PUSSYHAT PROJECT のことについて聞かれたので、説明しとこう。 アメリカ大統領選中に隠し撮りされたビデオ(2005年の出来事)が流出、そのビデオの中でトランプは女性に対して侮蔑的な発言をしていた。その発言の中に grab women by the pussy というのがあって、pussy = 女性器 = ネコというつながりで、pussycat をもじって pussyhat にして、アメリカのニッターがプロジェクトを呼びかけたというわけ。最初はニッターの世界の中だけのことで、私も一体何のことかよくわかってなかった。 ちなみに、この暴露ビデオでトランプと一緒になって女性に対し侮蔑的なことを言っていたビリー・ブッシュという芸能番組のレポーターは、このスキャンダルで解雇されている。 このビデオ流出時には、これをネタにアメリカのコメディアンが散々国民を笑わせていた。が、ニッターが帽子を編んでプロテストした頃には、「このピンクの帽子って何?」みたいなズレはあったかなと… 特に編み物をしない人には。個人的には、ピンクの帽子を被ることで「怒りを感じてる」と意思表示するのに「激おこ!」ぐらいな感じになるから、敷居が低くて楽しくて平和なところがよかったと思う。家族で参加してる人も多かったし。私はマーチには参加してないんだけどね。 英語の面白い言葉遊びといえば、反トランプ派の人が「LOVE TRUMPS HATE」と書かれたプラカードをよく持っている。この場合の trump は動詞で、「愛は憎しみに打ち勝つ」という意味。これも言葉遊びなんだけど、アメリカ人でも英文法を間違える人はたくさんいて、「LOVE TRUMP’S HATE」というプラカードを持っている人を見た。痛恨のアポストロフィS!これじゃ、トランプサポーターになっちゃう。
Author: Kyoko Nitta
PUSSYHAT PROJECT
やっとできた。 できたけどウィメンズマーチは終わっている。何かの時に被るかもしれない。被らないかもしれない。2017年の思い出と化すかもしれない。これのためにアイスランドで買ってきたロピを使ってしまった。このロピのピンクは染めムラがあってすごくかわいい。 時間がかかったのはぴったんこのゲージにたどり着くまで試行錯誤したせい。だから、ロピで編む人のために書いておこう。5mmの針で、ロピだから太いし82目作って輪に編んで、最後は、目を41目ずつに前後に分けて閉じはぎした。 アメリカではこれを作るための糸を売らない!という店もあったらしい。プロテストにプロテスト!ってことですね。心穏やかに暮らしたいです。 パターンは超簡単だけど、被ると確かにネコっぽくなる。ハロウィーン用に黒とオレンジで編もうかな。
Jackie
この間見た「Neruda」と同じ監督が作った映画。「伝記は危険だ」と発言して「アンチ伝記派」と呼ばれている。その気持ちはわかるね。残された人が家族だろうと身近にいた親しい人だろうと国民だろうと、「後世」に残すことを目的に描かれているから。だから真実だとか事実と言われていることってよくわからないな、と身構えて見ていたけど、とても興味深い映画だった! http://www.imdb.com/title/tt1619029/ 今取り沙汰されている「フェイクニュース」で、時々見ていた「RT」という国際ニュースサイトが実はロシア政府が後押ししているサイトで、欧米諸国から批判されていることを知った。普通のニュース(普通って何?と思ってしまうが)と、ロシア政府の視点で見たニュース(これはいいけど)にフェイクニュースを織り込ませてあるらしく問題視されているらしい。「RT」とはロシアトゥデイの略なのだけど。そんなことを知らずに覗いていた。 今トランプが就任後1週間しか経っていないのに大統領令を乱発している。オバマのときも大統領令はもちろん使っている。議会が共和党主導の議会だったから大統領令なしでは何もできない状態だったからだけど、「大統領令を使いすぎ」と批判されていた。