村上春樹翻訳(ほとんど)全仕事

村上春樹が訳した本のカタログ。改めてその量のすごさにびっくり!

これを読んでいるとき偶然にもレイモンド・カーヴァーの短編を再読中だった。彼のは全作品村上春樹が訳している。

なんか、いいなぁ。海外文学好きな人の興味を掻き立てるカタログ部分の端書きもいいけど、後半の翻訳してみたいことを締め切りなしに余暇で訳しているところが。そんなふうに翻訳の仕事ができる人はそうそういない。後半は柴田さんと対談で翻訳にまつわるいろんな面白い話がある。古典の新訳、重訳、古典の現代訳(日本文学でよくあるやつ、源氏物語とか)、森鴎外の翻訳、などなどとても面白かった。

そして、一般的な文芸翻訳のギャラのことをよく知っているようで、世界中の村上作品の翻訳者に何かの形でお金を還元したい、とも言っていた。ギャラについては私も思うところはある…

週末、ニューズウィークのある翻訳記事の悪意ある誤訳にちょっとイラっとした。翻訳学校に通ったり、どこかで翻訳のトレーニングを受けている人なら、ああいう翻訳記事を署名入りでは絶対に出さないと思うし、あんなことをしないように職業倫理も植え付けられているはずなので、きっとそういうトレーニングを受けていない人なんだわ、っと思った。うっかりとか調べきれなくて誤訳ってのは誰にでもある(村上&柴田さんもそう言っている)。でも「翻訳者がそこまで変える?」みたいなことになっている記事だった。

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