ウィリアム・デフォーが「こんなおじさんいるいる!」と思わせる見目姿で、ちょっと好きになった。が、映画そのものはあんまり笑えない。苦笑いぐらい。フロリダの明るい太陽と、暖かさと、ディスニーの近くってことでピンク色の眼鏡で見てしまう。こういう家族は北国にもいるけど、やっぱり漂わせている悲壮感が違う。フロリダならTシャツと短パンで生きていけるし。ああいう環境の中で、いくら親切な人がいても、世間はどの辺で一線を引くか、がアメリカっぽかった。 映画館はいっぱいだった。エンディングが意外だったので、客がざわついていた。ざわついて、エンドロールが流れ出すと、ささーっと立って帰る人続出。エンディングについて話し合いたかったのかも。 オスカー受賞式の日まで、あと1本か2本みたい。。。でもあんまり出掛けられない。。。 http://www.imdb.com/title/tt5649144/
Author: Kyoko Nitta
引き裂きラグ(特大)
新しい椅子の下に敷くものがいるから、いらなくなった布を引き裂いてラグを編んだ。椅子の土台部分の寸法がイマイチわからず、配達時間ギリギリまで編んでいたら、なんと、不都合が生じ、椅子は配達されなかった。 配達が先延ばしになったので、編み続けた。単純作業はスケールが大きくなると体力勝負になる。1周編むのにかなりの体力を消耗する。ぶっちゃけ、もうこれ以上、引き裂いてもかまわない布はない。よくここまで、布を溜め込んだものだと自分に感心。一瞬、断捨離に成功したような気がしたけれど、実際には何も捨ててはいない。 椅子を買ったとき、家具屋と交渉して送料をタダにしてもらった。100ドルぐらい。配達人はアフリカのどこかから移民してきた黒人のお兄さん3人で(3人の間で聞いたことのない外国語を話していた)、椅子を組み立ててくれたし、ダンボールも持って帰ってくれた。なんとなく、送料をまけてもらい得した気分になっていた自分が恥ずかしくなって、ポチ袋3つ用意してお茶代を入れて渡すことに…… こういうときに小銭がないと困る。1人5ドル渡そうと思ったら、5ドル札が2枚しかなく、小銭も4ドル分しかなく、一番力仕事をしていなさそうだったお兄さんに4ドルを渡す羽目に…… なぜかポチ袋は50枚ぐらい家にあるけど。 届いたのはマッサージチェア。「よかったら、ちょっとマッサージしていけば?」と冗談で声を掛けてみたが、配達に忙しいから、と普通に大人の対応をされた。だからラグを編んだ疲れを癒やすため、さっそくマッサージした。
Three Billboards Outside Ebbing, Missouri
女盛りを過ぎた熟年女性の怒りが炸裂しているのが、すごく面白かった。子どもを失った事実も含め、「おばちゃん」という存在がいかになめられているかを証明してて、それがこんな映画に昇華するんだというのが新鮮だった。 救いようもなく終わるのかと思ったら、サム・ロックウェルが黒焦げになって生まれ変わったので、ほっとした。 ミズーリの田舎に絶対行きたくない。まだ行ったことないけど。 http://www.imdb.com/title/tt5027774/ この映画の話をしていて、整形しないでそのまま自然に年を取っていった女優と、いじりすぎた女優を挙げていたら、メグ・ライアンを挙げる人が多かった。美人というより「かわいい」部類の人だったので、いじらなければもっと一線で頑張れたのに、という残念度が高そうだった。
大奥15巻
ああ、面白かった。 とうの昔からだけど、もうただの男女逆転物語ではなくなっているから奥深いぞよ。性差の云々は表面的な問題に思えるし、「子どもを生む体かどうか」というそこ一点に集結するようにも思える。 幕末だから、西郷どんが登場してくるのもタイミングがいい。将軍という君主が非常に孤独であるってとこも、かの国を思わせる。 何より、国内外に大きな火種を抱えているのに忖度しまくりで、我慢に我慢を重ねて、最後にプチッと切れて All or Nothing になるのは日本的。ザ・国民性。 ただただ面白かった。
ツバキ文具店
なんか文房具の説明が多すぎて、ついでに鎌倉の説明も多すぎて、本筋がどうでもよくなり、途中であと10ページぐらいで読むのをやめてしまった。結末が見えていたから。 むしろ文房具の解説部分が面白かった。表紙が可愛い。 別に壮絶な話が読みたいわけじゃないけど、もうちょっとだけ狂気があってもよかったな。 そういえば、『Destiny 鎌倉ものがたり』って映画を見たけど、この映画にも同じものを感じたね。鎌倉に霊的なものがあるってことがどっちにも共通してるけど、あんまりピンと来なかった。
I, Tonya & Call Me By Your Name
