昔の女流作家の使う言葉ってきれいだなぁ。芯もあるなぁ。話の内容は花柳風俗史的、花柳界の下から上まで(女郎、花魁、芸者)女の暮らしが書かれている。昔の女性って大変…と思う反面、芸事に優れているとか何かを持っていれば、最悪の事態を回避できる点は今と変わらない。
女郎は、体調を崩して(妊娠中とか)働けないとき、石臼で茶葉を引かされるという風習があったらしい。だから、売れ残りの女の人は「お茶を引く」と言う。そんなトリビアが散りばめられている小説でもある(ま、有吉佐和子だけでなく宮尾登美子なんかもそういう花柳界のトリビアを散りばめて小説を書いていたが)。
逆に、そういう玄人の女性を囲う男の人にも「旦那道」なるものがあり、ホンモノの「旦那」は、自分の囲った妾が別の男性と結婚するとなったら、花嫁道具を一式用意してやるのが最高らしい。
古い和歌山弁がじゃんじゃん出てくるのも、なぜかうれしい。『紀の川』もよかったけど。
1960年代に書かれた、明治・大正・昭和の話なので、40代でおばあさん、50代半ばで総入れ歯、などと、ぎょっとさせられることが色々。
香華=仏壇にお供えするお花のこと。

