サンフランシスコで茶事

北カリフォルニアに行ってきた。前半サンタローザで、後半サンフランシスコ。

たまたまサンフランシスコの「桜祭り」の時期に滞在が重なったので、茶事一般公開のお手伝い。裏方で手伝うつもりで行ったら司会進行係。年に1、2回稽古しているだけだから、水屋ではまったくの役立たずなのだった。実際、茶事の裏方作業は道具の運び込みから大変で、普段から道具の扱いに慣れていないと使いものにならない(だから、私にはできない)。

薫風南より来る

司会進行係なら、これまでにも何回かやったことはあるから急に言われてもできる。この日のお点前は4回戦。4回も同じことをしゃべるとさすがに疲れた。

雨曇りだったからだと思うけど、老若男女、お客さんが大挙してやってきた。「抹茶がタダで飲める!」と思って来てみたら、本格的な茶室に入って、畳の上に座って、春の季節に合わせて見立てた茶道具と点前を最初から最後まで見て、お茶を一服するはめになったという人も多分いるはず。

聞かれたこと
– 楽しいことだけじゃなくて、故人を偲んでお茶を飲むこともあるのか
– 武士が合戦の前に敵将とお茶を一服するのはなぜなのか
– 釜を天井から吊るすのは3、4月だけ(と私が説明した)なのは、なぜなのか
– 抹茶にもコーヒー豆のようにいろんな味があるのか
– 男もお茶を点てるのか
– お茶の先生たちは男が多いのか
– お花が生けてあるが、まずお花を生けられないとお茶は習えないのか
– どうしてお茶碗をくるくる回すのか

いろんなことを聞かれた。お決まりの質問もあるけど、毎回意外なことを聞いてくる。結構質問が多かったので、かなり興味を持ってお点前を見ていたのかも。

茶道具が作り出す季節感の説明は結構食いつきがよかった。「これから暖かい季節を迎えて、楽しい夏がやってくる!というワクワク感を感じてくださいね」と説明したら、「なーるほど!」と頷いてくれるアメリカ人は多かった(頷いているフリかもしれない)。でも、それを理解してもらえたのは、やっぱり、そういう筋の通った道具の見立てをした先生のおかげだな。

蛤卓

釣釜

こういうイベントの手伝いをするとき、茶人といえども、意見が違ったり、テンパったりしてケンカになることがあるけど、そういう人間臭さも、たまにしか参加しない私にはテレビドラマより面白い…… だってね、和敬清寂の世界を作り出すのにケンカしてるんだから!

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