燃えよ剣、フィッシュストーリー、伊豆のことなど

東京の喧騒を離れて伊豆へ。

河津桜もすっかり葉っぱが主役。それでも次の桜や花々が咲いていて、伊豆はやっぱり暖かいんだな。伊豆に来ると「金目!金目!」とみんなが騒いでいるのも楽しい。有名な煮付けは食べなかったけど、海苔で切り身を巻き唐揚げのように調理された金目が非常にジューシーでおいしかった。

東京からはスーパービュー踊り子号に乗って一気に下田へ。スーパービューは普通の踊り子号よりも窓がぐっと広い。乗り換えの面倒がなく読書が進んだ。読んだのは「燃えよ剣」

新撰組の土方歳三の一生を描いているから、戊辰戦争前後の歴史小説。「残忍極まりない」という形容詞をつけられることが多い土方歳三の、政治に翻弄されない剣士としての話。前に子母澤寛の新撰組の本を読んだことがあり(資料的要素が強い)、そっちの人物評に血肉がついて躍動感のあるのが「燃えよ剣」の土方歳三。政治に翻弄された激動の時代の話だし、佐幕派か倒幕派かという政治的立ち位置はあっさりとコロコロと変わっていく。そんな中での一刀両断の動物的嗅覚とかセンスを持った人ということで話が進んでいく。東京以北の日本地図を見ながら読んだ。「燃えよ剣」には会津の戦いについてはほとんど触れられていない。

結末を知りながら、不覚にも、東急目黒線の車内で最終章を読んでいるときに、真珠の涙を縷々と流してしまった。トム・クルーズの「ラスト・サムライ」は嫌いな映画なのだけど、あの映画のシーンさながらのラストだった。私が電車内で人目を憚らず涙を流しながら本を読んだのは「赤毛のアン」以来かもしれない。あのときは読書に没頭していて何駅も乗り過ごした。というか電車に乗っているということを忘れていた。当時は暇を持て余していたティーンエージャーだったからよかったものの…

まあでも、戦のお話は読んでるだけでも疲れるね。

こっちは初めての伊坂幸太郎。フィッシュストーリーは映画を見たことある。ほかにも短編がいくつか収録されてるけど、どれも面白かった。もっと読んでみようか、伊坂幸太郎。でもカナダに帰ったら読まないかも。

刻々とカナダ帰国の日が迫っている。3カ月は短かく感じたけど、そろそろ自分の家に帰り日常を取り戻したい。編み物もしたい。やせたい。

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