笹まくらに、水玉に、街場の現代思想

古本読書は続く… 読みきれなくてカナダに送った。

『笹まくら』

今年は終戦70周年。まずは徴兵忌避者の戦後20年の話。昭和49年発行の文庫だから、黄ばんでるし、今の文庫に比べると文字が小さい。徴兵忌避し、名を変え姿を変えて逃亡生活しているときの不安が「笹のかさかさする音」に集約されているから「笹まくら」らしい。そういわれると、その神経の尖らせようがわかるような気がする。思ったより読みやすくて、心理的な圧迫感があった。世間が戦争にどっぷり浸かっているときの徴兵忌避は、その後どう転んでも人生に付きまとう影。徴兵に対する危機感は、アメリカで911が起きた後に米国内ではあったよね。その前はベトナム戦争のときだけど。今読んでも新しい部分は結構あるな。「徴兵忌避」を「人に絶対知られたくない秘密」と置き換えて読むだけでも、いいかも。女に生まれてよかった、とか、もう徴兵の対象から外れている年齢なので、オバサンでよかったわ、とか思った。

『水玉の履歴書』

美容師さんのオススメで読んだ。サラっと読める。草間彌生は、夜な夜な朝日で空が白々としてくるときまで読書し、ものすごく精力的に絵を描き野心を燃やしている。今でもこんなにも頑張っているのか!と思う反面、ここまで来たからそう思えるわけで、そこそこ若かったら、そうは素直に思えないだろうということに気づいた。人間はどれぐらい年を重ねれば、「あの年でもまだ貪欲だ!スゴイ!」と素直に思ってもらえるんだろうか。

偶然にもこれを読んでから、国際フォーラムで開かれた「アートフェア東京2015」に行ったら、日本で草間彌生作品を扱っているギャラリーが出展していたし、この本に出てきたディーラーさんもブースに出ていたので驚いてしまった!この本を読んでいなければ、気づきもしなかったと思う。

『街場の現代思想』

よく内田樹のブログを読んでいるので、内容がかなりかぶっているけど、仕事やめたいとか、結婚すべきかどうか、なんてことに悩んでいる人にはグッサリとくる話。つまり、ほとんどの悩みは「実行する気ないけど、言ってるだけー、聞いて欲しいだけー」ということ。

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