で、過去の大統領と比べてどれぐらい発令したんだろうとウィキペディアをチェックしたら、ビル・クリントンより、ブッシュ息子より少なかった。トランプの場合、共和党から出馬した大統領なのに共和党勢力がとても強い議会を通さずに大統領令を乱発してるっていうのは、やっぱり「専制」でいいと思っているからなんだろうな。今更ながら、アメリカ大統領には強権が与えられているということを実感した。「民主主義」を掲げて他国に攻め入っていたわりに、そんなにわりと簡単に揺らぐ民主主義システムをアメリカは持っていたのかなと、不思議に思っているところ。 先週の金曜日からアメリカの移民政策に大変化が起きて、大変な騒ぎになり、暗い気持ちになっているけど、リバタリアンサイトを覗いてみたら、「オルタナ右翼の目指す社会を見たければ日本へ行けばいい」と書いてあった。民族的に同質的な社会であるということ以外に、移民や難民に厳しい政策をとっていることや、女性が社会進出しきれていないことも理由にあがっていた。アメリカのオルタナ右翼の主要人物の一人は日本で育ち、日本のことをよく知っているというのもあるかもしれない。 国際結婚アルアルなたとえ話でいうと、日本人妻がアメリカ人(白人)夫に「アメリカのごはんは本当にまずくて食べられないわ! それに比べて日本はおいしいものがたくさん!」というセリフを連発しすぎると夫婦喧嘩になり、「そんなに日本がいいなら日本に帰れば?」と反撃されてさらに喧嘩が泥沼化していくのに似ている。
20th Century Women
映画館でこれの予告編を見ていたら、好きなトーキング・ヘッズの曲が流れていたので、見た。 スローで眠たくなる出だしではある。途中で映画館退出しちゃった人は四人ほど。残った人たちは元々こういう映画が大好きで、狙ってきている人たち。意外にも若い子たちが多かった。ストーリーのそこここでクスクスキャハキャハ笑っていた。 http://www.imdb.com/title/tt4385888/ 母親が世界大恐慌の頃に生まれてて、子供が60年代後半だったか70年代前半に生まれてて、というジェネレーションギャップの話。 時代設定は1979年。カーター大統領がテレビを通して、国民に向かって、物質偏重文化をたしなめる演説をしているのを家族で見ていると、家族の反応がバラバラ。「美しい!」という母、「なんじゃそれ」という若者。大統領の演説も虚しく80年代に突入していき、あの時代がやってくる。まさに、私の世代! 子役の男の子と、エレン・ファニングがよかった。
Women’s March
ま、間に合わなかった! ウィメンズマーチに向けて編んでたけど、作っている最中にこのデモをディスする記事などを読んでしまい、やる気が削がれてしまった。ネットやテレビで見たら、ピンクの帽子かぶってる人がいっぱい!! かわいい! ピンクのニット帽を完成できなかった人が、編み針くっつけたまま歩いているのも見た! こんな時代に生きてるなんて、何かの巡り合わせだから、私も行けばよかった! PUSSYHATを編んでいた 友達がシェアしてたサンフランシスコのウィメンズマーチには、私が昔24thストリートへ足繁く通ったニットグループのまとめ役の人が写真に写ってたし、私もサンフランシスコに行けばよかった。 ウィメンズマーチは内部の人の間でもディスった意見があって、「かわいらしさ」がダメとかフェミニストを否定するようなピンクがダメとか、ちゃらついた態度でデモに参加するなとか、そういう意見が多くていやだったけど、結局ピンクずくめでうれしかった! かわいくして楽しみながら平和にデモしたらあかんのかい!? いっぱい理屈をつけないとデモに参加したらだめなの? ピンクの万能感を馬鹿にしてるな!?「女」でひとくくりにできるわけねーだろうーが!「複雑な心象を言語化するのを放棄し」可愛らしさを象徴する色なんだぞ!(by ナンシー関) 何事も白黒つけたがる人にはわからないことでしょう。ちなみに私はピンクが大好きでもないし、嫌いでもないです。 