お一人様のアイスランド その2

アイスランドの天候は怖いようなことを書いたけど、それは滞在中の天気がたまたま悪かっただけ。おかげで、駐車するときは向い風を受ける状態で停めれば、ドアが引きちぎれない、という知恵をつけた。

雨の日も神秘的。アイスランドの風景は、カリフォルニアやアリゾナの砂漠を水浸しにしたようだと思ったね。あの荒涼とした感じが。タンブルウィードの代わりに苔。砂じゃなくて火山灰と溶岩。突然現れる川。木が生えてないからどこまでも見渡せる。

ホテルの近くの川(お湯が流れている)

ホテルの後ろの景色

私が訪れた日まではオーロラもよく見えるほど空が澄んでいて天気がよかったらしい。ホテルで出会ったアメリカ人たちが「これ以上はないってぐらいのオーロラだったわよ!」と大喜びしていた。しかし、私が滞在していた間は毎日雨雲、最後の2日間は嵐のようだった。温泉に浸かっていても、雨風がガンガンに降り注いでいた。どうせ濡れているからいいんだけど。

アイスランドに行く前に、「The Little Book of the Icelanders」という本を人に薦められて読んだ。読んでおいてよかった。アイスランド人の性向や文化が書いてあり、著者が外国生活の長かったアイスランド人なので、祖国を愛しながらも、その文化のよしあしを外からの目線で解説できるのだ。そこんとこがミソの本かもしれない。

この本によれば、独立精神の強いアイスランド人はコミットメントが苦手らしく、「まず子供ができてしまう」→「同棲してみる」→「うまくいけば結婚してみる」というパターンが多いらしい。そういうカップルの間で生まれた子は、家族親戚の大人、地域の大人に面倒を見てもらいながら、親以外の大人も見て育つことが多いとか、そういう地域社会の中だと大人と子供の線引きが曖昧だということが書いてあった。人口が少ないのに厳しい環境で生きているから、見ず知らずの人との間でも相互扶助が浸透しているとか、フェイスブックの浸透率が95%で、国民がいろんなことをフェイスブックで語り合っているとか。最後は、アイスランドでの人の死に対する考え方、その悼み方、葬り方についてで、ちょっとホロリと泣けてしまったりする。ほかには、アルコール好き(ゆえにアル中問題)、外国メディアに自国がどう報道されているか気になって仕方がないところ、名字の問題、言語の問題、電話帳の問題など、面白いことがいろいろ書いてあった。

実際、私が滞在していた間、「アイスランドにもっとシリア難民を受け入れよう!」とフェイスブック上で騒いでいた。ほかのヨーロッパ諸国ではシリア難民の受け入れは深刻だというのに…実はこの本には、アイスランド人はアイスランドの不文律を理解できない、あるいは理解していても実践できない人に対して、非常に不寛容である、ということも書いてあった(どこかの国に似ているね)。大丈夫なんだろうか。

ほかのニュースとしては、アイスランドのサッカーチームがEURO2016の予選突破を果たしたため、大統領が「この日は好きなだけ飲んで騒いでもよろしい」と宣言したにもかかわらず、警察が午前一時を過ぎても営業していたバーを取り締まったとか、金融立国だったけれど、2008年にそれが崩壊してしまったので、今度はデータセンターで国を立て直そうとしているとか。比較的のんびりしたニュース。

ドライブ中何度か給油したけれど、カード読み取り画面がアイスランド語表示だけのところがあった。いくらアルファベット文字表記でも、想像を膨らませれば理解できるような言語ではなかったので、適当にボタンをポチポチ押しまくっていたところ、背後からニット帽を被ったおっさんが「May I help you?」と話しかけてきた。これがアメリカなら、両手を挙げて命乞いをする状況かもしれないと思い、ドッキリしてしまった。助けてもらったけど。アイスランド人はほとんど皆英語が話せる。デンマーク語もできるらしく、毛糸屋さんで、「この毛糸はアイスランド産?」と聞くと、「ううん。それはデンシュケの」と英語を話しつつもデンマークところをデンシュケと言ってしまう人もいた。

ヒッチハイカーにも声を掛けられた。若い男女二人組み。ヒッチハイカーが多いとは聞いていたけど、私は女一人で大型4WDを運転していたのだからカモであったに違いない。行き先など告げてきたけど、大丈夫そうな子達に見えたけど、何かあったら2対1で、どう考えても不利だから、「やっぱり無理、ゴメン」とお断り。

お酒を飲むのは必ずホテルに着いてから。すごく眺めのいいバーが館内にあって、ガラスの向こうに延々と続く苔の平原に日が暮れていくのを見る。日が暮れると真っ暗闇になる。ここのホテルで働く女の子たちはこの真っ暗闇を運転して家に帰る。心配して「大丈夫なの?」と聞くと、「冬の間は一日中太陽は出ないし」、「時々雪の中を立ち往生するけどレスキュー隊が来てくれる」という。彼女たちは「慣れている」のだった。

ホテルの隣にある地熱発電所
ハイキング トレイル。私には無理
朝のシングヴァトラヴァトン湖

嗚呼、まだまだアイスランドについて書ききれない。続きは明日。

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