これを見ていきなり、尊敬するアメリカ人女性ナンバーワンになってしまった。で、もう1回見てしまった。映画の初っ端にRBGが言っていることが一番共感できる(予告編でも言っているけど)。 これも、ドキュメンタリーでオスカーにノミネートされてるんだな。やっぱりババアが熱いね。 またもう1回見ようっと。で、付け襟作ろうっと。
Author: Kyoko Nitta
The Favourite & Cold War
The Favourite 白黒映画の仲間がなかなか面白い、と言っていたので観た。いかにもアメリカ人のエマ・ストーンがアン女王の女官役なので、どんなもんなのかな、と思っていたけど、結果的に、私には彼女以外の役者が話す英語が聞き取りにくく、助かった。 ちょっと変わった感じの仕立てで、異常に支配欲が強い、サイコパスの話だった。 Cold War 時差ボケ止まぬ状態で観に行ったら、ぐっすりと眠ってしまい、起きたら最後のシーンだった。恋人とポーランドを脱出したはずだったのに、またポーランドに戻ってきていた。途中フランスに行っていたらしい。 しっかり起きていた人でも、わかりにくい話だったらしく、いろんな人たちが「どういうこと?」とあらすじを確認し合っていた。
インスタカート・デビュー
久しぶりに「今どき」な技術を商売にしているスタートアップ企業の手伝いをした。こういう仕事は人伝に来るから断れない。スタートアップといっても、シリーズBはクリアしている優秀なところなので、興味も湧く。 シリコンバレーの企業と仕事するたびに思うけど、出版翻訳とは比べ物にならないほどギャラがいい。出版翻訳で1カ月かけて稼ぐものが3日で稼げる(とは言っても、基本、内容に興味をもっていなければ、どっちの翻訳も苦痛&苦行でしかない。今のところ、私のところにはいつも面白そうなものが転がり込んでくるので、ありがたいが)。 しかも、スタートアップの案件は「つながること」を称賛しているのに、出版翻訳の案件で、同時進行で読んでいる本は「つながることの危険性」に警鐘を鳴らしている。世間に注意を喚起するほうには、お金があんまり回っていないのは、実に興味深い。 だから両方やるしかない。両方やっているほうが面白いし(私には)。 で、忙しくって食料品を買いに行く時間が惜しかったので、インスタカートデビューしてしまった。提携スーパーの商品をネットでポチポチ選び、それを「ショッパー」さん(ウーバーの運転手みたいな人)が、私に代わって買い物をし、届けてくれる。買い物リストを確定すると、確認メールと、ショッパーさんの顔写真が送られてくる。アブドラナントカさんという中東系のおじさんだった。 大変な大雪の日でトロントの交通網が麻痺しそうな日だったので、配達時間は「5時間以内」に指定。 おじさんは中華系のスーパーから、時々写メを取って、「豆苗はこれしかないけどいい?」とか「大根餅は冷凍しかないけどいい?」とこまめに連絡をくれる。「じゃあ、いらない」と言えば、インスタカートが返金してくれる。でぐのぼうな家族に頼むより優秀。商品は概ね割高なので、毎日使うわけにはいかないけど、大きくてかさばるものは、ちょっと余分を払ってでも、おじさんに持ってきてもらったほうが楽。 気に入った。だいたいテクノロジーは「家事のお手伝い」分野においては、遅れすぎている。今は、自分が忙しすぎるときの「お手伝いさん」代わりに、こういうシェアエコノミー系のサービスを使っているけど、老後にも役立ちそう。
歌舞伎三昧(?)
