Lower East ニューヨークで歩き回るのは想定内だったけど、足が不安。ちょうどリハビリが終わって、「何の不安もなく走ったり、飛んだり跳ねたりできるようになるまで、あなたの年齢だと1年はかかるわよ」と言われたのだった。そんなわけで、美術館は小さめ狙い。ホイットニー美術館では「ビエンナーレ」がやっていた。友達と二人で「これが好きー、あれ面白いー、これ嫌いー」と感想を言い散らかしながら見るのが楽しかった。美術館を出てハイラインを歩いていると、そこここにアートがあって、美術館の延長みたいだったのも楽しかった。次の日は一人でフリック美術館。25年ぐらい前、「超金持ちの家に招待されて、そこの家の美術品を見せてもらってるみたいなとこだよ」と人に教えてもらい、連れて行ってもらったきりだった。ミニチュアはないけど、ミニチュア好きに響きそうなものがたくさんある。25年前はそんなものに関心がなかったけど、自分の存在がもっとちっぽけだった。実は近頃、ミニチュア時計に興味があって、古い時計がとても気になっていた。とてつもなく大きな家に住んだとしたら、絶対柱時計が欲しい、と思うぐらいに。古い時計は時間を大切にしてるような感じがして、好き。そしたらなんと、フリック美術館には時計がいくつも展示されていて、全部ステキだった。ぐるぐる回って、また時計だけをもう一度見て回った。観光客が集まるところばかり見てるのも飽きてきて、バスでセカンドアベニューを南下し、ロウアーイーストに行ってみた。まったく雰囲気が違う。もうちょっと探検したいところだった。ニューヨークで食べたものおいしそうなレストランに入って、ステーキを注文しようと思ったら、12oz。一人では絶対に食べきれない量だったので、「半分の 6oz って選択肢はないの?」と訊いてみるも、「ないです」とあっさり断られた。なのに、出てきたステーキは 6oz の2段重ね! でも、よく考えたら、あれを友達と半分こして食べればよかったのかな...... お味は最高。付け合せのフライドポテトも、バーガーキング並の形と味でこちらも最高(私は、太くカットされたフライドポテトは嫌い)。友達にも手伝ってもらったけど、食べきれなかった。
Category: 旅
New York City -1-
The Vessel 先週、ニューヨークに行ってきた。当初の目的はミュージカルの『ハミルトン』を見ることと、友達と落ち合って一緒に遊ぶことだった。が、ニューヨークの空港全部が嵐のせいで全便欠航になり、私の飛行機はニューアーク空港上空を45分ほど旋回し、結局トロントに引き返した。アメリカ本土にはタッチダウンしていないけど、カナダは出国しているから関税申告書を書いて、入国審査をしてからカナダ再入国。既にエアカナダからメールが届いていて、次のフライトが用意されていたけど、翌日の夕方にしかニューヨークには着かない。『ハミルトン』はあきらめるしかないけど、友達と遊ぶ時間を削られてしまうのはダメだ! オタワで一泊し、オタワから早朝ニューヨークに着くフライトにしよう!エアカナダのエリートメンバーでもないし、変更不可能のチケットを持っていたから、後回しされたのかも。フライト変更も、オタワのホテル予約も、スマホでポチポチやれたので非常に便利だったけど、不測の事態が苦手な人たちに途中頼られた。どうなることか先が見えない点において私たちは同じなのだけど、不安に駆られる度合いが全然違うらしく、他人からの後押しが必要みたい。翌日はニューヨークは快晴。「午前10時にホテルで待ち合わせ!」の約束は果たせた。『ハミルトン』のチケット代は返金されないので、実に悔しいけど、ロングランなのでいつかどこかで見る日が来ると思う。サウンドトラックを聴いて舞台を想像する日がまたしばらく続くだけ。まずホイットニー美術館に行って(久しぶりに行ったけど、ちょうどいい広さで楽しかった!)、再開発されたハイラインを歩き、The Vessel に到達。シカゴのビーンみたいに人がたわむれることができるモニュメントなのだけど、上に登れるようになっている(無料だけど、QRコードを読み取って、登る時間が指定される)。すぐには登れなかったので、登らなかった。ま、私は完全には健脚ではないので、見上げるだけで十分だったけど。しかしニューヨークは蒸し暑かった。途中食べたかき氷がおいしかった。
