昨日オバマ大統領の離任演説があって、こういう演説はしばらくないんだなと思いつつ聞いていた。最後に妻と子供達にねぎらいの言葉を述べたときに、「サーシャがいない!」とびっくりしていたら、みんなそう思っていたみたいで、ネット上でハッシュタグができていた。夫が大統領になると家族全員がそれに巻き込まれてしまうので、彼女たちの涙にものすごく同情してしまったよ。
2期勤めた大統領がホワイトハウスを去る時にいつも思うけど(ビル・クリントンとブッシュ息子のときもそう)、大統領の政党じゃないほうの人々は「うわぁ、やっと政権が交代する」とものすごい安堵と希望を感じるんだと思うな。
今回の大統領選後、ずっとフェイク・ニュースが取り沙汰されてるけど、ああいう情報操作なんていつでもどこでもあるよね。会社の中の悪口とかうわさなんて、ものすごく身近なフェイク・ニュースの例じゃない? フェイクだろうとなかろうと、素直な人たちがそれを軽い気持ちで「XXXなんだってさー!」と伝えたりリツイートすることで広がっていくので、そういうのを「メディアリテラシーがない」と非難する人を見るとイライラする。だってソーシャルメディアって無料で何でも好き勝手に言えて何でもリツイートできるようにするためのものだもん。21世紀の井戸端会議なんだから。
最近メディアを賑わしているマイロ・ヤノプロスとかまさにその井戸端会議の寵児よね。彼が最強そうに聞こえる(見えるのは)、ガンガンに攻撃的にしゃべり倒すことができるし、見た目もよいから。見た目が美しくなければ、そんなにもてはやされなかったと思う。議論上窮地に立たされても自分の意見を丁寧に説明し直すことはせずに攻め、「自分はゲイだから何を言っても許される」と決めゼリフを言う。相手はだいたい自らの意見をうまく伝えようと「説明」に回るので、ぐちゃぐちゃと説明しはじめたところで「つまらない!」と遮ったりもする。
ちょっと前なら、ザ・シンプソンズとかサウスパーク系のアニメに出てくるような「勘違い」キャラクターなんだけど、でもアニメの中だとそういうキャラクターに言いにくいことを言わさせる。ヤノプロスにも(私は嫌いだけど)そういうところがあって、大きな声じゃ言えないけど「そうなんだよね」と思わせる意見も持っている。
昔、近所に「共産党なんて大嫌い」と大きな声で言うおばさんが住んでいて、共産的なものをすべて忌み嫌い「自分の分は自分で稼ぐ!」と唾を吐くように言っていた。盲目的に嫌っているかんじがしてものすごく苦手な人だったけど、「自分の分は自分で稼ぐ!」の部分は共感できた。それと逆で、考え方としては同意できるところが多いのに、ものすごく高みからものを言う(書く)人たちを見て、「(たかが自分の意見を言うぐらいで)何でそんなにえらっそうな態度で言うのだろう」と、その人の意見をすべて否定したくなることもある。
ヤノプロスの本を出版すると決めた出版社の本を1年間一切レビューしないとシカゴの書評グループが宣言していたけど、それはそれでいいとして、ヤノプロスの本はしっかり書評&批判して、世の中を面白がらせてほしいな。そしたら、ヤノプロスの本は買わないけど、批判本を買うと思う。
