最近カナダ人の友人と昔の恋バナを話した。別れは必至の状態で、当時の彼を空港に送り届け、案の定、それが本当の別れになったという話。
それでまあ、カナダ人の強い女たちから「別れるとわかっているのに、なんでまた車を出してまで、空港に男を送っていくのか!?」と叱られたのだけど、彼女たちは「未練」というものがこの世に存在することを忘れている。いくら「女は強くあるべし!」と声高に叫んだところで、人間の心のヒダまで否定するのは、浅はかではないか! と私は思う。
それで、真夜中出発の安い飛行機に乗って行ってしまった彼を見届けた後、車を運転していたら、24時間営業のドーナツ屋を見つけ、お腹が減っていたので、びゅーんと車を横付け(これについては昔ブログったことがあるので重複している情報だが)。
そのドーナツ屋で、私は泣き腫らした目で、あらん限りの力を振り絞り、数々のドーナツを注文。「アレと、コレと、ソレと……」と。そのとき、ドーナツ屋のカンボジア人のお兄さんが「もう1個選んでいいよ」と言ってくれたので、私はとても感動したのだった。女をわかってるな! この人は! と。
これは随分と昔の話だけど、私はこれを「美しい物語」としてずっと忘れずにいた。その話をカナダ人の女友達に話すと「それって、ベーカーズ・ダズン(Baker’s Dozen)じゃねーの?」という。
ベーカーズ・ダズンと言うのは、昔、ドーナツとかパンとか1ダース分買ったお客さんに、そのうち1個ぐらいはイマイチなのがあるかもしれないから、ベーカリーが先手を打ち、12個を13個にして包む、というリスク管理、クレーマー回避の「慣わし」だ。ま、いまどきの店はそういうことはしないとは思うが。
私も、ずっと後になって、そういうコンセプトがあることを学んではいたが、人の夢物語のオチをそんな商業的なリスクマネージメントに持っていこうとする彼女たちに、一応反抗はしてみた。
しかし、いくら夢を装ってみても、ポイントを稼ぎまくった挙句、辛い1日を過ごして、どっかのドラッグストアの店員に、20ドルのキャッシュバックをしてもらって感動してるのと大差ないな、と最近思えるようになった。
ありがとう、カナダ。