シカゴ詣
今年もシカゴ詣。1年ぶりのダウンタウンは少し変わっていたし、去年より2週間早めに行ったせいで蒸し暑く、歩きづらかった(日本から来た人には涼しく感じるかもしれない)。 何が変わったって、新しいアップルストアがシカゴ川沿いに完成していたし、その横ではシカゴ・トリビューン本社ビルが改修中だった。おまけに今年マクドナルドの本社がシカゴに移転し、ダウンタウンの巨大マクドナルド店(前は「ロックンロール・マクドナルド」という名前だった)が環境にやさしい建築に生まれ変わっていた。今はまったくロックンロールしておらず、草食系な内装になっている。食べ物のメニューは相変わらずだが、熱帯雨林保護認証のコーヒー豆を使っていたりする。しかし、前の店舗にあった巨大な黄色いM字型のブリッジが私は好きだった。それが新しいエコフレンドリーなマクドナルドから消えていた。 店長っぽい人にブリッジの行方を聞いてみた。 「捨ててないわよ、きっと。本社のどっかにあると思う。本社の人に聞いてみれば?」 この本社では世界のマクドナルドで売られているご当地バーガーが食べられるらしく、店長イチオシだった。車がないといけない場所だったから、いかなかったけど。ハンバーガー大学というのも本社にあるらしい。 ... でも、ちょっと行ってみたい。次だな、次! 後は、いつものようにシカゴ美術館のミニチュアルームで過ごし、建物を見て回り、ミシガン湖の湖畔を散策し、ユークレニアン・ヴィレッジでご飯を食べ、House of Blues に行き、ヘンリー・ダーガーの部屋を見に行った。 今回はミッドウェイ空港着のフライトだった。空港付近にある貨物広場が筆舌に尽くしがたいほど巨大で、私が乗っていた飛行機の高度からでは全体写真が撮れなかった。 気に入った風景 私が行く前からシカゴで銃撃事件が多発していて、ある週末だけで50件とか半端ない件数だった。私達がいた週末も20件ぐらい発生していたらしい。しかし、それはダウンタウンからは遠く離れた場所のこと。観光客がうろうろするところは至って平和だった。
ゲントで見たもの
忘れてしまいそうだから書き残しておこう。 その1 ゲントで夢を見た。私はベルギーで一番美味しいチョコレートを決める品評会の審査員の一人で、「これはウマい!」と私が推したチョコレートが1位に輝いた… のも束の間、それが審査前に一度溶けたチョコレートだったことが発覚し、金賞剥奪され、私の味覚への信頼も失墜した。 この悪夢にうなされ、夜中に目を覚ました。 その2 ある夜、ベルギー産ビールにもそろそろ飽きたな、という旅の後半戦、ビールを飲みに行った先のバーカウンターの隣の席に「シー・シェパード」のメンバーを1人発見。実際に至近距離で見たことはなかった。でも、「シー・シェパード」のTシャツを着ていただけかもしれない。たまにハーバードとかスタンフォードとか行ってもいないくせに有名大学のTシャツやスエットを着てる人がいるから、これも何かのファッション・ステートメントかもしれない。
夏の終わりのシカゴ
