友達が貸してくれた。でもなぜ貸してもらったのか覚えていない…… 確かに宮本輝の作品について話していた。貸してくれたのには何か理由があったのに。
エロの描写は多かったが、今の私は田舎の家の改築のシーンに興味を持ってしまった。「枯れてきた」証拠なのだろうか… あと、頻繁に電話で連絡を取るシーンがあるのに、携帯以前の時代の話なので、留守で話が進まないことが多い。すぅっと行方をくらましたり、人と距離を置くのが比較的簡単だった時代の話。よく、時代小説で同心の手下みたいな人が江戸の町中を歩き回っているのに驚いたりするけど、そうやって昭和(あるいは平成の始めの頃)の小説は時代小説になるのかも。
上巻に「とある太めの女流作家で、どんなに高い着物を着ても、着物がよく見えない人が東京から祇園にやってくる」と京都の花街で噂されているシーンがあった。これって林真理子のことかな、と思わせる書き方だった。宮本輝、性格悪いぞ!と思ってしまった。まあ、創作なので好きなように書けばいいと思うけど。
京都、関西、というか西日本の香りがムンムン漂う小説だった。
すごくどうでもいいことだが、学生時代にアルバイトをしていたホテルのバーに宮本輝はよく来ていた。一度見かけたことがある。思えばあの頃は彼の絶頂期だった。

