邦題は「素晴らしき哉、人生!」 見たことなかった。毎年そうなのかもしれないけど、今年は(も?)クリスマス前にトロントの映画館のあちこちで上映されている。平日に見たのに人でいっぱいだった。いかにもクリスマスな話でありながら、自殺に駆られる話でもあって、そういうホリデーシーズン特有の「鬱」がまたまたクリスマスチックだった。でもハッピーエンドだし、ちょっぴり心清まる内容でもある。 「何回見てもいいわ」とか「また泣いちゃった」とか「画面見てなくて音声だけでも泣ける」とか言っている人が多かったが、これが白黒映画の仲間のよいところ。そもそも何度も上映されていてTCMがあればタダで見られる映画をわざわざ映画館で仲間と見て喜ぶ、という価値観(だけ)で結ばれている。 最近気づいたが、このグループのメンバーは、激しい人見知りとか、年寄りとか、非モテとか、極端なインドア派など、社会的弱者っぽい人がほとんどである。お金持ちでモテモテでブイブイ言わしている人など、このグループにはいなさそうである。 映画とは関係ないけど、駅の改札を通り抜けようとしていたら、財布から小銭を出して地下鉄代を払っているおばあさんがいた。そのおばあさんは、財布を閉めるのを忘れたらしく、財布からものすごい数の小銭をバラバラバラバラバラバラと落としていた。あまりの数に周囲がきらめくほどだった。なのに、本人は気づかず通り過ぎていく。見かねた私は、とりあえず拾える分を拾って、おばあさんを追いかけて渡したのだけど、おばあさんは「え?私が落としたの?マジで?」と半信半疑だった。ちなみに、私以外にインド系っぽい若造がいて、おばあさんの傍若無人的な小銭の落とし方にオロオロするばかりで役立たずだった(ひょっとしたら、お金を拾ってあげたいけど極度の潔癖症で拾えない可能性もあるが)。 で、元の場所に戻って、拾えきれなかった小銭をまた拾い(まだインド人の若造はそこにいてオロオロしていた)、それを「歳末の助け合い運動」で鈴をシャンシャン鳴らしているおじさんの募金箱に入れた。 おじさんは夕方七時には募金箱を閉める予定だったらしく、 「おう!ギリギリセーフだな!メリークリスマス!」 と言ってシャンシャン鈴を鳴らしてくれた。
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The Silent Partner (1978)
ま、これも一応サンタが出てくるからクリスマス映画ってことで。1970年代のトロントの街並みが出てくる。イートンセンターとか、キャベッジタウンとか、パーラメントストリートとか。 トロント市内では、よく映画の撮影が行われているけど、だいたいアメリカの都市に作り変えられている。この映画はトロントをトロントとして映し出している(といっても1970年代の風景だが)。クリストファー・プラマーもジョン・キャンディも出ているし、音楽はオスカー・ピーターソン、とカナダ人のA級な人たちが出ているのに、いい感じのB級な雰囲気に仕上がっていて、大笑いだった。この映画で笑うかどうかは、初デートの相手と今後も付き合えるかどうかの決め手になると思う。 クリストファー・プラマーが超怖い。
The Front Runner
1980年代を舞台にした映画が多い気がするのは、そういう映画ばかりを私が好んで見ているからなのか。 The Front Runner は、アメリカで大統領候補になるような人の「ベッドルームのお話」(ピンクスキャンダル)が、彼らの政治生活の脚を引っ張り始めた頃のお話。 ヒュー・ジャックマンがいかにもクリーンそうな啓蒙的な政治家役をやっている。そこへ下世話なスキャンダル。「クリーンそうな啓蒙的な政治家」の嘘臭さが炸裂!! そして彼は落ちていく。根が意地悪な私は「ざまあみろ」と思った。トランプのような「啓蒙」とは程遠い人はピンクスキャンダルが起きても強く、存在が泥臭く、「ウソっぽい政治家」なのに、「クリーンそう」だった人のピンクスキャンダルは致命的。いつも「いい人役」ばっかりやってるヒュー・ジャックマンだけど、この役すごい!と思ったら、この映画、あんまり人気ない...... 浮気された奥さん(ヴェラ・ファーミガ、好きだなぁ)と浮気相手の女の子も、「ステキな男」へ過度な期待をしているところが、なかなかいい。 ただ、その面白い部分に行き着くまでに時間がかかるのが難。最初の15分ぐらいは大統領選予備選の様子なのでワサワサワサワサしていて全然落ち着かない。 メディアが今では信じられないような重い機材を持ち歩いていて、機敏な動きが取れないはずなのに、動いている。昔の追っかけカメラマンって大変だったんだろうな。
Do Not Say We Have Nothing
仕事のほうのサイトに書きました。よかったら読んでね。でも、この本は和訳がない。 https://kyokonitta.com/2018/12/13/do-not-say-we-have-nothing/
蒼い空へ
届いた日に一気読み。 ファンが号泣したとか言っているのをSNSで見ていたので、覚悟はしていたけど、予想を遥かに超えた内容だった。世間に公表していたよりもずっと満身創痍だったことが明かされている。 同じような病気を抱えた人、あるいはそれを支える家族のために書かれているだけあって、ところどころ西城秀樹の主治医(慶応病院)が病気の説明をしている。 奥さんの献身もさることながら、何より私の胸を打ったのは、西城秀樹の3人の子どもたちの反応。父親の闘病生活が3人にどんな影響を及ぼしたかは、それぞれに違う。元気だった頃の父親の思い出、大切にしていたい父親像、父親との距離、家族の中での立ち位置など、三者三様のはずだから当然なのかもしれないけど、父親存命中に、自分を抑えてお父さんの病状を直視できた子もいれば、そうはできずにいた子もいて、読んでいて涙が出た。 「西城秀樹」のイメージを保つために、今までは言えなかったことが多くあり、そのせいで世間では憶測も飛んでいたが、意地悪な文言もあった。きっとこの本は、そんな誹謗中傷をはねのけるように、この3人の子どもたちのためにも書いたんじゃないか。芸能界で長年活躍したスターの奥さんとして、とても聡明な人なのだなと思った。 まあ、西城秀樹を知っていることが大前提の本ではあるね。 余談:最初は電子書籍版を注文していたところ、電子書籍のほうには未公開写真が入っていないと「ケチ」がついていることが発覚し、キャンセルして紙書籍を買った。
Autonomy
Can You Forgive Me?
