遅ればせながら Lady Gaga の NHK 紅白での歌詞翻訳の問題について読んだ。
ワタシも翻訳サービスを提供している業種は違うけど翻訳しているからなんとなくどうしてああいう訳になったのかわかるような気がする。だって、コンピューター業界でもすごくコンピューター苦手な人が翻訳してること多いもん。すごく昔々の話だけど「ねずみを2回たたく」って翻訳されたのを見たことあるもん。むしろそういうコンピューター マニュアルのほうが楽しくていいな、と思ったぐらい、笑い転げて涙流しながら編集したことあるもん。「閉店時間が近づいたら洋服のハンガーを片付ける」というのを「閉店時間が近づいたらぶらぶらしている客を追い出す」っていうのも見たことある。hangers を hang out している人たち = hangers と勝手に解釈したって気づくのにものすごく時間がかかった。かつて、誰かが訳したものをクライアントに出す前に最終チェックする仕事をしていて、「これ、3時間でチェックして」って前出のような翻訳がてんこ盛りのファイルを渡されることがよくありました。まあ、こんなこと今は笑って言えますが、私の手を離れた後はクライアントなんで、私が見つけられなかった・直せなかった翻訳については、直接クライアントから「お前の翻訳はひどい!」と叱られていました。
翻訳は、最初の一発目がすごく大変で、その下訳をあれこれと直していくのですが、他人のものをバンバン叩くのはとても簡単なのです。自分の訳を自分で見直すのはとても難しいことです。ニュアンスの違いとか勘違いとかは特に。後からならナンとでも言える、というと言い過ぎですが、でもそうなんですよ。答えがひとつという性質のものじゃないから。だから今後 Lady Gaga の歌詞の訳がどんどん磨かれていくことを期待します。
余談ですが、英語から日本語、日本語から英語へ、と両方をやると、原文がネイティブでもさっぱりわからない、ということを痛感します。ここで告白しましょう。
私は日本語が母国語ですが、日本語で書かれた文章の意味がさっぱりわからないことがよくあります。
てへ。でも本当だもん。
さて、歌詞翻訳ですが、こんなこと言ったらナンですが、歌詞翻訳の提供は「ま、こんなかんじ」とざっくり参考に見せる程度じゃないかと思います。歌は聴くものだし、訳で歌えるわけじゃないし。たとえばカンボジア語の歌だったとして、ざっくりどんなことを歌っているのかわかればいいな、と思いませんか。だから、歌詞翻訳の料金に多額の金を出さない、すごく腕のいい翻訳者を探す手間をかけない、というのはビジネス上アリだと私は思います。腕のいい翻訳者でも Lady Gaga の歌詞を訳したら叩かれることは間違いなく、手を出さないと思うな。叩かれないとしたら村上春樹とか有名で憧憬や尊敬を集めている翻訳者だけじゃないかと思う。いや、村上春樹だってそんなことしたらノーベル文学賞とれなくなるかもしれないからやらないかも。だから、ネットでファンとか翻訳愛好家(?)が無償で労力を提供するのが一番よいと思います。

同感です。字数制限もある中で、むしろあの訳は褒めてあげたいくらいだと思うんだけど。ましてやNHK的な妙な意図なんか全然感じられない。
あれにケチつけんのは、クレーマーって言われても仕方ないと思うけどなあ。
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うん。NHK の策略というのは疑いすぎ。
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