The Technological Singularity

折角読んだからブログっておこう。

この本は訳書も出ているけど、どうやら訳がよくないらしい。でも、原書がそもそもドライなので、訳もドライ、という批判なのかもしれない。英語は読みにくくはないし、内容もいい。
https://mitpress.mit.edu/books/technological-singularity

著者はインペリアルカレッジの教授だけど、オックスフォード大学のCSERという、技術発展のせいで人類が存在の危機に直面するんじゃないか、というようなことを研究するところのアドバイザーなので、この本もAI入門書だけど、かなりのページを割いてAIの技術開発における倫理を問うている。入門書といっても、今学生でこれからなんかホットな分野で研究してみたいな、ぐらいの人をターゲットにしていると思う。

2045年問題については、早すぎる、タイミングの予測自体は重要ではないけど、どんな条件が揃うと起きるのかは理解しておいたほうがいい、いずれは起きるだろうから、という立場を取っている。そもそも、コンピューターは、ある能力においてはとっくに人間の能力を遥かに上回っている(計算能力とか記憶力)。だから、人間レベルの知能とか、人間らしい知能って、そもそも何なの? の議論にページを割いて、何をもってして人間を「超えた」といえるのかも、ポスト・ヒューマン的な話や、人間にもいろんなのがおるだろうが、というのも含め、丁寧に説明している。だからAIを擬人化して考えてしまうと、誤解を招くんじゃない? とも言っている。

シンギュラリティに到達するには、技術的なブレークスルーが複数起きないといけないし、どんな分野でブレークスルーが起きないと2045年はありえないのかも説明されている。その1つが半導体で、ものすごい計算能力を持った次世代チップのフレームワークがいつ普及するかだった。GPUを作っている企業が今ブイブイ言わせている理由も説明されている。「指数関数的な成長」は、今は馬鹿っぽいことにしか使われていない技術でも、うるさいファンのニーズに応えているうちに磨かれて、思わぬところでその技術を応用できるときがくる、のも含めてのことなのだね。

どの本もレイ・カーツワイルのシンギュラリティの予測に対して、筆者がどう思っているかが書かれている。カーツワイルのあの本を読まないと、他人の二番煎じ的な情報を読んでいるな、と思って英語の原書を買ってみたけど、分厚い上に、ちらっと見たら難解そうだった。ま、だから他の人がかいつまんで説明する本が売れるのかも。全然工学の知識がない、まったくの文系の私がAI本をあれこれ読んだ結果、思ったことだけど。

日本では、レイ・カーツワイルのあの本の「簡略版」が出ている。『シンギュラリティは近い』というタイトル。大元の分厚いほうは「ポストヒューマンのなんちゃらかんちゃら」というタイトル。簡略版を買って3分の1読んでみたけど、頭が痛くなった。

なぜにこんなにもAIの本を読んでいるのか。読む時間がない人のために、代読して要約しているのであった。。。たぶん、これからもAi読書の旅は続く。

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