リー・イスラエルというニューヨークの作家が、お金に困って有名作家の直筆手紙を偽造する話で、実話。個人的にこういう話は大好き。彼女がやらかしたことがメインで、同性愛者であるとか、中年シングル女性である事実を前面に押し出してくるわけではなくて、自然に伝えられているところがいい。 リー・イスラエルの原作を読もうと思ったら、図書館でものすごい待ちだったので、読むのはやめた。ちょっと読みたいだけなので買いたくはない。原作は、リー本人が自分の犯した罪を反省して書かれたもので、ホリエモンが出所後に執筆した本みたいなもの。 メリッサ・マッカーシーがリー役で主人公。昔に比べるとすごく痩せたなぁ、と思いながら見ていた。 最近、アメリカ映画の中ではババアが熱いような気がする。何を根拠に?と言われても困るけど。ニコール・キッドマンもすごくオバサン顔で映画に出てくるし。彼女たちは美魔女化しているときもあるけど、実年齢に近い普通の人を演技しているときもある。高齢化社会だから? #MeTooの効果? それとも、私にはそういう映画がいいだろうとグーグルが気を利かせている? 若くてきれいな子より、中年のオバサン女優のほうが見てて面白いと思うのは、私もおばさんだから?
One Cut Out of the Dead(カメラを止めるな)
『カメラを止めるな』を観た。ゲラゲラ笑って体重が1キロぐらいは減った気がする。 SNSで人が絶賛していたで観たいなと思っていたところ、トロントでも上映されると聞き、楽しみに出掛けていったら、本当に面白かった。作っている本人たちが楽しそうに見えた。映画製作を真剣にやっている人への賛歌でもあるな。 感謝祭やクリスマスが近づいているので、映画館に行ってもCG満載の映画の予告編ばっかり見せられることが多く、うんざりしていたので、すごく新鮮だった。 来年のオスカーには、「Outstanding Popular Award」という人気賞が加わるらしいけど、アメコミが原作の人気映画は「賞」をあまり獲得できないから、この賞を新しく作ったんじゃないか、と巷(白黒映画の仲間うち)では言われている。「低予算で頑張ったで賞」のほうがいいな。そしたら『カメラを止めるな』が選ばれると思うな。 映画鑑賞後、映画を見ていない教授に「どんな映画だった?」と訊かれたけど、結構説明しづらいストーリーだな。なので、できたら一般の劇場で公開してもらってまた観たい。
第11回 日本タイトルだけ大賞
『トラウマ類語辞典』がノミネートされました。ノミネートしてくださった方、どうもありがとうございます。ノミネートされているタイトルには下ネタが多い中、非下ネタとして健闘してほしいです。
Edward Scissorhands & Bohemian Rhapsody
好きな映画の1つ、エドワード・シザーハンズ。たぶん季節柄なんだと思うけど、突然 VIP シアターで格安上映会があり、いそいそと出掛けた。 何度も見ているけど泣ける! あちこち面白い! と涙を薄っすら浮かべてエンドロールを見ているときに、お隣さんに感想を訊いてみた。 「音楽ぐらいしかいいところがなかった」 お隣さんは、本来なら別の人が座るはずだったが、事情により見知らぬ人になったのだ。どうやら気難しいタイプのおっさんのようである。お伽噺にいちいち感動しないのだろう。上映前に、私はこの映画が大好きなんだ、ってあらかじめ言っておいたのに。 白黒映画のお友達のおばあさんが前の席に座っていたので、お口直しに感想を聞きに行くと、 「エドワードの作り出すヘアスタイルの数々がすてきだわ!」 と私のハートにドンピシャな感想を言ってくれた。 小ネタだが、白黒映画のリーダーはエドワードに似ている。手は普通の手だけど。 が、この日はみんな「Bohemian Rhapsody」で盛り上がっていた。それと「A Star is Born」。こっちのほうは、ガガ版ではなくて、バーブラ・ストライサンド版との比較で… (みんなの年齢層が高いのでそうなるとは思っていたが) で、Bohemian Rhapsody AVXシアターでわざわざ見た。おかげでバンドエイドのシーンはとても臨場感があった。そして日曜夜10時台の上映時間は穴場で、ほぼ自分たちしかいない。 猫、猫、猫! そして歯。歯が強調されすぎじゃない? まだヒースロー空港で働いていたときの姿なんて、お笑い芸人みたいだった。 映画の仲間たちは結局クィーンを聞きながら育った世代なので、個人的な体験をいろいろと重ね合わせているのだろう。私も友達からもらったクィーンの「ミックステープ」をウォークマンで毎日聞いていたが、それはクィーンが好きだったからではなく、テープをくれた人が好きだったからである。 で、映画館のチケット売り場で並んでいるときに、20歳そこそこの子たちが「Bohemian Rhapsodyっていう映画を観たんだよね」 「えー、何についての映画?」 「うーんと、クィーンっていうバンドの映画」 と会話していた。ま、そういうもんでしょう。
