最近、手芸部とブッククラブを兼ねていて、もう読んでしまっていらなくなった本などを交換している。交換する時にちょこちょこ本の感想などを語り合うゆるさがちょうどいい。そして、ついついいろんな本をもらってくるけど、これはその一冊。 読んでいて、なぜか昭和なテレビドラマを思い出した。例えば「赤いリシーズ」 なぜだろう。なんとなくエンディングがわかっているけど、わからないふりをすることがお約束のようなところが、昭和のドラマを彷彿とさせる??? それより、清純潔白そうな人物は実は粘質性が高いのではと思う今日この頃。
Category: 読書
エドウィン・マルハウス
かなり久しぶりにこういう奇妙なストーリーを読んだけど、こういうの好き。 ある子供の伝記を別の子供が書いたという設定。私が読んだのは最近だけど、小説自体は古いので、時代設定がトムとジェリーぐらいなかんじなのが気に入った。 情報収集とか、頭が良くなるためとか、そういう目的で読書する人には、苦痛でしかない小説(たぶん)。しかも分厚い。そして文庫なのに1500円… 岸本佐知子さんのエッセイ本から入ったけど、翻訳もとてもよかった。
ゆめはるか吉屋信子
なぜゆえに私は吉屋信子のことをこれほどまでに知りたかったのか、分厚い上下巻を読んでいるうちにわからなくなった。長かったので中ダレしたけど、おかげで吉屋信子のことがよくわかった。人柄が好きだな。 それにしても吉屋信子のことだけでこんなにも書ける田辺聖子がすごい。 田辺聖子といえば「新源氏物語」 日本帰国中に宇治川のほとりにある源氏物語ミュージアムに家族と行き、「浮舟」の人形劇の映像が流れていたので見た。薫と匂宮が誰なのか、はたまた光源氏とはどういう関係なのかわかってないのに、恋愛関係が複雑な「浮舟」を見たため、家族全員の頭の中が???の嵐となり、映写室を出たところで源氏の家系図を広げながら「誰が誰だったのか」を長い間話し合っていた。熱心な源氏物語ファンだと思われたのか、係りの人に「橋姫もご覧になりますか?」と聞かれ、「浮舟」が消化できていないので「結構です」と丁重にお断りした。
Hillbilly Elegy
アメリカ大統領選後に読み始めた。アメリカではベストセラーで、作者は選挙キャンペーン中テレビやラジオによく出ていた。TEDトークにも出ている。日本には渡辺由佳里さんがこの本を紹介しているから、知っている人も多いはず。 この本の背景については、渡辺さんの書いた記事を読んだ方がいいと思う。もう読んだ人も多いと思うけど。 http://www.newsweekjapan.jp/watanabe/2016/11/post-26.php 「ヒルビリー」とは、アメリカ内陸部に住む白人低所得者層で、アパレチア山脈に元々住んでいた。ケンタッキー州とかウェストバージニア州から、仕事を求めて、オハイオ、ミシガン、ペンシルバニアあたりに移り住み、そこでも工場閉鎖、企業撤退で置き去りされた形になっている。おそらくアメリカ建国以来一度も貧困から抜け出したことがなく、負のスパイラルに陥っている。この人たちが今回の選挙でトランプ勝利に導いたとも言われる。そして、そこから抜け出し、エリート社会に食い込み、弁護士になった人が書いたのが、この本。彼は、今は、サンフランシスコにあるベンチャーキャピタルにいる(ピーター・ティールの会社)。 米国内の「社会経済的な格差」を指摘していて、政治的立ち位置は逆でも、この作者とマイケル・ムーアは同じようなことを問題視している。マイケル・ムーアはちょっと、、、という人は、こちらを読むといいかもしれない。 政治に興味がない、アメリカの政治はわからない、という人でも、自分の親に大変な目にあわされた貧しい子のサクセスストーリーとして読める。最終章で、作者が本当は名乗りたかったラストネームに変える。貧困に生まれなくても、人に振り回された人生を、とうとう自力で奪回し、自分でコントロールできるようになった喜びを知っている人なら、涙すると思う。貧困にあえぐ子や虐待されている子に救いの手を差しのべるような仕事をしている人にも、参考になる本だと思う。 本来なら「労働者の味方であるはずの民主党支持」であったはずのヒルビリーがトランプに大きく傾いていった理由を、アメリカに住んでいない人がこの本に求めても、たぶん、納得のいく答えは見つからないかもしれない。作者は、共和党支持者で、そんな彼でも「まさかトランプが勝利するとは思わなかった」とテレビで言っていた。元々労働者だった彼らが労働にすら従事できなくなっている様子は(企業が撤退して町が疲弊しているとか、ドラッグへの依存とか、理由はいろいろ)、この本に仔細に書かれているから、まあ、とりあえず本書を読んでもらって、本当にこの人たちが政権交代により救われるのかどうかは考えるべきかもしれない。