カズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞した日にライティングのクラスがあったので、「彼だったね」と話をクラスメートに振ってみた。そしたら、「読んだことない」とか、彼のジャパニーズな名前から、「やっぱ、英語圏の作家ばっか、読んでちゃダメよね」と言うので、「いやぁ、イギリスの作家だけど」と言ってみたものの、そこから、村上春樹と並べて話が始まってしまった。村上春樹と一緒にしてほしくない、とかそういうのじゃなくて、クラスメートは村上春樹の作品を「翻訳作品」として読んでいるから、「違う」と私は思っただけだけど。
一応、クラスメートのために言っておくと、たまたまイシグロ作品を読んでなかっただけで、みんな信じられないほどの読書家です。
日本でも、カズオ・イシグロの日本とのつながりを強調して、たぶん日本人がノーベル文学賞を取ったぐらいの喜びを感じていると思うけど、たぶん本人は「どこに属しているのかわからない自分」をよく知っているので、困惑していると思うな。『日の名残り』ってまさに、どこに属しているのかわからないままの自分を受け入れている人の話だし。