ベルギーから帰って、スーツケースの中身を入れ替えてシカゴへ。シカゴに行く予定が先に出来ていて、後からベルギーの予定が入ったからこうなった。 前回のシカゴ旅行は冬だった。「これが暖かい季節なら…」と想像を膨らませていたことを今回実行。クルーズ船に乗ってシカゴ川の摩天楼渓谷を見物するとか、ブルースを聴くとか、ミシガン湖を見るとか。普段オンタリオ湖を見慣れている私にはミシガン湖を見ても感動は薄いが、全米3位の大都市シカゴはトロントから行くと光り輝いて見える。建築に誇りを持っているシカゴの高層ビルは威信をかけて競うように建てられているから美しい。 摩天楼渓谷。トランプ・インターナショナルのビルも結構好き キラキラ・ビル群 ついシアーズ・タワーと呼んでしまう! ウィリス・タワー! 摩天楼ツアーの後、ぶらぶら歩いていたらシカゴのユニオン駅に遭遇。「あら? これって映画アンタッチャブルの階段じゃないの?」と盛り上がる。その後、妖精を信じるかどうかの話で盛り上がる。ユニオン駅に妖精がいるかどうかをテストするために誰も座っていないベンチを撮影。心霊写真になったらイヤだと後削除。The Blues Brothers の話もした。ジョージ・マイケルの昔のミュージック・ビデオが実はシカゴで撮影されたんじゃないかと疑っていて、何度もユーチューブを止めて凝視してるけど、未だに確証がとれない、という話もした。なんとなくシカゴに求めているものが30年ぐらい前のもののような気がしなくもない。 シカゴ美術館のミニチュア・ルームも再訪、ゴーギャン展(混んでいた)もインドネシアのバティック染め展も満足、そして現代美術館の村上隆展も楽しかった(私の趣味ではないけど、ホテルのすぐ近くなので行ってみた)。ゴーギャン展には高齢者が多かったけど、村上隆展はそれっぽい人が多かった。当たり前だが。 精巧なミニチュアルームを接写すると普通の部屋にしか見えないことの例 前回シカゴ名物のステーキを食べるチャンスがなかったので、今回は食べた。地元民に「ダウンタウンのステーキ専門店ならだいたいどこでも美味しい」と聞いていたので、適当に検索しつつ行ってみたら、そこは当たりだった(と思う)。しばらくはステーキはいいや!と思うぐらいに量が多くて、最後のひと口は肉攻めにあっている気がしたけど、本当に美味しかった。友達は3本の指に入ると言っていたけど、私は1番にしてもいい。そのあとブルースを聴きに行った。 ホテル近所のダイナーのメニューの表紙が超かわいい、という理由で(?)同じ店で2度朝食。全然おしゃれでもなんでもないが居心地良すぎて、いつまでも長居をしてしまう。 これが表紙。リバティぐらいに薄いコットンにプリントしてワンピを作ったらすごく可愛いと思う。 ダウンタウンから離れて、若者が集うおしゃれエリアにも行ったけど、そこに行くまでのバスがどの路線も荒みがち。昼間は平気だけど、夜遅くは微妙。バスの中でシカゴ・ブルズの細編みジャケット(カウチンセーターみたいな形だった)を着た黒人のおばあさんがいた。完成度の高いジャケットで尊敬してしまった。スポーツと手編みは親和性が高いと思う。 シカゴのレネゲードにも行ってみた。来る子達がおしゃれ。買い物より彼女たちのファッション観察のほうが楽しかったかもしれない。訪ねたかったベンダーが見つけられず、足がつってしまった。 そしてThe Beanでお決まりの写真撮影。ビーンと戯れている人々が楽しそう! 幸せ感溢れる場所だから大好き。The Beanの近くにCrown Fountainなる噴水オブジェも発見。冬に行ったときに気づかなかった。こちらの噴水もバカっぽくてとっても楽しかった。最後におちょぼ口になったところで、口からビューっと大量の水が放出される。 シカゴは本当に楽しい。その魅力は語りきれない。私が一番大好きなラジオ番組の公開収録もシカゴだ! 一度その収録会場でみんなと笑ってみたい! 第3戦目もありだと思う。
ゲントその2