彼らの票を動かしただけで終わってしまっては浮かばれない。作者は別にヒルビリーを政府が救えるとは思っていない。 で、ちょっと話がずれるかもしれないけれど… 前に私が翻訳した『アシュリーの戦争』の読者複数から、「愛国心に溢れているのは別として、自己実現の手段として軍隊に入って、人を殺傷するための訓練を積もうと思う女の子の思考回路がわからない」という感想をもらった。『アシュリーの戦争』にははっきりは書かれておらず、ほのめかされている程度だけど、主人公含め、登場人物の何人かは、「ヒルビリー」と大差ないか、若干恵まれた環境にいた人たちだった。優秀でも、家が貧しかったり(あるいは家庭崩壊していたり)、田舎に住んでいてほかのチャンスに恵まれない女の子が多かった。でも「軍隊に入る」ことで道が広がる。ところが、そこでも「女だから」とチャンスが狭められてしまうことに反抗している、という伏線はあった。 ま、そういうこともあって、私は個人的に『Hillbilly Elegy』にはビビッときた。
西城秀樹のおかげです
ヒデキ研究をしているうちに、この本に行き着いて、でも「ヒデキと全然関係ないから」という書評だったので手をつけなかったが…. 西城秀樹の「ヤングマン」をひたすら毎日聞き続け、幸福な状態を持続させたことにより、他の人よりも免疫力が高くなり、宇宙から侵入してきたウィルスに感染することなく、人類最後の生き残りとなる話が一番最初に収録されている。ほかの話も全部面白かった! 私もヒデキ研究中に、よくヤングマンは聞いている。幸福度は上がると思う。 アマゾン・ジャパンで注文したら、3日後に、日本→アメリカのシンシナティ→トロントで到着。DHLの巨大ハブがオハイオ州シンシナティにある。こんなに早く届いたのも、特に日本とアメリカで、究極の効率のよさを求められて配送センターで働いている人のおかげ。
ゆめはるか吉屋信子
分厚かったけど、やっと読めた。まだ下巻が残ってる。よく吉屋信子のことだけでこんなに書けるな、と思ったら、上巻は吉屋信子が書いたり受け取ったりした「恋文」の引用が多かった。時代背景も細かく書いてあるし。私は3年前まで吉屋信子のことを知らなかったというのに、この本のおかげで今はものすごく詳しい。 吉屋信子がパリにいた時期は、Downton Abbeyの時期と重なるから、きっとああいう服を着ていたんだろう(ロンドンとパリの違いはあるが)。
無差別級読書
人からもらった本を読んだ。結果、無差別的な読書だった。 「草原の記」 モンゴルの話。大昔の話をしているので、モンゴル(匈奴)と直接対峙する当時の中国北辺の町に、今の山西省太原が出てきた。でも、今読むと「太原といえば、鴻海工業のiPHONEの工場」のイメージしか湧いてこない。気になって刊行年をチェックしたら、平成4年(1992年)。これを書くために司馬遼太郎が中国やモンゴルへ行ったのはずっと前。 あと、物を溜め込むのは農耕民族の証らしい。どおりで私に断捨離はできないわけよ。DNAに物を溜め込むって刻まれてるからさ。 「ミラノ 霧の風景」 言語は違うけど同業者なので、須賀敦子さんの本はよく人に勧められる。素敵だったけど、読んでいるうちに、バブル世代はこういう外国で活躍した日本女性のエッセイを好んで読んでいるのではないかとふと思った。今はこういう本はあんまりないよね。 「無差別級」 ナンシー関が西城秀樹のベスト盤CDを持っていると書いてあった。それと、「西城秀樹の年齢不詳」という芸能ニュースが当時あったことを知った。昭和芸能人リバイバルブームの頃だったらしい。1994年あたり。
大奥 第13巻
12巻を読み終えたとき、なんかストーリーに精彩が欠けてきたかも、あの赤面疱瘡も克服されたし、将軍は11代まで出てきたしな… と思ったのは間違いだった。男女逆転の面白さがまた復活! 若干重いというか、性差の問題が現代化してきた。幕府の抱える問題も現代化してきてるから、「現代に重ねてる?」と深読みしてしまう。
アシュリーの戦争
結婚式出席のため日本に帰国。そしたらタイミングよく、去年翻訳した本の発売日と重なった! 地方の小さな書店にはなかったけど、東京の大きな書店だとどこでも平積みされていたし、話題書コーナーにあったりしてうれしかった!前回プロフィールに「三重県うまれ」であることを書かなかったことを後悔したので、今回はそれを付け足しました。だから三重県の書店で平積みしてほしい!タイトルは『アシュリーの戦争』です。http://www.amazon.co.jp/dp/4046014512 本のプロモーションのため、ニューズウィークに紹介記事も書きました。結構好評だったようで1週間以上「最新記事」のトップでした。