ハーフタイムショー

スーパーボウルは毎年どのチームが対戦するのかは当日まで知らないぐらい興味がないけど、ハーフタイムショーだけ見ている。今年はレディガガだった。現政権にとても批判的なガガがハーフタイムショーで何かやらかすのではないか、ヒジャブを被って出てくるかもしれない、などと噂されていた。

フタを開けてみたら、あからさまなプロテストはなくて、モモンガみたいに空中を飛んだり、最後にマイクを投げてフットボールとともに落下していくレディガガのパフォーマンスに、わたしは笑って楽しんだ。

わたしの中ではレディガガの株は上がった。いろいろ考えた末、ああいうパフォーマンスになったんだろうなと。あからさまに政治色を出して、さらに国民を引き裂くより、みんながスーパーボウルを楽しめるように決めたのかなって。

なんかこう、トランプ就任式、いやその半年前の共和党大会の頃から、イベントで歌ってくれるセレブの選択に時勢が反映されている気がする。カルチャーのメインストリーム(LGBT、女性、有色人種、移民)が、今の政治のメインストリーム(政権を握っている人たちとそれを支援している人たち)を否定しているようでいて、否定されつつもある。「自分が属する場所」を失ったり否定された浮き草のような人生を歩んできた人たちが、自分の帰属場所をがっつりと守ってきた人たちに押し返されているような、そんな感じがする。共和党大会やトランプ就任式に選ばれた芸能人に、世間は「え?」という反応をする。

去年年末あたりのニューヨークタイムズに、地域別の人気番組のリストが出ていたけど、トランプ支持者の多い地域では「何ですかそれ?」という聞いたこともない番組が大人気だった。SNLや政治風刺をやっている夜のコメディ番組もサウスパークも、そういう地域では人気がない。それにHBOなどの有料ケーブルはこういう地域では視聴者が少ないらしく、沿岸部の都市に住む視聴者の好みに合わせて番組が作られているということだった。

ちょっとたとえが古いけど、「グリー」でカート(ゲイ)とメルセデス(黒人の女の子)が「私たちがカルチャーを作ってるのよ」と言いながら殴り込みをかけるシーンがあったけど、そういうムーブメントに今反発しているのが野球帽を被ったダサそうな人たちなのだな、と構図はイメージできる。そのうち人権派弁護士とかを笑うコメディ番組が主流になったりして…

今トランプ政権が鎖国的な移民政策を取っているけど、「わたしの親も移民だった」と誇らしげに言いながら反発している人を見ると、わたしはちょっと居心地が悪くなる。別にそれが嫌なわけじゃないけど、そういうことを堂々と言えるのはすっかり米国市民になっているから。移民の中には永住権とか就労ビザしか持たない人も多い。納税もし何年もアメリカで暮らしていても選挙権がないから、投票によって意思表示をすることができない。だから一番最初に槍玉にあがっているのを知っていると思う。彼らに代わって声をあげて反対しているのはグローバル企業で、トランプ支持の人から見れば「ふーん、やっぱりな(そんなに外国人を雇っていたんかい)」という話のように聞こえるのではないかと、ちょっと心配。

その立ち位置の不安定さ、里帰りなどであっちこち外国を出入りするアメリカの移民に対しては、「国家安全のため」という大義名分も成り立つ。そういう不安定な立場の人と、アメリカがダメならどっかの外国に行って働くだけよ、と言えるグローバルな人たちが結託し、ずっとアメリカに根を下ろしている人たちと対抗しているっていう感じなのかな…… 

ああ、長文になってしまった。今日はヒマだから。

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