ゲントでなんか可愛いお土産はないかな、と探してみたら、昔レースの産地だったらしい。レースは大好き。ということでお土産屋さんへゴー。 「勘弁してよ~」というお土産品の山を掻き分けて、ついに発見。店内を見渡す限り「これはベルギー産ではないでしょう?」とツッコミたくなるレース品がいっぱい置いてあるが、そんな無粋なことは言わない。見つけた可愛いレースを手に握りしめ、「これってゲント産?」と一応は聞いてみると、「んと、ブリュッセル産」という返答。そーゆーことにしこうぜ! お互いに! と私は心の中で思ったね。 だってね、このゲントの町並みのレースとか、本当に可愛いから。たぶん、ベルギーのほかの街でも売られているとは思うけど。そして、この蝶の形のレース! これはお友達からポルトガル土産にもらったのとほぼ同じ。もしかしたらポルトガル産なのかも? でも可愛いでしょう? これでシャドウボックスを作る予定。 ベルギーと言えばチョコレートだけど、留守中に猫の世話をしてくれた友人にベルギーのチョコレートとゼリー菓子を渡したら、激ウマで一気食いしてしまったらしい。自分用には買わなかったから味はわからずじまい。聖バーフ教会の「神秘の子羊」っていう絵も観たけどね、絵よりも、あれを欲しがって色んな政争や盗難が起きていることのほうが私には面白かった。 旅行前に兼高かおるの本を読んでいた。古い時代にカメラ機材やフィルムを背負って世界中を旅した人だから(しかもプロペラ機で最短時間で世界一周した記録を持っているらしい)、自分の荷物は最小限に抑えていた、という苦労話が書いてあった。で、それを真似して荷物をまとめたら、機内持ち込みスーツケースだけでヨーロッパに行けた。それすら一杯にならなかった。3分の2ぐらい。ワンピース4着とエスパドリーユで。底の分厚いエスパドリーユは最強。それは兼高さんのアドバイス。
Ghent, Brussels, Lille
急遽ベルギーへ行ってきた! 去年のベルギーは物騒だったせいか、空港と鉄道駅にはあちこちに機関銃を持った警備員がいた。ブリュッセルから電車で30分ぐらい南下したゲントという小さな大学町に滞在。そこは至って平和そうだった。昔はパリと並ぶほど大きな河運で栄えた町。この町はドイツ軍にとっていろんな便利なものがあったので、占拠されはしたものの、爆撃はほとんどなく、「第一次世界大戦ツアー」と称する街歩きツアーに参加しても、ドイツ軍兵士の性欲のはけ口だった場所ばかり案内されてしまった。それはそれで面白かったけど。 夜のゲント 本業の仕事ではいろんなことを一夜漬けで学ぶけど、その豆知識を自分の旅に活かせたりする。それが今回拷問と楽器だった。ゲントには小さいながら拷問博物館があって、まさにそこで人々が拘置・拷問されていた場所での展示。怖いことこの上なかった。それなりに見物客はいても、ふと気がつくと誰もいない… ということもあって恐ろしかった。漫画『イノサン』も読んでいたし満足。憲法で保証されている基本的人権のありがたさを再認識。 拷問博物館 「楽器」のほうは、ブリュッセルの楽器博物館で発揮。ここに2つの楽曲をほぼ無限に組み合わせて延々と奏でてくれる巨大オルゴールのようなものがあって、それについて翻訳したことがあった。現物を目にできてうれしかったけど、それより博物館の建物がアール・ヌーヴォー風の古いデパート! 楽器がびっしり展示されていても、広くないのであまり歩き疲れない。雅な鍵盤楽器から弦楽器、世界のいろんな楽器が展示してある。基本、叩くか吹くかのどっちかで音を鳴らすだけなのに、こんなに色々あるなんて! 旅の芸人が使う楽器も盛り沢山で、アコーディオンもものすごく種類が多い。ここも毎回来るたびに感動しそうな博物館だった。3時間はいたと思うけど、全部見きれなかった。 楽器博物館 コンポニウムという作曲(?)機械 ゲントからフランスのリールへも電車で1時間。ちょうどヨーロッパ最大の蚤の市が開かれる週末だった! 去年はテロのせいで中止になったらしい。リールの市街地が全部蚤の市になっていて楽しかった(けど何も買わなかった)。風物詩のムール貝の酒蒸しとフライドポテトにビールを飲んで帰ってきた。蚤の市に来ている人はこれを食べているか、ガラクタを物色しているかのどっちかね。 ブリュッセルでビールのイベントがあったのでそれを遠巻きに見つつビールを飲んでいたら、そこに酩酊しきった巨大な男たちとそのガールフレンドの集団がいた。