ロンドン日記 その17(ST IVES)

セント・アイブスからの帰路は寝台列車。これも旅の目玉。眠りが浅い人にはお勧めはできないけれど、私の場合、「寝台」という言葉の響きにノスタルジーを感じてしまう。

出発時間は夜の10時。小さなセント・アイブスの町はもう歩きつ尽くした感じだし、一人だし、どうやって時間を潰すかが課題となり、映画館でヒュー・グラントとマリサ・トメイの「The Rewrite」を観た。私はマリサ・トメイがとても好き。ワーキングクラスのワーキング・シングル・マザー役がよく似合う。ヒュー・グラントがミッドライフ・クライシスに陥るのだけど、それを救うのが彼女。「人生、もう一花咲かせたい」という男の欲望の炎を鎮火させるのである。ヒュー・グラントっていい具合に映画とともに年を重ねているね。アクション・スターじゃないから無理しなくていいからなんだろうけど。二人ともスマホや紙に目を通すときの「距離感」に現実味があって面白かった。

人影のないセント・アイブスの夜

さて待ちに待った寝台。セント・アースから乗るのだけど(セント・アースは途中駅)、E号車はどの辺に止まるのだろうか、と駅ホームをうろついていたら、列車がホームに入ってきたときに、電車の窓から顔を出して私の名を呼ぶ人がいる!乗務員だった。長閑だ。

セント・アースの駅ホーム

寝台料金を払えば個室に入れる。それを払わなければ普通の座席で座ったまま寝る。私は個室。一番高い部屋にはテレビがあるらしいが、WiFiがあるしデータプランにも入っているから、普通の個室で十分。乗務員がやってきて「朝食は何時に運びましょうか?パディントン駅到着は午前5時19分だけど」と聞いてくる。早い…「じゃあ…午前5時…」と言うと、「早起きねー。乗り継ぎあるの?ないならもっとゆっくりすれば?」「列車が到着しても乗ってていいの?」「寝ててもいいのよ。パディントン駅でシャワー浴びていけば?」「シャワーは浴びないけど、寝ててもいいの?」

遊びすぎて仕事も溜まっているし「じゃあ6時」と指定。どれぐらいまで寝ててもいいのか聞くのを忘れたけど、6時でも「早起きなのね」と言われた。寝台なだけに夜まで発車しないのかしら。

シーツ類はきれいだしコットン100%。ベッドが窓に対して直角にしつらえられているため、ガタガタゆれるたびにベッドから落っこちそうな錯覚に陥る。窓を開けても真っ暗闇。そして激しい雨。寝酒をひっかけるために食堂車にはお酒があるらしいが面倒だから行かない。疲れているから眠れそうだけど興奮と揺れで眠れない。本を読み始めたら、話にのめり込み、結局長い間ずっと起きていた。静かだなと思っていたら、パディントン駅にいつの間にか到着していて、起きたら5時半。周囲はまだまだ寝ている様子。窓を開けて駅構内を見回すと、マクドナルドなんかもまだ閉まっていて、ちょっと不思議。

朝食はクロワッサンにインスタントコーヒーにジャムとバターと質素だけど、ちゃんとトレーにのせて運ばれてきた。それを食べて、ぐずぐずしていたらもう7時!朝の通勤ラッシュの始まったところだった。徒歩で家に帰って仮眠。疲れたけど寝台はやっぱり楽しい。

最後にもう一枚、セント・アイブスの浜辺の写真

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