トロントに戻ってきて雑用をしているうちにロンドンの記憶が薄れてきてしまった。ロンドンは飽きないけど疲れる。トロントはロンドンやニューヨークのような街と比較すれば何か足りないけど、そこそこ物足りていて疲れない。
ロンドンやマンチェスターで見かけたグラフィティについて記しておこう。
「グラフィティ」なんていうと立派なもののように聞こえるけど、トイレをはじめ、壁の落書きは好き。ロンドンの中でもイースト・ロンドン(ショーディッチのあたり)には気合の入ったものが多かったし、その世界では有名人が描いているようだった。競争が激しいのか「いいな」なんて思っていても、次の週には上塗りされてしまっていることが多いので、見て気に入ったら写真を撮っておかないと二度とお目にかかれない。折角のアートが…と残念に思うけど「ヘンにありがたがらない」ことがこの世界なのかも。ということで一期一会を楽しんで、せっせと写真を撮ってはインスタグラムに載せていた。そうするとどっかのグラフィティ・アーティストが「これは誰それの絵だ」などと教えてくれたりするし、「Tight!」などとコメントくれたりする。Tightって「グっとくる」みたいな意味。私は使わないけどストリートにいる人たちが使うのかしら。
マンチェスターより。もっと時間があればよかったな。
テムズ川南岸のウォータルー駅近くにある「バンクシー・トンネル」に教授を案内したら、週末だったので結構たくさんの人が「上塗り」していた。トンネルの中でみんながスプレー缶をシューシューやっているため、シンナー臭がものすごい。絵が上手な人、落書きを楽しんでいる人、ビールの飲みながらつるむことのほうが目的で絵は二の次な人、といろんな人たちがいたけど、誰でも参加できそうな様子。トンネルをくぐり抜ければニット・ナイトの店があり、私が「あのトンネル面白い」というと「汚いからイヤ」と身も蓋もない返事が返ってきた。あの近所に住んでいればイヤなのかもしれない。