相当飲んでいたようで、グラスを次から次へと落っことして割ったり、大声を出したりしていたので、ちらちらと観察。本人たちは至って楽しそうにしていたけど、周囲はこの酔っぱらいたちの間でいつ何時喧嘩が勃発するかとハラハラしていた。この人達はアメリカでいうところの「トランプサポーター」みたいな人たちだなと見た目で判断していたところ、その集団の一人のTシャツの袖から鉤十字をずらずら並べたタトゥーが出ていた。クラフトビールのイベントが開かれていたテントに集まってビールをありがたく試飲している人たちと、外にいる人達は対照をなしておったね。
ニューヨークその2
ニューヨーク滞在最終日にワールドトレードセンターのツインタワーの跡地に行ってみた。社会見学らしい学生の団体もいっぱいいて、その子達はたぶんあのタワーにジャンボ機が突っ込んでいった様子をリアルタイムでは見ていなかっただろうし、見たとしても何のことかよくわからない年齢だっただろうから、きゃっきゃっしていた。ある程度のお年の人たちだと「まずノースタワーがまずやられて…」と克明にあの日の出来事を思い出しながら「サウスタワーがやられる前に、なんで阻止できなかったんだろうね」というような会話をしていた。あの日をよーく覚えている人は何度も振り返る瞬間だよね。 ワン・ワールドトレードセンター メモリアル(ツインタワーの跡地) 私はあのツインタワーが健在だった頃にタワーの中に遊びに行ったことがある。93年の爆破事件の後だったので警備は厳しかった。その頃の記憶を引きずっていたから、今はもうタワーがなくなっていて、穴だけになっていることにショックを受けた。 年下の友達にその話をしたら、 「え? 93年にも爆撃事件があったの?」 と驚かれ、自分が生き字引的な存在になったことに一瞬狼狽えた…。 日本人には東日本大震災が同じような心理効果をもたらしたと思うけど、私はやっぱり911。あの日私はカリフォルニアでテレビで見ながらショックを受け、「明日自分の命があると思っていてはいかん…」と思い、いきなり旅に出たのだった。自分が無力に思えた。別に何の脈絡もなく突然911が起きたわけではないけど、あれをきっかけに、イラク・アフガニスタン戦争が始まって今に至っているし、ブッシュ元大統領は任期を終えてから、あの戦争で負傷した兵士たちの肖像画をずっと描いている。なんかそういう大きな時間の流れで、急に断層がズレたみたいな瞬間が911。 ニューヨークで「Come From Away」という911のときに空を飛んでいた飛行機がカナダのニューファンドランドに緊急着陸したときのことを題材にしたミュージカルを見たかったんだけど、チケット完売してて見れなかった。カナダ首相もイヴァンカとこのミュージカルを見に行った(どうでもいいか…)。
ニューヨークその1
ちょいとニューヨークへ。お目当てはメトロポリタン美術館で今やっている川久保玲の展示。週末は人が並ぶと聞いたので平日に行った。列はなかったし、ゆっくり見ることができて満足! 本当に行った甲斐があった。 メトロポリタン美術館には、半年ぐらい前にシカゴ美術館で見たミニチュアルームの実物大みたいな部屋が「ヨーロッパデコラティブ」のセクションにあって、それを見ながら、あのミニチュアルームの凄さを再確認したね。 ミニチュアつながりで、タイムズスクエアの近くでガリバーズゲート(Gulliver’s Gate)のジオラマも見に行った。世界各都市のジオラマ。まだまだ「空港」を作っているところなので、その経過や作業が見られる。それに、お金を出せば、360度のカメラで自分を撮影してもらい、自分のミニチュアフィギュアも作れる。興味はあったけど、高かったから諦めた。ジオラマの中に私のフィギュアを入れてくれるの? と聞いたら、入れてあげると言っていたが… マンハッタンのジオラマがすごくよかった。じーっと見ていると、交通事故とか警官(?)に取り押さえられている人とか、ニューヨークの日常がよーく描かれている。 