Stocking up

先日、店じまいをするアメリコに連絡を取り、直接毛糸を買いに行った。話したいこともあったから。なぜ急に店じまいするのか訊いてみた。それは、長い間頭をよぎる問題だったらしいが、ある日突然朝5時に目覚め、「やっぱり辞めよう」と思って、フェイスブックに投稿する文章をしたためるに至ったとのこと。要は、十分やりきった、と思ったわけで、重要な決断とは、そのようにして起きるものだとその話を聞いて思った。この世の中に「正しい解」があると思い込んでいると、こういう決断はできない。「何が待っているのかわからないけど、次に進みたい」という意志のみがある。ポジティブで、いさぎよい! と思った。「次に何がしたいかわかっている」のと、「何がしたいかわかっていないけど、次に進みたい意志がある」のとでは、エネルギーのレベルがまったく違う。「次にやりたいことがわかっている」のは年寄りくさい。

Tales of the City

私は『Tales of the City』ファン。原作を4冊全部読み、ドラマ化されたものも全部見ている。最近ネットフリックスが「完結版」を出し、一気に見た。興味のある人は、この「完結版」から見ても、きっとわけがわからないと思うので、1993年版から見てね。サンフランシスコに引越してすぐにはまったのは、主人公の一人、メアリーアン・シングルトンを自分に重ねてしまったから。保守的な土地を離れ、サンフランシスコくんだりまでやってきて、リベラルな思考とダイバーシティの洗礼を受け、自分が知っている世界なんてほんのちっぽけだったことを知る。若いメアリーアンは、The Buena Vista(アイリッシュコーヒーで有名なバー)の公衆電話からオハイオのお母さんに電話をかける。「わたし、もう家には帰らないから」......物語はそこから始まるのだ。「これって私!?」と滂沱してしまったのだよ。しかもメアリーアンはおせっかいが度を過ぎていつも失敗してしまう(ここも似ている)。ドラマを見た後、The Buena Vista まで行ってしまった。あの電話はなかったけど、電話があったところに立ってみた。『Tales of the City』は Barbary Lane(架空の場所だけど実際に入り口の階段はある)を中心に話が進む。そこには、アナ・マドリゲル(オリンピア・デュカキス)が大家をやっているすてきなアパートがあり、そこにいろんな住人が住んでいる。メアリーアンもその一人。全員、まったくの赤の他人なのに、家族並の絆がある(家族並の付き合いではなくて、あくまでも絆)。そのへんは「Sex and the City」にはまった人ならわかってくれるかしら。今回のネットフリックス版は、ストリーミングってこともあるけど同性愛のセックスシーンが本当に多かった。LGBTQ の話はより一層複雑に。性転換手術は、また新たな問題を生むものだと知った。ま、それはそれとして、エレン・ページがとてもよかった。あと、ブライアン役がシリーズが変わると交代するのだけど、初代ブライアン(ホール・グロス)が復活したのもうれしかった。みんな年取ってて、中年になってたけど、私もそうだし!サンフランシスコをよく知っている人には「おいおい」なシーンも多いが、お話は実に新しい。私は、初っ端のメアリーアンが空港からHWY280でダウンタウンに向かうシーンでもう泣いた。ウーバーに乗ってマーケット通りを走っているとき、メアリーアンが「Safeway! 懐かしい! 車を止めて!」と車を降りるところで、心臓を打ち抜かれた。別に、いいことずくめのサンフランシスコ時代じゃなかったのに、なんでだろ~今回のシリーズで「完結」したのだから、もうこれ以上ドラマ化しないでほしい。時代を超えて語りかけるものがある話だから、見る人の心の中に永遠に生き続けるように、そっとしておいてほしい。最近何でもかんでも延々にシリーズ続けるから、嫌だ!!!私の周辺で「Tales of the City」について熱く語れるのは家人しかいない。

