ニューヨーク滞在最終日にワールドトレードセンターのツインタワーの跡地に行ってみた。社会見学らしい学生の団体もいっぱいいて、その子達はたぶんあのタワーにジャンボ機が突っ込んでいった様子をリアルタイムでは見ていなかっただろうし、見たとしても何のことかよくわからない年齢だっただろうから、きゃっきゃっしていた。ある程度のお年の人たちだと「まずノースタワーがまずやられて…」と克明にあの日の出来事を思い出しながら「サウスタワーがやられる前に、なんで阻止できなかったんだろうね」というような会話をしていた。あの日をよーく覚えている人は何度も振り返る瞬間だよね。
私はあのツインタワーが健在だった頃にタワーの中に遊びに行ったことがある。93年の爆破事件の後だったので警備は厳しかった。その頃の記憶を引きずっていたから、今はもうタワーがなくなっていて、穴だけになっていることにショックを受けた。
年下の友達にその話をしたら、
「え? 93年にも爆撃事件があったの?」
と驚かれ、自分が生き字引的な存在になったことに一瞬狼狽えた…。
日本人には東日本大震災が同じような心理効果をもたらしたと思うけど、私はやっぱり911。あの日私はカリフォルニアでテレビで見ながらショックを受け、「明日自分の命があると思っていてはいかん…」と思い、いきなり旅に出たのだった。自分が無力に思えた。別に何の脈絡もなく突然911が起きたわけではないけど、あれをきっかけに、イラク・アフガニスタン戦争が始まって今に至っているし、ブッシュ元大統領は任期を終えてから、あの戦争で負傷した兵士たちの肖像画をずっと描いている。なんかそういう大きな時間の流れで、急に断層がズレたみたいな瞬間が911。
ニューヨークで「Come From Away」という911のときに空を飛んでいた飛行機がカナダのニューファンドランドに緊急着陸したときのことを題材にしたミュージカルを見たかったんだけど、チケット完売してて見れなかった。カナダ首相もイヴァンカとこのミュージカルを見に行った(どうでもいいか…)。