ボタンを押すとミニチュアの一部が動く仕掛けになっている。ナイアガラの滝はハイテクな仕掛けで、滝の水が映像で、本物の霧が噴出してくる。 バッキンガム宮殿では、エリザベス女王が出てくる仕掛けになっているが、そもそも宮殿自体がミニチュアなので、女王は米粒サイズ。わかるかな? 玄関に立ってるけど。 ハイテクと手作り感覚が融合してて、とても楽しかった。細かいものを見ているとイライラする人にはおすすめしないけど、ごちゃごちゃしたミニチュアの中から、さらに小さな発見をするのが好きな人なら、かなりの時間を過ごせる。 アジアセクションのジオラマは中国がすごい。日本は富士山と金閣寺だけで、アジア全体を中国の新幹線がビュンビュン走っていた。このジオラマショーは中国マネーで成立してるのかしら。 入場料は安くはないから、スマホで何回もサイトをクリックして悩んでいたら、そのうちディスカウント価格になった! たぶん、グーグルが私が何度もアクセスしていることも、ニューヨーク滞在最終日で帰りのフライトの時間も全部知っているから、ディスカウント価格を提示してきたのかも! 夜は見たいミュージカルがあったのだけど、どれもこれも値段が高いか売り切れ。それでジャズクラブを2件回ったけど、1つはジュリアード卒の映画「セッション」の世界の人たち、もう1つは年季の入った黒人のおじいさんのラブソング。断然後者が好み。 ほかにもジオラマの写真 グランドセントラル駅 火事のシーン サンクトペテルブルグ、だったと思う
中国西安旅行
中国の西安に行ってきた。トロントから直行便はないので北京経由。北京から西安まではエアチャイナ。エアカナダと同じスターアライアンスだから、スーツケースは西安まで直行すると思い込んでいたら、北京に置いてきぼり。西安の空港の手荷物受け取り所で「あなたのスーツケース、北京にあります。明日の11時に西安空港に届くようになってますから」と空港の係員のほうから先に声をかけられた。おかげで、西安空港への道を覚え、空港付近に石炭の巨大発電所があるのを発見し写真も撮った。PM2.5の拡散に大いに貢献してるはず。 PM2.5に関して言えば、西安は北京や天津よりもましで、滞在中、西安の値は北京の3分の1ぐらいだった。ちなみに、西安から北京に戻るとき、雲の上を飛んでいた機体が、雲の中→澄んだ空→汚染された茶色い大気の順番で降下していき、その日は空からは北京の街が見えなかった。着陸できただけマシかもしれない。西安は空気が霞んでいるものの、上を見上げれば青空が見えていた。 うつせみの シルクロードは 天に伸び 霞とみまがう 塵吹雪かな …と空港へスーツケースを取りに行くときのバスの中で一句詠んでみた。 西安で一緒だったアメリカ人などに「日本も4、50年前は大気汚染すごかったんじゃないの?」と訊かれた。四日市ぜんそくで有名なところで育った私は、確かに... と思ったね。 さて西安。すなわち昔の長安。シルクロードの起点・終点だったので、異文化が融合しているのを期待していったが、あまりそういうのを押しているようには見えなかった。 西安は近代的で、人口8百万人の大都会。周辺人口を含めると東京ぐらいになる。旧市街に行けばイスラム街があって、イスラム教寺院があって、街のあちこちにイスラム教徒のやっているレストランがある。もっと事前に下調べしていけば、何かもっと風情のあるものを見ることができたのかもしれないが、最近、あちこち移動が多くて下調べが面倒になり、現地入りしてからスマホに頼っている(史跡や美術館を巡るんじゃなくて、街歩きをしたいので) 西安で個人的に面白いと思ったのは、旧市街のイスラム街、その周辺の古い通り、パッケージ品やキッチン用品の問屋街とか、おんぼろアパートの並ぶ小道とか、ビール街だった。西安では夜に立ち寄れるバーがあまりにも少なくて(イスラム教徒が多いからなのか?)、お酒はカナダ並みの値段。