こっそりと東京に行ってきた。
到着日の夜から予定が入っていて、その日は疲れのあまり、コンビニのアイス(ソフトクリーム型)を食べながら、ベッドで横たわりながらテレビを見ていたら、知らぬ間に寝入ってしまった。午前五時頃、甘いバニラの香りに包まれて目を覚ますと、右手にはコーン、枕の横にはミルクの海。約五時間経過していたというのに、アイスクリームは半分も溶けておらず、ティッシュで「巻き」の部分を掴んでゴミ箱にポイ。…大丈夫なのかな、あのアイス。寝ぼけまなこでなければ写真を撮ったのになァ。
コケシはどうも最近流行っているらしく、西荻窪で開かれていたKOKESHI EXPOをチェック。そもそも私はマトリョーシカ コレクターであって、コケシ コレクターではない。しかし実はコケシのほうが面白いというか、コケシについて騒いでいる日本人が少なからずいて、その人たちのおかげで盛り上がっていることを楽しんでいる。ロシア人やウクライナ人ももっとマトリョーシカで盛り上がってくれればいいのにな。
KOKESHI EXPOは一部しか見てないけど、本体を東北の職人に用意してもらい、若い絵描きたちがそれに絵を付けたものを展示販売するイベントに行った。案の定、手ぶらでは帰れなかった(実際は手ぶらで帰るはめにはなったのだが)。それぞれの本職の色が出ているコケシが一堂に集まる中、私が飛びついたのは、銅版画作家のコケシ。銅版画の細い線が遊びのコケシに品格を与えているように見えたけど、そもそもコケシに品格を問うべきかどうかはわからない。「会期中は持って帰れません」とのことで、再会はいつのことやら。写真もない。この人の絵のものだけど。
こけしを見に来ている人々を観察していると、ファッションが似ているうえに、本人たちの髪型がコケシっぽい。まあ私も例外ではないのだが… 姪っ子に『こけしのゆめ』という絵本を買った。彼女もまた乳児でありながら既にコケシ化している。
日を変えて、古道具屋さんをひやかしに行くと、そこには数々の古いコケシが。ペコちゃんのコケシ、スキーこけし、クロンボこけし(クロンボと言ってはいけないけど、この場合そう呼ぶしかない。イメージ的にはダッコちゃんのこけし版かな)、などなどいろんなジャンルに分かれているではないか。「ウチはスキーこけし専門なんですけどね」という店の人の発言に奥深さを感じてしまう。
私はコケシを見に東京まで行ったのではない。あくまで仕事の合間の話。

