岩波の採用

人のつぶやきで知ったけど、岩波書店の採用条件に「社員や著者の紹介状が必要」とあるんだってね。こういうのを「縁故採用」という風に呼ぶとなんか汚いイメージがあるけど、別に私企業の採用条件なんだからいいんじゃない?と思います。

私が前に勤めていた会社には「人材紹介ボーナス制度」がありましたよ。友達を紹介してその就職が決まれば750ドルもらえました。紹介状なんて書かなくてもよかったよ。ただ知人の履歴書を採用担当者に転送するだけ。S&P500 企業のひとつなので同業界の他社にも同じような制度があるはずだと思う。みんな福利厚生や報酬の面でも競ってるから。でもこういうのは「縁故採用」とは言わないね。

だってさー、リクルーターに払う報酬ってすごいのよ!!!就職が決まった人の年収の 20% とか普通だもん。人材募集サイトだと、ものすごい数の履歴書がきて、振り分けるのにものすごく時間かかるわりには、大したのがこないし。面接に呼ぼうとして連絡してるのに「就職が確実じゃないと時間の無駄になるから面接に行きたくない」という人いるし。大した人じゃないのに面接したら、面接官が5人いたとして、一人 30 分で、150分を浪費してしまうことになって、文句言われるし。でもこの面接で縁はあるけど必要なスキルがない人や、スキルありそうだけど一緒には働けなさそうな性格の人が落ちるのだと思う。騙されて、縁もなく、スキルもいまいちで、性格もしっくり来ない人を採用してしまうこともある。だってね、会社から90日以内に採用しないとオープニングをほかのグループにまわすから、って言われるから、あるもので手を打ったりするんだよね。人手がいるいる!って会社にお願いしまくって、「いい人材がみつからなーい」と90日以上放っておいたら、「3ヶ月も余分な人材なしでやっていけるんじゃないか!」って言われるのが普通よね。だからリクルーターに代行してもらうんだな。彼らは就職サイトに張り付いて、より分けて、企業と就職希望者にせっせと催促のメール出して稼いでいるんだもん。

そういえば、チェルシー・クリントンがジャーナリズム勉強してたわけじゃないのに NBC の特別報道員になったけど(しかもいろんなかけもちで)、ああいうのは「縁故採用」だと思うけど、NBC もチェルシーの持つ人脈に期待してのことだよね。ジャーナリズムを勉強してただけじゃ人脈は築けないもん。チェルシーレベルのネットワークはあの人が育った環境によるものだから、あの人しか持ってないものだもんね。

友達がとあるアートイベントの文学部門の運営部に激安給料でインターンをやっているけど、「いろんな人に会ってお願いごとしなきゃいけないから、有力なコネがある人は抜擢される。」と言っていました。彼女はインターンのままですが、でもまめまめしくいろんなイベントに顔出したり、上司の家に遊びにいったりしているので、ネットワーク作りにいそしんでいるわけです。

私はバブル期に女子大を卒業して日本で就職したんですけど、勉強したのが英文学なので、就職はコネの人が多かったです。じゃないと就職できなかったから。でもああいう「縁故採用はよくない」っていうことなんですよね。「娘、ヨロシク」みたいな。「部長によろしくっていわれたからなー。」みたいな。私もそういう就職しました。「うちの姪っ子、よろしくねん!」って。企業は優秀な人材も必要だけど、常識レベルで責任果たしてくれればいい人材を手早く安く探したい、というのもあると思う。それと縁故採用は別やんな。

2 thoughts on “岩波の採用”

  1. わたしもバブルじゃないけど(←ここ重要!)のほほん女子大で縁故なんて普通だったから、別の大学の友達の就職先に軽い気持ちで「縁故?」って聞いて怒らせたことがあるよ。
    それで「怒ることなんだー」と知りました。
    わたしが今働いているアメリカの会社も、建前上は社内の推薦状が「あると有利」ってことになってるけど現実は「ないと無理」だよ。

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  2. 女子大の中じゃ「縁故じゃないの?実力?偉いね」って褒められるしね。推薦状だと問題ないよね。紹介状だとさ胡散臭いよね。結局は「部長の頼みだからしょうがない」というのが慣習はよくないっていうことよね。

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