相方が仕事でマンチェスターに出張だったのでお相伴。仕事を休むことなど滅多にない人が「一日休む」というので、マンチェスターについて事前調査。といっても、八〇年代にマンチェスターから出てきたバンドのファンなので、ゆかりの地を探しただけ。現存しているライブハウスはすぐにわかるけど、つぶれてしまって跡地しかないところは、ナビゲーションを使って辿り着いてもわかりづらい。特に目立つ看板が立っているわけでもないし。でも、ナビとウィキペディアを見ながら「こ、これだよね!?」と発見した瞬間はとても盛り上がる!
一番楽しかったのが、The SmithsのTHE QUEEN IS DEADのアルバム・ジャケットの写真が撮影されたところに行ったこと。マンチェスターの市外にあって、トラックとか車がバンバン走っている道路脇を歩いているのは我々のみ。バスに乗ればいいのに、歩いたほうが中高校生みたいだから。市内中心地から三十分は歩いたと思う。そんなに遠くはないけど散歩を楽しめるような道ではないので… さすがに帰りは疲れてバスに乗ったけど。
行ってみたら、え?ここ?というぐらいに地味で何にもないところだった。そんなところで二人でアルバム・ジャケットと同じになるようにスマホでせっせと写真を撮り合い、あーでもないこーでもないと写真を加工して、SNSにアップして遊んだ。周りに誰も人はいなくて、一時間はそんなことして遊んでいたかも。
その後はまた市内に戻ってMuseum of Science of Industry (MOSI)へ。マンチェスターとリバプールを結んでいた鉄道駅(世界初の人を運ぶ鉄道の駅)が博物館になっていて、産業革命で劇的に変わったマンチェスターの歴史がここで学べる。綿工業で栄えたので、綿からコットン生地ができるまでの当時の工業機械がずらーっと並んでいるし、街の人口が劇的に増えたために、下水道や安全な水源の確保が課題だったので、下水道とトイレと公衆衛生の展示もあって、ここがとても面白い。人が集まって生活が激変するところというのは、これまでにはない課題に直面するからこそ革新が起きるのだなあと感心。技術革新もそうだけど、労働や貿易に関する法整備や公衆衛生とか。入場料は基本無料だけど、できれば3ポンド寄付して欲しいということだったので、二人で6ポンド。エンジニアという職業を誇る博物館なんだから寄付しなきゃね(教授は特に)。カール・マルクスの友人のエンゲルスもマンチェスターで紡績業を営んでいたので、展示に出てきた。この博物館はおすすめ!
医療や宇宙開発などに使われるハイテクニットの展示もある。これは、生命兆候をモニターできるニットの開発
風立ちぬに出てくる飛行機みたい。ここにはロールスロイスの飛行機のエンジンも展示されている
ブレッチリー・パークで暗号解読に活躍したアラン・チューリングは戦後マンチェスター大学に移ったのだけど、ゲイであった彼の銅像はマンチェスターのゲイ・ビレッジにある公園の中にひっそりと。そしてこの銅像は…彼の命を奪った青酸カリ入りの林檎を握っている!!自殺説もあれば暗殺説もあるが真実はわからない。私は暗殺説のほうがドラマチックなのでそっちを勝手に信じている。