New York City -2-

Lower East ニューヨークで歩き回るのは想定内だったけど、足が不安。ちょうどリハビリが終わって、「何の不安もなく走ったり、飛んだり跳ねたりできるようになるまで、あなたの年齢だと1年はかかるわよ」と言われたのだった。そんなわけで、美術館は小さめ狙い。ホイットニー美術館では「ビエンナーレ」がやっていた。友達と二人で「これが好きー、あれ面白いー、これ嫌いー」と感想を言い散らかしながら見るのが楽しかった。美術館を出てハイラインを歩いていると、そこここにアートがあって、美術館の延長みたいだったのも楽しかった。次の日は一人でフリック美術館。25年ぐらい前、「超金持ちの家に招待されて、そこの家の美術品を見せてもらってるみたいなとこだよ」と人に教えてもらい、連れて行ってもらったきりだった。ミニチュアはないけど、ミニチュア好きに響きそうなものがたくさんある。25年前はそんなものに関心がなかったけど、自分の存在がもっとちっぽけだった。実は近頃、ミニチュア時計に興味があって、古い時計がとても気になっていた。とてつもなく大きな家に住んだとしたら、絶対柱時計が欲しい、と思うぐらいに。古い時計は時間を大切にしてるような感じがして、好き。そしたらなんと、フリック美術館には時計がいくつも展示されていて、全部ステキだった。ぐるぐる回って、また時計だけをもう一度見て回った。観光客が集まるところばかり見てるのも飽きてきて、バスでセカンドアベニューを南下し、ロウアーイーストに行ってみた。まったく雰囲気が違う。もうちょっと探検したいところだった。ニューヨークで食べたものおいしそうなレストランに入って、ステーキを注文しようと思ったら、12oz。一人では絶対に食べきれない量だったので、「半分の 6oz って選択肢はないの?」と訊いてみるも、「ないです」とあっさり断られた。なのに、出てきたステーキは 6oz の2段重ね! でも、よく考えたら、あれを友達と半分こして食べればよかったのかな...... お味は最高。付け合せのフライドポテトも、バーガーキング並の形と味でこちらも最高(私は、太くカットされたフライドポテトは嫌い)。友達にも手伝ってもらったけど、食べきれなかった。

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New York City -1-

The Vessel 先週、ニューヨークに行ってきた。当初の目的はミュージカルの『ハミルトン』を見ることと、友達と落ち合って一緒に遊ぶことだった。が、ニューヨークの空港全部が嵐のせいで全便欠航になり、私の飛行機はニューアーク空港上空を45分ほど旋回し、結局トロントに引き返した。アメリカ本土にはタッチダウンしていないけど、カナダは出国しているから関税申告書を書いて、入国審査をしてからカナダ再入国。既にエアカナダからメールが届いていて、次のフライトが用意されていたけど、翌日の夕方にしかニューヨークには着かない。『ハミルトン』はあきらめるしかないけど、友達と遊ぶ時間を削られてしまうのはダメだ! オタワで一泊し、オタワから早朝ニューヨークに着くフライトにしよう!エアカナダのエリートメンバーでもないし、変更不可能のチケットを持っていたから、後回しされたのかも。フライト変更も、オタワのホテル予約も、スマホでポチポチやれたので非常に便利だったけど、不測の事態が苦手な人たちに途中頼られた。どうなることか先が見えない点において私たちは同じなのだけど、不安に駆られる度合いが全然違うらしく、他人からの後押しが必要みたい。翌日はニューヨークは快晴。「午前10時にホテルで待ち合わせ!」の約束は果たせた。『ハミルトン』のチケット代は返金されないので、実に悔しいけど、ロングランなのでいつかどこかで見る日が来ると思う。サウンドトラックを聴いて舞台を想像する日がまたしばらく続くだけ。まずホイットニー美術館に行って(久しぶりに行ったけど、ちょうどいい広さで楽しかった!)、再開発されたハイラインを歩き、The Vessel に到達。シカゴのビーンみたいに人がたわむれることができるモニュメントなのだけど、上に登れるようになっている(無料だけど、QRコードを読み取って、登る時間が指定される)。すぐには登れなかったので、登らなかった。ま、私は完全には健脚ではないので、見上げるだけで十分だったけど。しかしニューヨークは蒸し暑かった。途中食べたかき氷がおいしかった。

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ブログ引っ越ししました

いろいろと悩んだ挙げ句、ここに引っ越しました。過去の記事もすんなりと移動させることができたので(全部じゃないけど)。結局このブログは雑記帳にすぎず、売文も視野に入れた場所だとしっくりこない。無料サイトは広告を消すのにお金を払わないといけないし。日記なんだったら日記帳買えばいいのに、ってことだけど、なんとなく読者がいてくれたほうがちゃんと書くし、楽しいし。日記帳だと人に見られたくないことばっかり書きそう...... それも性に合わない。ビデオブログじゃないのにURLがそういうサイトのように見えるのは、これが無料で取得できるURLだったから。世の中、洒落たテンプレートばっかりで、ヤプログ時代のバカ丸出しなデザインは自分で作らない限りどこにもなかった。じゃあ、もう何にもないシンプルなのでいいや。てなわけで、気が向いたらコメント残してやってください。