日本に行っていました。 海老蔵の新春歌舞伎を見たかったのですが、全日全席完売だったので、国立劇場と歌舞伎座で尾上菊五郎と松本幸四郎を見てきました。1月後半の昼席のせいか空席が目立ち、「みんな海老蔵に行ってるんだなぁ…」と思わずにはいられませんでした。 人それぞれに好みがあるのだと思いますが、歌舞伎一年生の私には「枯れた芸」というのがまだわからず、荒々しい派手な海老蔵の歌舞伎が一番好きで、うたた寝すらしたことがありません。実は、他では(演目によっては)うたた寝してしまうのですよ。 私はいろいろ下調べしてから何かを見るタイプではなく、少し見てからそれが好きなら知識をつける派。役者の声と顔と、ものすごい舞台装置を満喫したいので、解説テープも聞かないのですが、これから知識を仕込んでいくうちに、今感じていることとは別のことを言い出すかもしれません。 今回、尾上菊五郎の投げた手拭いをキャッチするという幸運に恵まれました。若手役者は手首のスナップを効かせ、遠くまで手拭いを投げるのですが(お客さんに名前と顔をよく知ってもらいたいから遠くまで投げるのか?)、さすが菊五郎となると、もはや、そのような努力をする必要がありません。私は9列目のど真ん中という、花道もよーく見える最高の席に座っていましたが、菊五郎はそこまでも手拭いを投げてはくれません。そこで、「ここまで投げて!」とそろっと両手を挙げてみたら、偶然かもしれませんが、本当に投げてくれたのです。 が! 微妙に届かず、「嗚呼…」と残念がっていたら、前の方の席の人が取り損ねたどころか、逆にバシっと弾いてしまい、まさかの中継パスで私の膝に手拭いが落ちてきたのでした。 わーい! 菊之助や寺島しのぶの子供たちも出ていて、DA PUMPのU.S.A.の歌舞伎バージョンも見せてくれて、楽しませてもらいましたが、やっぱり勸玄君が見たかった…と思ってしまったのでした。何なのでしょうね、大事なお父さん(團十郎)や真央ちゃんを亡くした海老蔵と勸玄君を見守りたいんですかね? タッキーが引退したので、滝沢歌舞伎を一度見たいと思っていたのに見られなくなる、と思い込んでいたのですが、どうやら、彼は出なくても滝沢歌舞伎は続くようですね。すごく見たいです。100年後ぐらいには高尚化されて、伝統芸能に上り詰めていてほしいものです。
TJWK8周年
2018年もまた24700円をトロントの TJWK からあしなが育英会へ、東日本大震災の孤児支援のために寄付いたしました。今年もまたご協力いただきまして、誠にありがとうございました。 2018年はこのような湯たんぽカバーを作ったのですが、好評だったのでこれからも少しずつ作っていきたいと思います。シリコンタイプの湯たんぽならどれでも入るサイズです。 トロントではイベントを開いて販売する機会はほとんどなく、作品が出来るとフェイスブックでお知らせする形をとっています。2019年もそういう形で活動していくと思います。長期的な支援を目標に続けてきて、もう8年も経ったのか、と驚いていますが、少しずつこの活動も収束していくのだなという気がします。ぼちぼちですが、2019年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
Beautiful Boy
ティモシー・シャラメの美少年ぶりと北カリフォルニアの美しさ(霧がないシーンばっかり)で随分美化されているけど、薬物中毒から這い上がれない息子の話(実話)。原作は10年ぐらい前にアメリカではベストセラーだった。 血がつながっていても限界はある。本人がどうにかならないといけないけど、なれないのだから仕方がない。そういう「弱い」家族を持っている人にしかわからない話なのだけど。 最近人から一条ゆかりの『砂の城』を借りて読んで、生きるというのは、自分が望んでも手に入らないものを抱えながら精神的なレジリエンスを育てることなのかな、と思っていたけど、漫画で読むと、簡単そうに思えてしまうな。
VICE
「VICE」だけで画像検索すると、それとちゃうで、という結果も含まれるが、私はこのタイトルが好きである。副大統領、副社長、など「副」とつくものの虎視眈々とした感じが、単語の短さで言い表されている感じがいい。 元アメリカ副大統領のディック・チェイニーのお話。クリスチャン・ベイルが激太りしてチェイニー役を演じているけど、キャスト全員「そっくりさん」のオンパレード。ワタシ的に一番をあげたいのはサム・ロックウェルのジョージ・W・ブッシュ。でもラムズフィールドもチェイニー家の人もそっくり。日本のものまね芸人もびっくりするくらい、よく特徴を掴んでいる。ま、特殊メイクとか衣装の選択のおかげもあるけど。コンドリーザ・ライスのキョドった感じとか笑ってしまった。 あらすじは、至ってハウス・オブ・カードちっくで、支配への欲望に突き動かされた人間ってすごいな、と思ってしまう。 当然、9・11や大量殺戮兵器があるとかないとか、イラク侵攻へ踏切るシーンがバンバン出てくるので、「もうあの時代は思い出したくもない」と記憶を封印している人には、観るのもつらい映画かもしれない。それに、ああいう危機的状況での大統領の権限の法的解釈についても触れているので、ちょっと怖い。 まあ、ジョージ・W・ブッシュが二期務めたのだから、トランプもありかもしれないと心配している人には、「副大統領を見ろ!」という警告なのかも(?)