まあ、あんなに何度もこの本を読んだのは私ぐらいだし、自分で言うのもなんだけど、本当に心からお薦めできたと思います。まずはこの記事を読んでから購入してみてください。 「USA! って感じ」という声をネットで見かけたので、アメリカ目線って何なのか、ということについてちょっと書こうと思います。 まず、著者はアメリカ人女性。アメリカの軍人たちを上層部から前線に立つ人までインタビューしています。大手メディアや有名な外交シンクタンクで働いていたことがある人なので、内部に食い込んでインタビューできるコネを持っている人なのでしょう。そんなふうに情報収集しているから、特に前線に立った兵士たちの努力を否定するトーンでは書いていません。聞いたことをありのままに書いているようなかんじです。 第1章は政治的、歴史的背景の説明なので、ちょっとドライです。でも、なぜ特殊作戦なのか、なぜ女性兵に活躍の場が与えられるようになったのかが緻密に描かれています。第1章でぐったりしてしまったら、第2章に飛ばして読んでください。 あと、著者はもともと紛争地域の女性起業家に興味を持っていた人で、彼女の前作「The Dressmaker of Khair Khana」という本もすごくいいです。日本でいうと、少し前のNHKの朝の連続ドラマの「カーネーション」に似た話。(これはまだ翻訳されていないようだけど翻訳したいです。よろしくお願いします) アメリカがイラクに侵攻したときに(ブッシュ息子が大統領のとき)、アメリカ人の間では、反対の声も賛成の声も同じぐらいに強くて意見は分かれていました。9・11の後「報復をよし」とする空気は一気に強まりましたが、それに躊躇している人も本当に多かった。それはアメリカ国内に住んでいなければ実感できなかった空気かもしれません。 それからずるずると15年ずっとアメリカは戦争していて、「いいかんじで手を引きたい」と思っているような気がします。「え?まだ戦争してるの?」と思っている米国民は多いし、アメリカは特殊作戦を多用しているから、ますます米国民は「へえ」で終わることが多いと思います。そういう中で、妻(娘)を戦争で失って悲しみにくれる家族の割り切れない気持ちもこの本には書かれています。戦争に行かなければポケモンゴーで遊べる国なんですから。 それから、アフガン系アメリカ人通訳のジレンマも書かれています。第二次世界大戦での日本語語学兵のジレンマと同じでしょうか。戦争の闇を見るような辛い思いです。 実際に書かれていることだけでなくて、そこから想像を膨らませると、この本が示唆していることは重要です。「やられたらやり返す」を実際にやってしまったツケを、9・11のときにはまだ子供だった女性たちが払っているのです(実戦は若い人でなければできないので、若い人の代償は計り知れないほど大きいですよね)。それが「米軍内の女性進出」に重なっています。もちろん、その女性たちは愛国心に満ち溢れているし、戦士になることに憧れているので、彼女たちから見れば「やっと地上戦で戦えるときがきた」というチャンスなのでしょうが。実際、彼女たちは死を覚悟して戦場に赴きます。 そんな女性兵士たちが見たアフガニスタンのことも書いてあります。男性兵目線で書かれたこれまでの本とはまったく違います。 原作者はニュースにはならないような良識的なアメリカ人を一生懸命綴っていると思います(ニュースになるのはトランプとかでしょうから)。それを「USA!ってかんじ!」と思ってもらえるなら、それはいいことなのかもしれません。
人工知能は私たちを滅ぼすのか―計算機が神になる100年の物語
えらくタイトルが大げさ。人に読んでもらいたいという願いが強いことの表れだね。 はじめは面白く読んでいたのに、人工知能のことを聖書にたとえすぎで、途中で面倒臭くなった。聖書とテクノロジーの両方がわかってないと、たとえが的確かどうかわからない。だから私にはわからなかった。ダン・ブラウンの本が大好きな人にはいいかもしれない。 聖書になぞらえているので、最後の審判などといって最終章にどんなすごいことが書いてあるのかとドキドキしたが、普通だった。まあ、迂闊に適当な予想できないもんね。逆にそんなに人を煽るつもりはなかったんだと安心した。ものすごく最近の海外のAIニュースが引用されているから鮮度が高い。内容的には、前に読んだ本とほぼ同じ。 パソコンとかインターネットの歴史を振り返ってみると、私個人としては「やたらとお金を遣わされた」といのが真っ先にあって、神がかりなこととは思えない。すでに3冊もAI本を買い出費を重ねた。2045年問題について読むと、Y2K(2000年)問題を思い出すしね。それに、次の東京オリンピックの開会式にロボットがいっぱい出てきそうな気がしてきた。 2045年には編み物に専念したい。