永遠に続くものはない(2)

このブログの引っ越しで、永遠に続くものはない、と思っていた矢先 、大好きだった毛糸屋がのれんを完全に下ろすことになった。トロントに引っ越したての頃、暇をもてあまして編み物ばかりしていた。そのとき常連になった。 2年ぐらい前に店舗の家賃が高騰してオンラインショップになり、そして今回の店じまい。オーナーは65才になり人生の優先事項が変わり、「小売業から卒業」してもいいと思えるようになったとソーシャルメディアで告知があった。それを読んでいて目頭が熱くなった。まあ、こういう日が来そうな気はしていたけど。 「手芸好きのイメージ」を売る店ではなく、トロントでは数少ない、本当に編み物が好きな人に毛糸を売る店だった。 私はあの店のためにサンプルを編み、毛糸をいっぱい買い、オーナーや店員と仲良くなって、本を勧め合い、近くを通ったときは用もないのに立ち寄っていた。TJWK のチャリティを始めたときも、毛糸をたくさん寄付してもらった。ロンドンにいたときもアメリコの毛糸を持っていって編んでいた。 寂しい。チェーン店はなくならないけど、個人商店はいつかは消える。 アメリコの毛糸で編んだセーターを断捨離しようと思っていたけど、やっぱりキープ。心がときめくから。

ブロッグお引越し

ヤプログのサービス終了ということで、引越し先を考えている。 忘れていたけど、グーグルの Blogger や、Note や FC2 などにもアカウントがあって、下書きがいっぱい見つかった。この中のどれかに引っ越しするか、有料だけど仕事で使っている WordPress に引っ越しするか...... とても悩ましい。 このブログはテンプレートの模様(だけ)が気に入っていた。おそらくこれを使っている人はあまりいなくて、カフェで私のブログをパソコンで開いている見知らぬ人も見かけたこともある。おしゃれですっきりしたテンプレートとか嫌いじゃないけど、自分らしくない。でも好きなテンプレートを探すのも面倒くさい。このテンプレートのデザインをした人、譲ってくれないかな。 このブログは 2005 年の夏、姪っ子に勧められて始めた。元々書くのが好きだったのもあるけど、私が言いたいことは対面で話すと嫌われかねないことも多かったので、ブログの楽しさを知った。 昔のエントリは本当に書きなぐっていたので間違いだらけなので、葬りたい。ここ数年分はどこかに引っ越しさせてそこでも読めるようにしたい。でもそういう作業が面倒くさい。 永遠に続くものはない、と思い知らされた。

Once Upon a Time in Hollywood

すごく期待していたわけでもなかった。でも「あの事件」をよく知っていないと、映画の前半からドキドキはしないし、最後は笑えないよね、きっと。 結果的に独りで見たけど、最後は叫ぶわ、笑うわで楽しんだ。一緒のノリの人と「面白かったー!」と言いたかった気もするし、「つまらない」と言われて気分が冷めなくてよかった気もする。 こういう役柄のブラピは好き。

未知との遭遇

『未知との遭遇』を久しぶりに見た。 今のCG満載の映画は最初から最後までビュンビュン宇宙船が飛び交って、動体視力が落ちてきている私にはキツイ。でも『未知との遭遇』の特撮はゆったりスピード。UFO はたまにしか現れないし、ゆっくり動く。だから楽しめた。 リチャード・ドレイファスが演じてるあの男…… あれはミッドライフ・クライシスだったんだね! 今気づいた。現実逃避型のクライシスのようだけど、だからこそあのクレイジーさに信憑性を感じた。 話は変わって……  ここ数日トロントでも珍しく暑く、リハビリ帰りに台湾アイスクリームを店内で食べていた。そろそろお勘定を、と思ったら財布がない。店の人に事情を話したら、「WePayは?ApplePayは?」とありとあらゆるスマホ決済方法を提案されたが、どれもない。「e-transferは?」と聞いてみたがそれには「ウ~ン」とうなるだけ。店の人は親切で、私が名前、電話番号、メールを紙に書いて残せば、またこの次に来たときに払ってくれればいい、と言ってくれた。 でも、12ドル(パフェのように飾り立ててあるアイスクリームなので高い!)を早く払ってすっきりさせたい。何かいい方法はないかと思案していたら、思いついた。家人にメッセージを送ったら店まで来てくれた(職場が近い)。 こういうときに備えて、どれかのサービスを使うことにする。