店はビール街に集まっていて、そこが日本の「歓楽街」のごとく、若いお兄さんたちが客引きをしているので、非常に淫靡な雰囲気が漂っており、ビールを飲むだけなのに悪いことをしているような気持ちになるのだった。ほかにも、街の雑居ビルの中にあるバーにも行ってみたら、ちゃんと「バーテンダー」の服を着たバーテンダーがいて、客のほうは、やや年配お金を持ってそうなチョイ悪おやじたちが、若くて綺麗な女の子をはべらしていた。大学生風の若い客はそうでもなかったけど。卓上にはサイコロとサイコロ入れが置いてあって、それを振っては何やら遊んでいる人が多かったが、あれは何かのゲームなんだろうか。ビールはベルギーのものでもかなり薄めてあると思う。中国人の味覚に合わせてあるのだろうか。あと、ビールが常温で出てくる。 客引きのお兄さん。誰も客が歩いていない 西安鐘楼 英語は全然通じなかった。ホテルでもあまり通じない。小さなレストランに入ったけど、店に入る前に看板に出ている麺の写真を撮って注文。「大、中、小どれにする?」みたいなことを訊かれているのはわかっても答えられないので、苦戦した。頼んだのはワンタン麺のようなものだったが、席に着いてからワンタンの肉にいろいろ種類があることに気づき、どうしても鴨肉が食べられない私は、「鴨はイヤ、牛か豚にして!」という、非常にハードルの高いリクエストをしに、カウンターに戻った。最終的に、料理を作っているおじさんがどんぶりを運んできてくれ、丁重に「どうぞ」みたいなことを言いながら、お箸や紙ナプキンも持ってきてくれた。中国人の客にはそんな丁寧なことはせず、「牛のワンタン麺(大)一丁! 誰や?」みたいな接客をしていた。そのワンタン麺のようなものはものすごく美味しかった。しかし名前はわからない。西安で食べた餃子、麺類はみなとても素晴らしかった。西安は柿の産地のようで、柿の焼き饅頭のようなものも、おかずとして食べたが、なかなかおいしかった。 小ぶりの柿 2種類のつけ汁が出てくる太麺 市内で古いものを探して歩いてみたが、古いものはどんどんなくなっていくように見えた。玄奘(三蔵法師)がインドから持ち帰った仏教の経典が収蔵された大慈恩寺の大雁塔にも行ったけど、敷地内にモノレールが走っていたり、目の前に巨大噴水広場があったりして、新しいものと古いものがぐちゃっとなっていた。あと、家人が「西遊記」を知らなかったことも衝撃だった。まあ、国際カップルあるあるではあるが。 大雁塔 そして西安旅行のキモである兵馬俑。西安からバスで1時間ぐらいのところにあって、英語のツアーに参加した。一緒に行った人たちは気心知れたギークな人たちばかり。秦の始皇帝のことは日本では歴史の授業で習うけど、この人たちのほとんどは学校では習っていなかったので、ガイドさんを素朴な質問攻めにし、おかげで私もいろいろ学べた。こういうツアーに、知ったかぶりの人がいるとテンションがぐーんと下がるが、知らない人ばかりだったので本当に楽しかった。 兵馬俑は一部が世界の博物館を回っているけど、やはり本場に来ると兵士の数に圧倒されるね。きれいに修復したものだけでなく、修復中のもの、発掘して綺麗にする予定の土に埋まった状態のもの、いろいろあって「途中経過」が見られるのがおもしろかった。埴輪好きとしては見飽きない。兵馬俑のショップには、残念ながら、買いたくなるような兵馬俑グッズはなかった。 修復中 タクシーが安い。年をとった人だとメーター付きのタクシーでも値段交渉してくる人が多いけど、若い運転手だと配車アプリを使っていて値段交渉もしなくて済んだ。夜、空港から乗ったタクシーの運転手が小泉純一郎にそっくりだった。ホテル到着後のお勘定のときに運転手が振り向き初めて発覚したが、驚きのあまりお金を払わずに車から転げ出してしまいそうだった。 以上、西安についてでした。 こういう逞しい人も結構いる こういう防寒具が流行っていた。キティちゃんとポール・フランクのサルが一番パクられていた
