タイワニーズ

入院中に友達が持ってきてくれた。ちょうどいい具合に、転倒した日に日中関係の書籍の翻訳を終えたばかりで、中国、台湾、韓国の近代史について予備知識がまだ頭の中に残っていた。同時進行で読んでいた『大地の子』で、ちょっとよくわからないと思っていたところも、「なるほど!」と謎が解けた。

蓮舫、リチャード・クー、東山彰良、温又柔、ジュディ・オング、余貴美子、安藤百福、羅邦強(551の豚まんの創業者)、陳舜臣、邱永漢と、台湾人(またはかつて台湾人だった人)たちのルーツが、これでもかというくらいに細かく書かれている。私など、英語の勉強をしているせいで、普段読むものは英語圏の出版物が多く、台湾の歴史をじっくり読むことなどほとんどなかった。だから、この本はとっても面白かった。

陳舜臣は私にとって昔の人だったので「日本語で作家として活動していること」について疑問を抱いたことすらなく、バカな私は中国のことをいっぱい書いているから「陳舜臣」というペンネームを持った日本人が書いているのかな、とすら思っていた時期もあった。さすがに、東山彰良ぐらい「今」の人になると、どうして日本語で執筆活動してるのか気になる。自分の作品をより多くの人に読んでもらいたいのなら、中国語で書いたほうがいいに決まっているのに、敢えてそうしていないわけだから。

実は、なんとなく気持ちがわからなくもない。私も英語で文章を書くことがあるけど、「自分語り」をするにしても、そりゃーもー、精神面からして違うから(簡単に言うと、自分と距離が置ける)。

内容はとても面白かったんだけど、この著者はちょっとロマンチスト気味? 時々「XXさんのこの言葉に感銘を受けた」と書いてあるところで、なんか陳腐な感じがした。私が冷めすぎ?

Leave a comment