ロンドン日記 その16(ST IVES)

セント・アイブス訪問の目玉は「リーチ・ポタリー」という窯を見に行くこと。陶芸なんてしないのにどうして窯を見たいのだろう。アニメオタクがただeBayで欲しいものを競り落としているよりは、アニメの祭典に出掛けていって何か買うほうが楽しいのと基本は同じだと思う。

イギリスの陶器といっても、ウェッジウッドとかロイヤルドルトンとか雅やかで繊細な陶磁器ではなくて(そういうのも素敵だが)、私が好きなのは素朴な陶器。

周囲の工芸好きな人たちに「セント・アイブス(コーンウォール)に行くんだ」と告げると、「いいなぁ、いろんな工芸品があるよね、あの辺は」と羨ましがられた。工芸が盛んなところらしい。二十世紀以降のイギリスの現代工芸品ならばと、ファーンハム(Farnham)という町にある Craft Study Centre を勧められた。行ってないけど。

とりあえず、集めた情報をここに記録しておこう。
Farnham Craft Study Centre: http://www.csc.ucreative.ac.uk/
Ceramike(とても情報が充実しているサイト): http://www.ceramike.com/index.htm
Leach Pottery: http://www.leachpottery.com/
Winchcombe Pottery: http://www.winchcombepottery.co.uk/(ここも勧められたが行かなかった)
Victoria and Albert Museum: http://www.vam.ac.uk/
バーナード・リーチの作品はロンドンのV&Aの陶磁器フロアにも展示されている。イギリスの陶芸の歴史を語るには重要ってことか。

電車で行って思ったが、セント・アイブスの町にはギャラリーはあっても、そこに工房を構えて何かを作っている人は少ない。周辺にあるもっと地味な町に工房は点在。目的が工芸品を見ることなら車のほうがいいかもね。さて、それは今後の教訓として心の奥にしまっておき、「リーチ・ポタリー」について。

ここはバーナード・リーチが仲間と開いた窯。日本の民芸運動に深い関わりのある彼が亡くなるまで住んでいたのがセント・アイブス。去年訪ねた島根の窯元でも何度も彼の名を耳にし目にし、彼のデザインした陶器が綿々と作られているのだから、その影響力は偉大。今は財団によって窯は運営されていて、工房、ギャラリー、ショップが一緒になっている。彼の奥さんや息子や工房の仲間の作品も多く展示され、彼のスケッチや詩、彼がデザインした家具もある。かなりのマルチタレントぶりである。展示の一部の、バーナード・リーチ本人のナレーションによるビデオ(16mmフィルムからの復刻)を観ていて「英国人だなあ」と思った。当たり前だが。そしてちょっと川喜多半泥子に似ている。英国人だけど。展示スペースとしての工房には、当時本人が使っていた道具や椅子やテーブルが展示されている。こういうの見ると身近に感じる。


工房では今もいろんな陶芸作家が仕事をしているし、ショップには何らかの形でこの工房と関わりを持った陶芸作家たちの作品が買える。「定番」としてバーナード・リーチのデザインの食器類も買える。こういうものからの売り上げで、この窯を維持しているのかも。町の陶芸家に聞けば、昔は美しい庭も窯の横にあったらしいが、それは今はない。この日は工房で実際に仕事をしているところを見せてくれる日ではなかったけれど、それでも見るものは多い。とても楽しかった。

セント・アイブスにあるギャラリーをチラチラと見たけど、そんなにピンとくるものはなくて、残念に思っていたところ、Fish Pi Potteryを発見。店が可愛い!店舗兼工房で狭いけど、ディスプレイが可愛い。ガツガツしてないところが素敵!(陶芸家と長々とおしゃべりした)


戦利品

おまけ
パスティというコーンウォール地方の食べ物。外側がサクサクのパイ生地で中はジャガイモ、チーズ、肉などいろいろ。デカイので一人では全部食べ切れなかった。セント・アイブスの町のそこらじゅうで売られているが、やっぱり焼きたてを出してくれるところを探していった。

セント・アイブスでもマトリョーシカを売っている店を見つけてしまった。もちろん見たけど全然かわいくないものばかりだったので、何も買わなかった。ある意味ほっとした。

寝台列車のことになかなか行き着かないなぁ。

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