英雄視する(したいという願望)ことと、第三の眼で見たときの冷酷とも思える発言が対峙するシーンというのは、すべて三浦春馬が演じぬくシーンなのですね。私はそういう「社交的な場ではできれば避けたい会話」のシーンのほうが大事じゃない?と思ったのでした。春馬派か准一派かという問題ではなくて。
さて遊就館に話は戻ります。以前から友達に「遺書のコーナーがいいよ」と言われていたのでそこへ進みます。ここも特攻隊のものが圧倒的に多かったのですが、満州の野戦病院で看護を勤めた女学生、沖縄の学生、日本の支配地出身者の遺書なども。年齢を見ると皆20歳そこそこ。その遺書の達筆さ、文章の素晴らしさに驚き、内容に涙が溢れます。辞世の句を詠んでいる人もたくさんいます。友人によればあの時代は代書・代筆による手紙が多いということですが、それでも内容そのものは本人のもの。彼らの写真、遺品、遺書、経歴を読んでいるうちに4時間以上も時間は過ぎたのでした。それでも全部を見切ることはできませんでした。
戦争体験者が高齢だし、そういう人たちがいなくなったら遊就館の展示内容はもっと変わってしまうかもしれません。行くなら今のうちかも。
靖国神社周辺で上下真っ赤のスーツを来た男と上下真っ白のスーツを来た男の二人連れが歩いていました。頭は坊主刈り。教授が「コメディアン?」と聞いてきましたが、いかつい表情からもそうではないのが見て取れます。「違うよ。たぶん…」と説明してみて、私も真っ赤なコートを着ていることを思い出し、やっぱり普通の人だったかもしれない、と思ったのでした。



お久しぶり。 靖国神社は東京にいた頃は、毎日のように眺めてました。なにせ職場は靖国の目の前。 神社の隣(裏)は白百合学園だって知ってましたか?白百合の生徒に揉まれて、駅から九段の坂を登って・・・
桜の頃になると薪能も見られます。桜といえば開花宣言の基準になっている基準木の桜も靖国に有るんですよ。知らなかったでしょ。
伊勢丹のメンズ館もなつかしいにゃー
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さすがSunnyさん!では桜の季節に靖国で会おう!
(こんなことジョウダンで言ったらダメなのかな…?)
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