ライティングワークショップ

勉強会ということで、カナダのライティングワークショップに参加。英語で書く人たちで、既に書きたいことが決まっていることが前提。ノンフィクション、自伝、小説など書きたいもののジャンルは問わない。今までにオンラインでこういう勉強をしたことは何度もあるけど、それらは「書き方」を学ぶものだった。今回のは「売り込み方」だった。

既に書いたもの、または途中まで書いたものを、しかるべき相手に売り込むときに、30秒ぐらいで、文章でいうと3から5文でバシッと自分の作ったものを説明する「手口」について学んだ。いわゆるエレベーターピッチ。説明する相手はプロなので、「新しいネタ」を常に求めている。

最近、紹介文、あとがきなどを書くことがあって、もともとそういうのを書くのは好きなほうだけど、「好き」と「効果を上げるために書ける能力がある」のは別だと思って、学んでみたいと思っていた。ただ、やっているのが小さいエージェントだったし、「書きたい!」とかクリエイティブなものへの憧れや欲望を扱う商売には怪しいものもあるから気をつけなきゃ、と思っていたら、ただの取り越し苦労だった。

その場でぱぱっと書き上げ、「ハイハイ!」と挙手し、自分の「売り込み口上」をみんなの前で読み上げる。すると講師がすぐに批評し、ほかの受講者も批評する。じゃあ、もうちょっと、今度はこうしてああして、と実習を重ねる。一応受講者はみんななんらかのもの書きで、18歳から80歳までいた。やろうと思えばいつでもどのような形でも世間に作品を送り込める時代なので、プロか非プロかという境目はあまり重要ではない。

目からウロコだったのは、若い子たちが資金集めから作品を公開し、宣伝し、ギャラを回収するところまでクラウドを駆使していることだった。私も日本のとアメリカの似たような場にそれぞれアカウントはあるが、どうしていいのかまだわからないままでいる。というのも、グラフィックノベリストとユーチューバーとミュージシャンが非常に多いので。しかし、ネタが際どくて面白い。今回の受講者は、見た目にはフツーそうで、子育て中のママっぽい人か(『トワイライト』みたいなものを書きそうな人たち)、元セックスワーカー、家庭に難ありの若者、マイノリティが多かった。

翻訳でもそれ以外の文筆作業でも、結局は書いて読んでもらいたい=それで生活したい、ということなので、いつも宣伝しようとは思っている。ましてやフリーランスなので次がくるかどうかは就活どころか死活問題。でも「自分の宣伝をすることは恥ずかしいこと」みたいに思ってしまう日本的な考えがいつもどこかにあり、それにひっかかってしまうと「自慢(私事)と宣伝」の区別をきっちりつける能力が身につかないのでは、と思ってしまう。自分のことはわからないけど、たまに他を見てそう思う。

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