ロンドン日記 その19

早いもので三カ月のロンドン滞在もあと残り一カ月を切った。大英博物館にもウェストミンスター寺院にもまだ行っていない。最近訪ねた地味な場所について書き残しておこう。

ハイゲイト墓地

11月1日は諸聖人の日(All Saints’ Day)。ハイゲイト墓地が夜の7時まで開いていて、懐中電灯を持参して行けば、有名人の墓を訪ね、蝋燭を墓碑に供えてもよい、というイベントがあった。この墓地の東区画にはカール・マルクスやジョージ・エリオットの墓がある。マルクスの墓を探すのはとても簡単。墓碑の一部が巨大な頭像で、「WORKERS OF ALL LANDS UNITE (万国の労働者よ、団結せよ)」と刻まれているから。しかし、これは彼の奥さんが亡くなったときに二人を共に埋葬するために新しく建てられたもの。最初のお墓も同じ墓地にあるのだけど、これを夜探すのは大変… 見つけたけど。資本論は読んだことはないけどマルクスについての本は読みかじったことがある。働くのが嫌いでリッチな生活を好んだらしいね。だからお墓もこんなに立派なのかしら。

大英図書館

ここにはマグナカルタもあるけど、ビートルズの四人の直筆の走り書きもある。マグナカルタは見ても「ふうん」としか思わないけど、ポール・マッカトーニーが「イエスタディ」の歌詞を最初に思いついて殴り書きしたノートの切れ端などは、こちらも読めるからちょっと感動する。古い円形の図書閲覧室がここにあるんだと思って行ったら、「それは大英博物館ですよ」と言われた。とほほ。ニット・ナイトで知り合った人が、この大英図書館でイギリス海軍の18、19世紀の歴史を調べている(研究者だから)。なんでそんなことに興味を持ったの?と尋ねたら、「子供の頃パトリック・オブライアンの小説を読んだから」と。編み物好きな人というのは概ね「一攫千金」とか「立身出世」とは無縁。

大英自然史博物館

月に一度夜遅くまでやっていて、たぶん普段は子供でごったがえしている博物館だけど、この日はバーも設けられるので、未成年お断りの日。やっぱり恐竜の展示が一番いいね!

他には、絶滅してしまったドドの展示。『不思議の国のアリス』に出てくるから本物を見たことはないけど親近感があるね。ドドは英語の慣用句の中に生きていて、「Go the way of the dodo」という句がある。「廃れる」の意味。

インペリアル・ウォー・ミュージアム(戦争博物館)

ブレッチリーに見学に行った話をしたせいで、いろんな人からオススメをされた。今年は第一次世界大戦開戦の百周年とあり、ものすごい混雑ぶり!最近の紛争や対テロの戦いに関する展示もある。イギリスは第二次世界大戦の戦勝国なので、それについては加害者としての自分たちをとらえた展示にはなっていないけれど、第二次世界大戦でアメリカに借りができたことなどはわかるようになっているし、その前後のツケを長年にわたり払わされていることも示す展示。でも人がいっぱいで全部を見ることはできなかった。ウェットな感情を喚起するような展示ではないので見やすかった。
ティーカップを被らされているのはトニー・ブレア。
反戦のポスター

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