久々に白黒映画の仲間と映画鑑賞。Sunriseには、サウンドトラック版とサイレント版があり、元々無声映画として作られたのに、諸々の事情でサイレント版は消失したと長らく考えられていた。ところがチェコでそのフィルムが発見され、チェコ語の字幕を英語に訳して、やっとサイレント版がこのたびトロントで、生バンドと共に上映された…… と上映前に説明があった。それまでは何も知らなかったくせに、急にありがたいものを見ている気がした。
荒唐無稽な話だけど、ブタのシーンが特にすばらしく、大笑いもできるし、1927年製作なのに特撮が豪華な無声映画だった。
映画鑑賞後、仲間とお茶。今回は私が最年少というメンツで、年配者たちが「最近見てよかった映画」について、あらすじなどを話してくれる。しかし肝心のタイトルと主役の俳優の名前など、後で検索するのに必要な情報は「思い出せないわぁ」で終わってしまう。いつもならもっと若いメンバーで、「それってXXXのこと?」と察してくれるShazamのような人がいるのだが、この日はいなかった。
「先週もここで映画を見てたの。ナンテ映画だったかな。思い出せないわ」
そんな彼女のスケジュール帳には映画のタイトルがびっしり書いてあるのを私は知っている。
「手帳見ればわかるんじゃない?」
「グッドアイデア!」
と彼女は手帳を見ているが、一向に思い出せない。私も体を乗りだし、一緒に手帳を見るが、おばあさんの手書きはよくわからない。嫌な予感がし、
「それって、本当に1週間前?」
と訊いてみたら、それも怪しいと言う。またひとつ、会話が迷宮入り。