I, Tonya 去年の『Jackie』もそうだったけど、「ひょっとしたらこうだったかもね」と過去を振り返るモキュメンタリーはとても面白い。もうアメリカ女子フィギュア界のあの大事件をリアルに覚えている人にとっては、おもしろすぎ。しかも、私はいわゆる「ホワイト・トラッシュ」な町にひと夏ホームステイしたことがあり(しかも87年か88年だったと思う。)、「うわ!(ああいうところに)行ったことある、(ああいう人たちを)見たことある、(ああいう感じの人と)しゃべったことある!」の連続だった。 http://www.imdb.com/title/tt5580036/ Call me by your name 思っていた以上によかった。すごくよかった。そして、桃を見る目が変わった。もも… モモ… 桃!! 「君の名前で僕のこと呼んで」などという睦言は同性同士じゃないと笑っちゃうね。 あの主人公の相手役はチラチラとよく出てくるね。『ソーシャルネットワーク』の金持ちの双子役、エドガー・フーバーの恋人役とか。ちょっとアナザー・カントリー的(お金持ちの子が行く全寮制の私立男子校が似合うって意味とゲイっぽいって意味)で、乱れた前髪がよく似合う、好みのタイプ。 北イタリアのああいう町に住んでみたい、何もせず、ぶらぶらひと夏過ごしたい。 http://www.imdb.com/title/tt5726616/
Phantom Thread
宇宙人だとか、エイリアンだとか、宇宙戦争だとか、アンドロイドだとか、もうそういうのはお腹いっぱい! と思っていた私にはうれしい映画。やっぱり人間ほどわからないものはない! ハイファッションの世界といえばアナ・ウィンター。売り切れ続出で書店から一瞬姿を消したトランプの話題本「Fire and Fury」にもチラっと出てくる。駐UKアメリカ大使になりたいらしい。オバマ政権のときになれなかったから、トランプ政権発足が決まるとすぐにトランプタワーに詣でたらしい。この映画はアナ・ウィンターに全然関係ないけどね。 高級そうな布に囲まれて、すごく大きな裁断テーブルがあって、手芸好きにはたまらないシーンもいっぱいだった。 ダニエル・デイ・ルイスは好きな俳優の1人。引退表明してるからこれが最後になるのかな。残念。
居酒屋の戦後史
とても勉強になった。お酒→東京の都市開発の歴史→お米の配給→酒税→経済的格差と、酒飲みの視点でよくここまで語れるな、というぐらいに内容が濃い。後で著者プロフィールを見たら、居酒屋研究は趣味で、経済格差を研究している学者だった。。。ま、確かに、何の酒を飲むか、どう飲むか、には階級が反映されている。トロントでも貧困区域に近いパブにいくと、「泡はいれないでね、泡は!」としつこく注文するおじさんはいる。ビール満タンにしてほしいから。私も、日本のビール専門店に行くと、「泡が多いな、もうちょっと減らしてほしい」と思ってしまう。ビールの泡は実はそんな好きじゃない。 「とりあえずビールね」と日本人はビールから始める理由を知ってしまった。一言ではまとめられない。この本一冊かけて説明されているといっても過言じゃないからね。 本に付いている帯のキャッチフレーズには「趣味が悪い!」と怒りがこみ上げることが多いけど、この本の帯には微笑んでしまった。
管見妄語などなど
何を今更、な3冊を読んだ。 『チョッちゃんが行くわよ』 発売当時千円だったものを、二千円ぐらい出して買ってしまった。それしか選択肢がなかったから。ドラマ化されているし、内容は知っているのだけれど、あらためて読んでみると、精神的余裕があることの強さをひしひし感じる。 管見妄語で『始末に困る人』『グローバル化の憂鬱』 今から数年前の時事ネタコラムを読んで虚しくもあったが、藤原正彦の暴言には同意するところも多いし、笑った。 大きな声では言えないけど、今世の中を席巻しているMeToo系の魔女狩り的な部分がイヤで、カトリーヌ・ドヌーヴが声明を出したとき、「実はあたしも同じように感じてた」と思ったところ、彼女が即刻非難を浴びていて、共感を心の中に仕舞い込んだとこだった。 アジズ・アンサリが一晩デートした女が、デートの詳細を赤裸々に暴露した記事を匿名で出していたので、読んでしまった。女は30前後ではないかと思われる。あの夜、女は彼と肉体的関係を持つのがイヤだった、私はノーと意思表明したつもりだったのに、という内容で、「じゃあ、あんたは男女の駆け引きを何歳になったら学び始めたいの?」と素朴な疑問が湧くのを禁じ得なかった。強引さは媚薬だし、人の道徳観など、砂の上に引いた線でしかない。 一応書いとくけど、たとえば、今アメリカの女子体操界で明らかにされつつある大事件は、あのアスリートたちにとって本当に痛ましいことだと思う。
The Greatest Showman
やっと見た! ヒュー・ジャックマンもいいですが、私はザック・エフロンがよかったです。ザックがロープにぶら下がってラブソング歌ってるシーンが一番気に入った! 観客は圧倒的に若い子(私より)ばかりで、もしかして「ハイスクール・ミュージカル」世代? と思ってしまいました。公開されてからずいぶん時間が経っているせいか、勝手に一緒に歌っている人もいました。 話の筋は、まあバカバカしいですが、そもそもミュージカルは、普通に言ったりしたりしたら、こっ恥ずかしいことを大声で歌い飛ばすものなのです。一応、実在の興行師の話ですが。。。何事もポジティブに考えると、こういう話に仕上がるんだな、と闇を好みがちな私は思いましたです。キャストの中では唯一影のあるミシェル・ウィリアムズでさえも、闇の嵐を呼ぶことは叶いませんでした。少女漫画風のありえなさが満載。最後のほうで、ザックもヒューも燃え盛る火の中に飛び込んでいくところなど、最高でした。ゲラゲラ笑いました。 http://www.imdb.com/title/tt1485796/
