中国西安旅行

中国の西安に行ってきた。トロントから直行便はないので北京経由。北京から西安まではエアチャイナ。エアカナダと同じスターアライアンスだから、スーツケースは西安まで直行すると思い込んでいたら、北京に置いてきぼり。西安の空港の手荷物受け取り所で「あなたのスーツケース、北京にあります。明日の11時に西安空港に届くようになってますから」と空港の係員のほうから先に声をかけられた。おかげで、西安空港への道を覚え、空港付近に石炭の巨大発電所があるのを発見し写真も撮った。PM2.5の拡散に大いに貢献してるはず。

PM2.5に関して言えば、西安は北京や天津よりもましで、滞在中、西安の値は北京の3分の1ぐらいだった。ちなみに、西安から北京に戻るとき、雲の上を飛んでいた機体が、雲の中→澄んだ空→汚染された茶色い大気の順番で降下していき、その日は空からは北京の街が見えなかった。着陸できただけマシかもしれない。西安は空気が霞んでいるものの、上を見上げれば青空が見えていた。

うつせみの シルクロードは 天に伸び 霞とみまがう 塵吹雪かな

…と空港へスーツケースを取りに行くときのバスの中で一句詠んでみた。

西安で一緒だったアメリカ人などに「日本も4、50年前は大気汚染すごかったんじゃないの?」と訊かれた。四日市ぜんそくで有名なところで育った私は、確かに… と思ったね。

さて西安。すなわち昔の長安。シルクロードの起点・終点だったので、異文化が融合しているのを期待していったが、あまりそういうのを押しているようには見えなかった。

西安は近代的で、人口8百万人の大都会。周辺人口を含めると東京ぐらいになる。旧市街に行けばイスラム街があって、イスラム教寺院があって、街のあちこちにイスラム教徒のやっているレストランがある。もっと事前に下調べしていけば、何かもっと風情のあるものを見ることができたのかもしれないが、最近、あちこち移動が多くて下調べが面倒になり、現地入りしてからスマホに頼っている(史跡や美術館を巡るんじゃなくて、街歩きをしたいので)

西安で個人的に面白いと思ったのは、旧市街のイスラム街、その周辺の古い通り、パッケージ品やキッチン用品の問屋街とか、おんぼろアパートの並ぶ小道とか、ビール街だった。西安では夜に立ち寄れるバーがあまりにも少なくて(イスラム教徒が多いからなのか?)、お酒はカナダ並みの値段。店はビール街に集まっていて、そこが日本の「歓楽街」のごとく、若いお兄さんたちが客引きをしているので、非常に淫靡な雰囲気が漂っており、ビールを飲むだけなのに悪いことをしているような気持ちになるのだった。ほかにも、街の雑居ビルの中にあるバーにも行ってみたら、ちゃんと「バーテンダー」の服を着たバーテンダーがいて、客のほうは、やや年配お金を持ってそうなチョイ悪おやじたちが、若くて綺麗な女の子をはべらしていた。大学生風の若い客はそうでもなかったけど。卓上にはサイコロとサイコロ入れが置いてあって、それを振っては何やら遊んでいる人が多かったが、あれは何かのゲームなんだろうか。ビールはベルギーのものでもかなり薄めてあると思う。中国人の味覚に合わせてあるのだろうか。あと、ビールが常温で出てくる。

客引きのお兄さん。誰も客が歩いていない

西安鐘楼

英語は全然通じなかった。ホテルでもあまり通じない。小さなレストランに入ったけど、店に入る前に看板に出ている麺の写真を撮って注文。「大、中、小どれにする?」みたいなことを訊かれているのはわかっても答えられないので、苦戦した。頼んだのはワンタン麺のようなものだったが、席に着いてからワンタンの肉にいろいろ種類があることに気づき、どうしても鴨肉が食べられない私は、「鴨はイヤ、牛か豚にして!」という、非常にハードルの高いリクエストをしに、カウンターに戻った。最終的に、料理を作っているおじさんがどんぶりを運んできてくれ、丁重に「どうぞ」みたいなことを言いながら、お箸や紙ナプキンも持ってきてくれた。中国人の客にはそんな丁寧なことはせず、「牛のワンタン麺(大)一丁! 誰や?」みたいな接客をしていた。そのワンタン麺のようなものはものすごく美味しかった。しかし名前はわからない。西安で食べた餃子、麺類はみなとても素晴らしかった。西安は柿の産地のようで、柿の焼き饅頭のようなものも、おかずとして食べたが、なかなかおいしかった。

小ぶりの柿

2種類のつけ汁が出てくる太麺

市内で古いものを探して歩いてみたが、古いものはどんどんなくなっていくように見えた。玄奘(三蔵法師)がインドから持ち帰った仏教の経典が収蔵された大慈恩寺の大雁塔にも行ったけど、敷地内にモノレールが走っていたり、目の前に巨大噴水広場があったりして、新しいものと古いものがぐちゃっとなっていた。あと、家人が「西遊記」を知らなかったことも衝撃だった。まあ、国際カップルあるあるではあるが。

大雁塔

そして西安旅行のキモである兵馬俑。西安からバスで1時間ぐらいのところにあって、英語のツアーに参加した。一緒に行った人たちは気心知れたギークな人たちばかり。秦の始皇帝のことは日本では歴史の授業で習うけど、この人たちのほとんどは学校では習っていなかったので、ガイドさんを素朴な質問攻めにし、おかげで私もいろいろ学べた。こういうツアーに、知ったかぶりの人がいるとテンションがぐーんと下がるが、知らない人ばかりだったので本当に楽しかった。

兵馬俑は一部が世界の博物館を回っているけど、やはり本場に来ると兵士の数に圧倒されるね。きれいに修復したものだけでなく、修復中のもの、発掘して綺麗にする予定の土に埋まった状態のもの、いろいろあって「途中経過」が見られるのがおもしろかった。埴輪好きとしては見飽きない。兵馬俑のショップには、残念ながら、買いたくなるような兵馬俑グッズはなかった。

修復中

タクシーが安い。年をとった人だとメーター付きのタクシーでも値段交渉してくる人が多いけど、若い運転手だと配車アプリを使っていて値段交渉もしなくて済んだ。夜、空港から乗ったタクシーの運転手が小泉純一郎にそっくりだった。ホテル到着後のお勘定のときに運転手が振り向き初めて発覚したが、驚きのあまりお金を払わずに車から転げ出してしまいそうだった。

以上、西安についてでした。

こういう逞しい人も結構いる

こういう防寒具が流行っていた。キティちゃんとポール・フランクのサルが一番パクられていた

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