The Invasion of the Body Snatchers (1956)
オスカー候補作品を観る! と言いながら白黒映画。1956年版。モノクロのオリジナル版を観た。リメイク版もいくつかあるけどどれも観たことない。ポッド・ピープルとはこれのことを言っていたのか! カリフォルニアの架空の町がポッド・ピープルに支配されるのだけど、画面を観ながら「この町、どこかで見たことがある」と気になった。後で調べたらMill Valleyだった。1950年代のあの町を私が知っているはずがないし、映画を撮影した頃とはすごく変わっているはずなのに不思議。 1950年代の女性は大変というか、つまんないねぇ。びっくりするわ。「あなただけを愛してる」とか「あなたの子供を産みたい」とか「あなたを捨てては生きてはいけない」とか演歌やムード歌謡の歌詞みたいなセリフをバンバン言う。 結局、ポッド・ピープルに世界を支配されてしまうという荒唐無稽なあらすじよりも、1950年代の男女の絡みのほうがずっとずっと荒唐無稽に感じた2019年だった。
Mary Poppins Returns, Shoplifters, Wildlife
気がついたらゴールデン・グローブが終わっていて、今年もオスカーまでに観なければならない映画が盛りだくさん。白黒映画ばかり観てないで、頑張らねば! と白黒映画の仲間に話したら、「あら、私はオスカー候補の映画はほぼ全部見たわよ」と一蹴された。 Mary Poppins Returns クリスマスっぽいってことでクリスマス休日中に観た。CGがすごそうなので、世間の人は最新映像機器の整った映画館で観るのだろうが、なぜか古い映画館で二人きりで観た。二人しかいなかったので声を出して感想言いたい放題。オリジナルがすごすぎて、あれを超えることはないのではと危惧していたけど、これはこれ。エミリー・ブラントも、リン・マニュエル・ミランダも好きだし、楽しかった。 それと、映画のチケットを買わなくてもポップコーンが買える位置にポップコーンの機械が置いてあるので、映画は観ないけどポップコーンだけ買いにその映画館に行く、という人に出会った。 Shopliters(万引き家族の英語タイトル) TIFFメンバーだけの先行上映会に行ったら、主催者側が映画が始まる前にマイク持って解説しすぎ、というハプニング。最後に謝っていたけど、上映前のトークは要注意。そのせいなのか、「ふぅん……」という淡めの反応に終わってしまった。 Wildlife 大好きなポール・ダノが監督だし、ジェイク・ギレンホールもキャリー・マリガンも好きだしで、おまけにラジオで聞いたポール・ダノのインタビューがすばらしすぎて、超期待して観に行ったら、どんより暗かったけど、よかった。
謹賀新年 2019
あけましておめでとうございます。 お正月らしいことは何もせず、仕事で籠もりきり、ひたすら机に向かっていた。SNSに上げられるおせち料理やお雑煮の写真を見ながら、大昔のお雑煮の悲劇を思い出した。 昔々、日系アメリカ人のお年を召した人の家で年始を迎え、「ねえ、お雑煮作って。家庭ごとに違うんでしょ」とせがまれ、私は困っていた。まともな料理をしたことがなかった私は、タダで泊まらせてもらっているのだからお礼をしなければ! と奮い立った。スマホどころか、インターネットに接続したってオンラインにレシピなどほぼない頃の話なのだ。 味噌汁なのかすまし汁なのか、よくわからないスープを作り(まあまあ飲めた)、人参と大根を入れ、お餅も入れた。日系アメリカ人のおばさんは、私の調理法から何かを学ぼうと、背中越しに私の一挙手一投足を見つめている…. 背後からのプレッシャーに耐えかね、「彩りが悪いのを何とかせねば」と思い、何を思ったかパセリのみじん切りを投入。私はパセリのみじん切りのパワフルさを過小評価していた。 友人のお弁当に入っていた子持ちししゃもを見て、「あなたのお母さんはすごくお料理が上手」と褒めるなど、こと料理に関して私は非常識だったが、この「お雑煮事件」は、私の食に関する常識の欠落に歯止めを打ったのであった。 結局、「家庭ごとに味が違うって、本当ね」と、クソ不味いお雑煮を無理に食べさせる結果になり、申し訳なく思った。一人前の大人として、ある程度は料理は学ばねば、と思った瞬間だった。 新年の抱負は料理の腕を上げること、ではない。 2015年からぼちぼちとやっていることを終わらせるのが、私の新年の抱負だ!
