昔の女流作家の使う言葉ってきれいだなぁ。芯もあるなぁ。話の内容は花柳風俗史的、花柳界の下から上まで(女郎、花魁、芸者)女の暮らしが書かれている。昔の女性って大変…と思う反面、芸事に優れているとか何かを持っていれば、最悪の事態を回避できる点は今と変わらない。 女郎は、体調を崩して(妊娠中とか)働けないとき、石臼で茶葉を引かされるという風習があったらしい。だから、売れ残りの女の人は「お茶を引く」と言う。そんなトリビアが散りばめられている小説でもある(ま、有吉佐和子だけでなく宮尾登美子なんかもそういう花柳界のトリビアを散りばめて小説を書いていたが)。 逆に、そういう玄人の女性を囲う男の人にも「旦那道」なるものがあり、ホンモノの「旦那」は、自分の囲った妾が別の男性と結婚するとなったら、花嫁道具を一式用意してやるのが最高らしい。 古い和歌山弁がじゃんじゃん出てくるのも、なぜかうれしい。『紀の川』もよかったけど。 1960年代に書かれた、明治・大正・昭和の話なので、40代でおばあさん、50代半ばで総入れ歯、などと、ぎょっとさせられることが色々。 香華=仏壇にお供えするお花のこと。
Category: 読書
Do Not Say We Have Nothing
仕事のほうのサイトに書きました。よかったら読んでね。でも、この本は和訳がない。 https://kyokonitta.com/2018/12/13/do-not-say-we-have-nothing/
Autonomy
コンビニ人間
トロントに村田沙耶香が来ていて、「何がまともか」についてのトークを聞きに行った。主に『コンビニ人間』について語っていたけど、本人が海外の読者は「コンビニ」という空間にものすごく興味を示し、日本国内の反応とは違うと言っていた。 イベント会場から出てくるときに、初老のカナダ人が「日本の小説は尖ってない」と言っているのが聞こえた。その根拠を知りたかったけどそれ以上は聞こえなかった。根拠はないのかもしれない。 ちょうど、ブッククラブの来年の読書リストを作る時期で、各メンバーから推薦書を募っているし、「ページ数は少なめ希望」なので、これだ!!!と思って、英語版を探したら、トロント公立図書館には30冊あるのに「待ち」が165件。イベントのパワー恐るべし。まあ、だから新しめの話題本はブッククラブには難しいのかも。買うとなると一冊25ドルぐらいするし。 先月のお題は『ペルセポリス』だったけど、こちらは図書館に20冊あって全部貸し出し中だった。ブッククラブは大体20人ぐらい参加するので、「あいつらめ!」と思っていたら、サンフランシスコの古本屋で安く買えたからよかった。 『コンビニ人間』は日本語版を借りて読んだけど、短いからあっと言う間に読めてしまった。読みながら白黒映画のメンバーを思い出してしまった。ま、そういう私も主人公みたいに同調圧力をかけられて「変わり者」呼ばわりされることが若い頃は多かった。「変わり者」というよりは「個人プレー型」なのだと思うが。
Never Let Me Go
7月のブッククラブの様子について。 https://wp.me/p9Tl9L-2u
バァバよ 大志をいだけ
友達からもらった。 この本の帯に「全国学校図書館協議会選定図書」「日本図書館協会選定図書」と書いてあるけど、この本の内容は、手がかかって仕方のなかった旦那さんを見送り、やっと自分の思うように生きていける! と喜んでいる黒柳朝の「老齢期の生き方」についてのエッセイで、彼女の性生活の悩みまで書いてある。小中学生には、読んでもピンと来ないし、人生の指南書にするにはあまりにも早すぎる。「トットちゃん」効果の余波だったのだろうか……. この本にも書かれているが『チョッちゃん』で表舞台に出た黒柳朝は、アメリカやカナダでも講演会をしていた。たぶん、この本はトロントに彼女が来たときに、誰かが買って、サインをしてもらったもののよう。いろんな人の手を経て、ワタシのところへたどり着いたところが、いとおしい。 本の内容より(内容は既に知っているものが多かった)、そんなことのほうが心に響いた。
Half of a Yellow Sun
ブッククラブに行きはじめて4ヶ月。今月はチママンダ・ンゴズィ・アディーチェの本だったが、なかなか彼女のフルネームが覚えられず、人に「今誰の本を読んでるの?」と聞かれても、「チチマンダっていう人の本」と言っていた。 というわけで、あっちのほうのサイトにブッククラブでの話し合いだとか、今月のお題については書いておいたので、興味のある方は是非。
AIQ
あっちのほうに書いたのだけど、こっちにも貼っておく。AIの本。 https://kyokonitta.com/2018/07/09/aiq/
Brave New World
仕事用のサイトからの転載。 https://kyokonitta.com/2018/06/24/brave-new-world/ なんか、個人用とどっちでもいい気がしてきて、仕事用のサイトなんてわざわざ用意する必要があったんだろうかと悩み始めた。
最近読んだ本
『苔のむすまで』 杉本博司の写真は大好きで、写真集を何冊か持っていた(が引越のたびに紛失したか人に譲った)。彼の文章がこんなにもすばらしいとは知らなかった。レベルは違うけれど、私も古いものは集めるのも好きだ。この間日本に帰ったときに、親戚の家の裏に澄んだ小川が流れていて(しかも流れが速い)、どうして小川があるのかと聞いたら、「先祖が材木屋だったから」という返事だった。近くの大きな川から水路を自宅まで引いてきたのが今も残っているのだそうで。つい、そういうことに感動してしまう。 『ミナを着て旅に出よう』 半年に一度のセールをしたくない、という皆川明の意見に賛成。そういうことをしないブランドはあったほうがいいと思う。セールでないとなかなか買えない値段ではあるが。姪っ子はミナの端切れでスカートをいっぱい作ってもらったのに、「可愛くない」とか言っているらしい。3歳半にはまだ良さがわからない。 『薔薇いろのメランコリヤ』 いやもう、「ばら」や「バラ」でなく「薔薇」なのはわかるが、「色」ではなくて「いろ」、「メランコリー」とか「メランコリア」でもなく「メランコリヤ」なのはなぜだろう、とタイトルだけで疲れた。中身も疲れる内容だが、成功している人にくっつく人々の屈折した精神はよくわかる。だから、屈折した者どうしが惹かれ合うのもわかる。 わざとらしく糸切りバサミを写真に入れているのは、すごく気に入っているハサミなのに、小さいがために長い間紛失していたのを今日見つけたから。
