噂の女

奥田英朗の作品はかねがね読みたいと思っていたら、偶然、人が貸してくれました。うれしい!

作者が岐阜市の人なので、会話があの辺の方言で書かれていることや、地方の人間関係のドロドロ感に現実味がある。現実味なんてものでは済まされない箇所もかなりあった(ここには書けないぐらいに)。

都会の大学に出て、Uターン就職したときに味わう「都会でつけた知恵」と「地元の昔からの物事の進め方」の対比もよかったな。スケールが違うけど、この辺のノリは『おとなしすぎるアメリカ人』に似ていた。机上で学んだ理想を掲げた人が、土着の人間関係を無視して何かやらかしているうちに、背中からグサリ、みたいなところが……

美人局ついていろいろと学んだ。男が女をそうさせるというよりは、女のほうが自ら進んでその道を極めて黒幕にのしあがるのは説得力がある。#MeTooがレストランを匿名でこき下ろすことができるYelpだとしたら、こっちの美人局は保健所のトップを動かしてレストランを廃業に持っていくみたいなかんじ。

「わかめ酒」なるものを知ったのも、この本……

本と関係ないけど、ブルートゥースのスピーカーが壊れた。突然異常な饒舌になり、接続していたデバイスを勝手に接続解除しては、「接続解除しました」「デバイスにつなげろ」と電源を切るまで同じことを何度も指示してきた。この状況を製造者にメールしたら、返品のやり取りがすべてメールで、返品の発送の送り状もメールで送られてきて、結局UPSに行く以外、「店」に足を運ばずに済んだし、新しいスピーカーも送ってくれる。死人のように口を閉ざしたスピーカーを箱に入れるのは、棺桶に入れているみたいで、ちょっと怖かった。便利な世の中なのかどうか…… 悩ましい。

Leave a comment