トランプ自身を筆頭に、選挙のときに意志表示すべきだった、と怒っている人もいた。でも、たとえトランプに一票を投じた人だって、トランプの女性やマイノリティに対する侮蔑的なコメントはやめてほしいと思っている人もいるだろうし、有権者なのに票を投じなくて後悔してる人もいるだろうし、永住権しかなくて投票できなかった人もいるし、参加する側にだっていろんな事情があると思う。とりあえず、何らかの理由で不満をみんなで平和に意志表明してた人たちがとてもうらやましかった。 個人的には心に終止符を打つつもりで、就任式を見ました。就任式の受諾演説の始めまでは心穏やかに見ていましたが、途中からあまりの演説のひどさに愕然として、心を無にしておりました。 「複雑な心象を言語化するのを放棄」というのはトランプのスピーチの核でもあるよね。
世界の大富豪
世界の大富豪8人の総資産が36億人分の資産に相当する、というニュースを見ていた。ビル・ゲイツとかウォーレン・バフェットとかマーク・ザッカーバーグとかジェフ・ベゾスとか、やっぱりな、というアメリカ人の顔ぶれだった。ふと、選挙期間中にあれほど自分の金持ちぶりをアピールしていたトランプはどれぐらいの金持ちなんだろう、と気になった。そして、結局トランプは確定申告を公表することを拒んでいて、本当のところどれぐらいの金持ちなのかは憶測が飛んでいるだけだということを思い出した。フォーブスでは45億ドル、ブルーンバーグでは29億ドル、トランプの個人資産の予測も幅が広い。1位のビルゲイツが750億ドルだから、まさに1桁違う。それでも富豪だけど。 あと、マイケル・ブルーンバーグがこれほど金持ちだったことにも驚いた。こんなに金持ちなのに植毛をしないジェフ・ベゾスにも驚いた。余談だけど、私が元勤務していた会社の株価が去年年末に暴走ぎみに上昇していたので、どうしてなのかなと調べたら、アマゾンが関係していた。アマゾンはオンラインショップで収益を上げているのではなくて、クラウドでガンガンに儲けていて、そのクラウドコンピューティングに使われるチップが元勤務先のチップだということだった。ドローンで配達!とかそういうニュースばかりに目がいくのに、e コマースでは稼いでいない、ということを知り軽く目眩がした。 トランプが「自分は選挙に勝ったのだから、米国民は確定申告なんて気にしてない」と言っていたけど、候補者選びにあたり確定申告を気にした人が少なかったかどうかは別として、見たいと思っている人は多いと思うな。
エドウィン・マルハウス
かなり久しぶりにこういう奇妙なストーリーを読んだけど、こういうの好き。 ある子供の伝記を別の子供が書いたという設定。私が読んだのは最近だけど、小説自体は古いので、時代設定がトムとジェリーぐらいなかんじなのが気に入った。 情報収集とか、頭が良くなるためとか、そういう目的で読書する人には、苦痛でしかない小説(たぶん)。しかも分厚い。そして文庫なのに1500円… 岸本佐知子さんのエッセイ本から入ったけど、翻訳もとてもよかった。
返品
アメリカではいろんなものをたやすく返品できる。カナダもわりとそう。サンフランシスコに住んでいた時、近所の小さな食料品店で野菜とか果物を買っていたら、おばあさんがアボカドを返品しにきていた。家に持ち帰って包丁を入れてみたら虫食い中が劣化していたらしく、アボカドは真っ二つに切ってあった。青物を返品、というのは考えたこともなかったので私は軽くショックを受けたけど、おばあさんは真剣だった。レシートも持っていたし。 青物の返品がどれぐらい一般的なのか知りたくて、店の人の反応を見ていたら、アボカドの切り口をちゃんと見たものの、嫌そうな顔をしたので、そんなに一般的でないのか、面倒臭いのかどっちかだと思う。でも、おばあさんは返品に成功して交換してもらっていた。 多分私ならそれだけを返品しに行かないけど、確かにアボカド問題は存在する。たとえば、トマトが半分残っていて、それにアボカドを足してサラダにする、という献立をたてて買いに行ったのに、いざアボカドを切ってみると虫食い劣化してて、サラダが作れなかったとか。そういうのを見越して、2個買ってきたのに1個が虫食い果肉が黒くなっていて、もう1個がスジが入っていておいしくないとか。アボカドの見分け方が知りたい。 注)虫食いだと思っていたものは、ただの劣化で、虫食いではないことがわかった。
