白黒映画の仲間と日本の白黒映画を見た。小津安二郎に黒澤明だからみんな詳しい。
『お茶漬けの味』
話の展開がスローなのは想定内だったけど、タイトルが最後のオチをばらしてしまっているので、途中で「エンディングはお茶漬け食べて終わるよな」と思い始めたとたん、つまらなくなってしまった。英語のタイトルも「The Flavor of Green Tea over Rice」とマンマなので、白黒映画の仲間で日本語などまったく知らない人にこっそりと聞いてみたら、同じように「タイトルがネタバレだと思う。つまらなかった」と言った。それでも「この映画、よかったわん」とうっとりしている小津安二郎ファンもいたので、水をさしてはいかん、と思って感想を聞かれるまでは黙っていた。話の先が読めてしまっていても、別の次元の感動がもたらされているのだろうからね。
日本のことに暗い人たちに、「ライスの入っているボウルを手に持って食べるのもダメなの?」と聞かれ、「そうじゃなくてお茶漬けをズルズル啜るのがダメなの」と、何がアウトなのかが通じていなかった人もいた。食べ方には個人差があるから説明しているうちに私自身が混乱してきた。
『天国と地獄』
面白かった!! ゆっくり呼吸することすら忘れてしまっていたようで、映画が終わった瞬間に深呼吸。英語のタイトルが『High and Low』。日本語をまったく知らない仲間なのに「『Heaven and Hell』じゃなくてよかった」と言っていたけど、私も『High and Low』でよかったと思う。宗教的じゃなくて、階級差の話なので。原作がアメリカの推理小説だし、ガイジンにはわかりやすい話、というのが一緒に見に行った人たちの総意だった。しかし、またもや、日本のことに暗い人が「ゴンドーの自宅が高級そうに見えなかった」と言っていた。私はそれどころではなく、三船敏郎って本当にすごいな、と見惚れていた。

