今年に入ってから、岸本佐知子のエッセイと翻訳本を貪ってみた。エッセイは同業種の匂いがムンムンしている。翻訳する人の中には、きちんと朝早起きして規則正しく仕事するタイプと、夜と昼が逆転しているタイプとに分かれていると思うけど、きっと岸本さんも夜型(とエッセイに書いてあったけど、なにせ情報は古い)。私も夜型。真夜中のキィーンという音や、トラックか何かがすごく遠くで走っているように聞こえる音などを聞いていると、仕事がはかどる。
『変愛小説』は私好みの「何かがプツっと切れてしまった人たち」の真面目な愛の話。「お母さん攻略法」とか「リアル・ドール」が秀逸だった。ほぼ全編好きだったけど。
途中、「ん? これは岸本さんっぽくない文章だわ?」と思って表紙を見返すと「編訳」となっていた。そうか、そうなのか、と妙に納得。独り勝手に納得しているだけだけど。
生きている間に、もし文芸翻訳することがあったら、絶対にこういう奇妙な短編がやってみたい。
またまた忙しくって家に篭って仕事していたら、いつの間にか北国の長い冬が終わり、春になっていた。レンギョウを筆頭にいろいろな花の咲く木とか球根とか植えてあるが、それがみんな芽吹いていた。二度咲きする小さいライラックの木を見つけて植えてある。二度咲くから「ブーメラン」という名前がついている。「ブーメラン」といえば、ヒデキ。たしか、今頃が誕生日。