NERUDA
ガエル・ガルシア・ベルナルが出ているので見た。 そもそもパブロ・ネルーダのことをあまり知らなかったので、この映画のミソが途中からわかった。とりあえず、ガエルが相変わらずの変な役を演じていることに満足。 ネルーダ役の人を「どこかで見たことがある!どこだろう…」と映画を見ている間中考え込んでいたら、「Narcos」だった。詩人=貧乏人ではない世界の話。そして壮大な本当っぽい嘘の話。 http://www.imdb.com/title/tt4698584/
離任演説とヤノプロスについてつらつらと
昨日オバマ大統領の離任演説があって、こういう演説はしばらくないんだなと思いつつ聞いていた。最後に妻と子供達にねぎらいの言葉を述べたときに、「サーシャがいない!」とびっくりしていたら、みんなそう思っていたみたいで、ネット上でハッシュタグができていた。夫が大統領になると家族全員がそれに巻き込まれてしまうので、彼女たちの涙にものすごく同情してしまったよ。 2期勤めた大統領がホワイトハウスを去る時にいつも思うけど(ビル・クリントンとブッシュ息子のときもそう)、大統領の政党じゃないほうの人々は「うわぁ、やっと政権が交代する」とものすごい安堵と希望を感じるんだと思うな。 今回の大統領選後、ずっとフェイク・ニュースが取り沙汰されてるけど、ああいう情報操作なんていつでもどこでもあるよね。会社の中の悪口とかうわさなんて、ものすごく身近なフェイク・ニュースの例じゃない? フェイクだろうとなかろうと、素直な人たちがそれを軽い気持ちで「XXXなんだってさー!」と伝えたりリツイートすることで広がっていくので、そういうのを「メディアリテラシーがない」と非難する人を見るとイライラする。だってソーシャルメディアって無料で何でも好き勝手に言えて何でもリツイートできるようにするためのものだもん。21世紀の井戸端会議なんだから。 最近メディアを賑わしているマイロ・ヤノプロスとかまさにその井戸端会議の寵児よね。彼が最強そうに聞こえる(見えるのは)、ガンガンに攻撃的にしゃべり倒すことができるし、見た目もよいから。見た目が美しくなければ、そんなにもてはやされなかったと思う。議論上窮地に立たされても自分の意見を丁寧に説明し直すことはせずに攻め、「自分はゲイだから何を言っても許される」と決めゼリフを言う。相手はだいたい自らの意見をうまく伝えようと「説明」に回るので、ぐちゃぐちゃと説明しはじめたところで「つまらない!」と遮ったりもする。 ちょっと前なら、ザ・シンプソンズとかサウスパーク系のアニメに出てくるような「勘違い」キャラクターなんだけど、でもアニメの中だとそういうキャラクターに言いにくいことを言わさせる。ヤノプロスにも(私は嫌いだけど)そういうところがあって、大きな声じゃ言えないけど「そうなんだよね」と思わせる意見も持っている。 昔、近所に「共産党なんて大嫌い」と大きな声で言うおばさんが住んでいて、共産的なものをすべて忌み嫌い「自分の分は自分で稼ぐ!」と唾を吐くように言っていた。盲目的に嫌っているかんじがしてものすごく苦手な人だったけど、「自分の分は自分で稼ぐ!」の部分は共感できた。それと逆で、考え方としては同意できるところが多いのに、ものすごく高みからものを言う(書く)人たちを見て、「(たかが自分の意見を言うぐらいで)何でそんなにえらっそうな態度で言うのだろう」と、その人の意見をすべて否定したくなることもある。 ヤノプロスの本を出版すると決めた出版社の本を1年間一切レビューしないとシカゴの書評グループが宣言していたけど、それはそれでいいとして、ヤノプロスの本はしっかり書評&批判して、世の中を面白がらせてほしいな。そしたら、ヤノプロスの本は買わないけど、批判本を買うと思う。
